Medium 、4つの新規「メディアブランド」を立ち上げ:今後さらに増やすの見込み

ベンチャーの支援を受けたパブリッシングプラットフォームのMedium(ミディアム)が初期に大きな資金を投じた取り組みのひとつが、Mediumというプラットフォームで成り立つマガジンの構築だった。これにもう一度取り組む意向を、先日、Mediumが明らかにした。

Mediumは2月14日、同社のプラットフォームでホスティングを計画している新たなパブリケーション4つの求人案内を開始した。科学とテクノロジー、ビジネス、健康、そして一般関心に関するパブリケーションで、求人情報によると、「有名無名のライターや専門家が執筆する、オリジナル特集、コラム、エッセイ」から構成されるという。応募者は、寄稿者になりそうな人やスタッフライターとのネットワークを深めると同時に、「ブランドの顔」になることに抵抗がないことが求められている。

Mediumの編集担当VP、シボーン・オコナー氏によると、この4つは「はじまりにすぎない」。Mediumとしては、パブリケーションは社内制作するだけではなく、サードパーティとも協力する意向だ。既存スタッフから提案を集めるとともに、Mediumを現在使用しているパブリケーションの編集者たちとも会っている。新タイトルには、月額5ドルまたは年額50ドルであるMediumの通常サブスクリプション料金でアクセスできると、オコナー氏は語った。

編集ブランドの養成所を構築するMediumの当初の試みは、売却とスピンオフで幕を閉じた。今回は何が違うのか。オコナー氏によると、今回は「持続可能なサブスクリプションビジネスモデル」が原動力であり、Mediumが収益源としていた広告を廃止した2017年以降、このモデルによってこれまでに莫大な金額がライターに支払われている。また、今回はスタッフライターや委託によるオリジナルコンテンツと、Mediumプラットフォームから取り上げたコンテンツとを混在させる。パブリケーションごとに専任のプラットフォーム編集者をもうけ、各タイトルにフィットするようなコンテンツを取り上げることになっており、これが前回の試みとの重要な違いだとオコナー氏は語る。

「今年はオリジナルコンテンツへの支出を大幅に増やしている」とオコナー氏。2019年2月は、パートナープログラムのコンテンツへの支払総額が、半年前と比べると168%に増えているという。「この投資は、明確なパブリケーションブランドの下で実施するのがよいと考えている。Mediumには独自ブランドのパブリッシャーがすでにたくさんあり、この形は読者たちに理解されている」。

コンテンツへの投資

このバーティカルブランドへの動きに先立ち、Mediumは1年にわたりオリジナルコンテンツに大きな投資をしてきた。設立以降、ベンチャーキャピタルで1億3200万ドル(約147億円)を調達したMediumは、2018年、編集担当VPのオコナー氏によると、コンテンツに500万ドル(約5.5億円)近くを使った。この資金を、専任のコラムニスト、サブスクリプション契約者に読まれ支持されたコンテンツについて書き手にお金を払うMediumのパートナープログラムの参加者、執筆を委託されたプロフェッショナルのライターおよびコラムニスト、それに、ニューヨーク・タイムズ(The New York Times)をはじめとするほかのパブリケーションからの配信コンテンツなどに支払った。

このオリジナルコンテンツへの投資は、複数の効果を意図したものだった。パートナープログラムの活性化もあるし、人々がお金払おうと考えるようなコンテンツをオコナー氏がもっと生み出せるようにするというのもそのひとつだった。オコナー氏は2018年、サブスクリプションの成長は期待を上回ったと語った。ただ、サブスクリプション契約者の具体的な数については明かすことを拒否した。

Mediumは2018年、仕事として委託したものとプラットフォームのコンテンツとをまとめたテーマのあるパッケージ(Mediumはマガジンだと説明した)を実験した。7月から月に1本ペースでマガジンを出し、自己不信、若者文化、2069年のライフスタイルといったテーマを取り上げた。また、ブランド構築からインターネットと人々の関係まで、さまざまなテーマで記事を収集した。

こうしたパッケージが有益だったとオコナー氏はいう。Mediumの読者にすぐに受け入れられたのだ。また、Mediumの読者が特に好む分野を編集チームが把握するのにも役立った。「取り上げたなかにとても支持されたテーマ領域があった。それをさらに掘り下げるべく新しいパブリケーションとして独立させていく」。

Mediumの位置づけ

Mediumは2018年、数万人いる寄稿者との関係の最適化にも多くの時間をかけた。寄稿者の大多数は、Mediumが主な収益源ではない。Mediumのウェブサイトによると、上位記事はかなりの額を稼ぎ出しているものの、1月にパートナープログラムで100ドル(1万1000円)以上を稼いだのは参加者の8%だった。

それでも、人間がキュレートするMediumのホームページや、今回のマガジンのようなところに仕事が取り上げられた人には、ライターからすると相当な額の支払いがある。パートナープログラム参加者2名が米DIGIDAYに提供してくれた収益の計算書によると、ホームページに取り上げられた記事はその月、1本で500ドル(5万5000円)以上を稼いでいた。

Mediumは、エブ・ウィリアムズ氏が創業した2012年以降、いくたびか方針を転換している。2013年にクラウドファンディングによるマガジン「マター(Matter)」を買収(額は非公開)すると、翌年、テック中心の「バックチャネル(Backchannel)」や音楽マガジンの「キューポイント(Cuepoint)」など、数タイトルを別に立ち上げた。しかし、結局この戦略からは数年で撤退し、「パシフィック・スタンダード(Pacific Standard)」や、「シンクプログレス(ThinkProgress)」や「リンガー(The Ringer)」といった、すでに運営されているサイト向けのパブリッシングプラットフォームとして売り込むことを選んだ。

こうした動きによって、Mediumによる自らの位置づけは、消費者向けプロダクトなのか、クリエイターや企業が中心のプラットフォームなのか、あるいはその両方なのか、正直なところわかりにくくなった。現在は、課題は生じるものの、両方だとMediumは自認している。ウィリアムズ氏は7月、「どちらかにする方がずっと簡単だというのは、確かにその通りだ」と米DIGIDAYに語った

マネタイズ戦略の変化

Mediumはマネタイズ戦略も進化させてきた。数年間、ブランデッドコンテンツとネイティブ広告によるマネタイズを試みたが、2017年にこの戦略を捨て、サブスクリプション収益を選んだ。現在、サブスクリプション登録者向けコンテンツは、月額5ドル(約550円)または年額50ドル(約5500円)のペイウォールで囲われている。

Mediumは一時期、プラットフォーム寄稿者とサードパーティのパブリケーションが独自のペイウォールを設けることを許可していた。この取り組みは結局、2018年に放棄された。Mediumは「コロンビア・ジャーナリズム・レビュー(Columbia Journalism Review)」で、さまざまな選択肢がサイトの訪問者を混乱させていると説明している。

新しいパブリケーションは、コンテンツへのアクセスを制限するというアイデアを信じないパブリッシャーに対する意味合いもはっきりしない。Mediumでフォロワー数が50万を超えているパブリッシャー、ミッション・ORG(Mission.org)の最高コンテンツ責任者であるイアン・フェイソン氏は、「ペイウォールありのコンテンツが主眼になるなら、ペイウォールなしのコンテンツに対して無関心になるのは避けがたい」と語る。「Mediumで素晴らしい仕事を数多く残しているたくさんのパブリケーションが、この問題の解決に取り組んでいる」と、同氏は語った。

Max Willens (原文 / 訳:ガリレオ)