【まとめ】 メルカリ 「決算報告書」で知っておくべきこと:CtoC中心の新しい経済圏は生まれるか?

メルカリにとっては、賛否が分かれる、船出となったようだ。

フリマアプリを運営するメルカリが、2018年8月9日、六本木の同社オフィスにて通期決算発表会を実施した。売上は357億円(前期比62%増)、営業損失は44億円(前期は27億円)という結果に。同社にとって6月に株式を上場して以来、はじめてとなる今回の決算。過去最高の売上を達成したものの、決算は赤字となった。アメリカを中心とした海外展開と、国内の新規事業への先行投資が背景にあるという。

当日登壇した山田進太郎CEOは「いまはまだ短期的な収益を目指すべきではないと判断し、規律を持ちつつも大胆に挑戦していく」と語る。今後も中長期的な視点で、海外展開や新規事業の開発に注力するという。しかし、日本経済新聞によると、赤字発表を受け、10日のメルカリ株は10%下落したという。今回の発表に関して、我々が注目すべきことを、以下にまとめた。

重要な数値:

・売上高:約357億円(前期比 62%増)
・営業利益:約44億円
・営業損失:約44億円
・流通総額:約3704億円(前年比 48.1%増)
・国内における、メルカリのMAU:1075万人(前年比 27.3%増)
・中古品市場の規模:約2.1兆円

海外事業は「これから」

「インターネットオークション市場だけを見ても、海外は日本市場の10倍以上の規模がある。少しでも多くの人にサービスを使ってもらうということを考えれば、グローバルマーケットを狙うのは必然だ」と山田氏。上場で得た資金の投資先として、アメリカを中心に海外事業に注力している。しかし現状、堅調な国内事業と比べると目立った成果は見られず、流通総額の成長率も、国内は前年比49.5%増という結果に対し、アメリカは27.2%増だ。

2017年6月には元フェイスブック幹部のジョン・ラーゲリン氏をCBOとして迎え入れるなど、アメリカ事業の経営体制やカスタマーサポート、ブランディングを強化してきた同社だが、目に見える成果が出るまではもう少し時間がかかりそうだ。



Twitter上には海外事業に不安を感じる声も

中古品市場のポテンシャル

「メルカリが有する中古品市場は高いポテンシャルを保持しており、ユーザー基盤の拡大やARPU(Average Revenue Per User:1契約あたりの売上をあらわした数値)の向上を行うことで、まだまだ伸ばすことができる」と山田氏。中古品市場のポテンシャルを強調した。

同発表で用いられた資料によると、国内の中古品市場規模は約2.1兆円。さらに、国内における「過去1年間で必要なくなった」とされる製品の推定価値の合計は、7.6兆円にも及ぶという。現在、国内におけるメルカリの流通総額は3468億円。前年比で49.5%増と順調に推移しているが、市場規模から逆算すると、まだ大きな伸び代がある。

また同社は、8月1日に慶應義塾大学大学院の協力のもと、全国のフリマアプリ利用者1032名を対象に実施した、「フリマアプリがもたらす周辺市場への影響と消費行動の変化」という調査を発表。同レポートによると、周辺サービスへの経済効果は最大年間約752億円。発送手続きのための郵便局利用が増えたり、包装・梱包資材購入目的で100円均一ショップの利用が増加するなど、フリマアプリ利用者の6割以上の消費行動に変化が見られたという。

国内のメルカリ事業は安定的に成長しているが、「まだまだ拡大が狙える」と山田氏は意気込みを見せる。同サービスの成長はもちろん、経済全体にもたらす影響にも期待がかかる。

エコシステムの構築を目指す

また、取締役社長兼COOの小泉文明氏は「今後、中長期的な戦略として、メルカリを軸にエコシステムの構築に取り組んでいきたい」と語る。その一環として同社が取り組むのが、決済サービス、メルペイとメルカリの連携だ。メルカリユーザーは、商品販売によって発生した売上を、メルペイのアカウントに集約し、提携する加盟店での支払いに利用することができる。

メルカリの目指すエコシステム(媒体資料より参照)

メルカリの目指すエコシステム(媒体資料より参照)

  

7月2日には早くも、その加盟店開拓を推進する子会社、「メルペイコネクト」を立ち上げた同社。代表には、メルペイ代表取締役であり、メルカリ執行役員の青柳直樹氏が就任した。メルペイの利用率を高めるとともに、加盟店獲得も平行して実施していく狙いだ。

「メルペイの利用が増えれば、メルカリを利用しようという顧客も増え、結果的に流通高の向上にも寄与するだろう」と小泉氏。両サービスのあいだで、うまく循環するような仕組みを構築していくという。

Written by Kan Murakami