Twitter 広告プラットフォーム、なぜバイヤーに愛される?:シンプルさと安定感で好印象

Twitterに収入増加をもたらしてはいないものの、メディアバイヤーは同社の広告プラットフォームを愛用している。その魅力は、シンプルさと信頼性だ。

Twitterへの賞賛は、この1年、Facebookのアドマネージャーに散々イラつかされたことの裏返しでもある。Facebookアドマネージャーは、中間選挙ブラックフライデーといった重要な時期に、たびたび機能停止に陥った。なおGoogleも、今年に入ってシステムを簡素化し、旧名のDoubleClickを廃止している。

「シンプルさにおいて、Twitterはほかの追随を許さない。私はTwitterとFacebookの両方のユーザー研修を実施しているが、新規利用者の混乱が少ないのは、いつもTwitterだ。チェックボックスや通知が少なく、使いやすいプラットフォームだ」と、デジタルマーケティングコンサルタントのベロニカ・リプソン氏はいう(Twitterのモバイルアプリ広告プラットフォームであるMoPub[モパブ]も彼女のクライアントのひとつだ)。

シンプルさを極めたシステム

Twitterのプラットフォームは、広告制作と購入のプロセスについて、バイヤーに段階を踏んで説明している。リプソン氏によれば、セクションの名称もTwitterの方が明快だ。Twitterのプラットフォームでは「詳細、ターゲティング、クリエイティブ」だが、Facebookでは「オーディエンス、配置、予算とスケジュール、フォーマット、メディア、追加クリエイティブ」となっている。

投資家やアナリストは、Twitterが十分なイノベーションを生み出していないと、以前から批判してきた。そもそも、デジタル広告費に占めるTwitterのシェアは、昨年からほとんど変わっていない。eマーケター(eMarketer)の予測では、世界のデジタル広告支出の合計は2018年に前年比21%増の2800億ドル(約31.7兆億円)に迫る勢いだが、Twitterのシェアはわずか0.9%にとどまる見込みだ。

けれども、メディアバイヤーに言わせれば、新たな広告プロダクトも変更もないからこそ、Twitterは彼らにとって仕事がしやすい環境になっている。マイクロソフト(Microsoft)の広告部門でブランドスタジオ責任者を務めるジェフリー・コロン氏は、Twitterが「無数の広告フォーマットを有していない」ことで、むしろ助かっていると話す。

「彼らはシンプルさを極めている。『ツイートのプロモーションをしませんか? 使えるのは画像か動画です』といった具合で、サイズや形状が無限にあったりはしない」と、コロン氏はいう。

場合によってターゲティングも

Facebookがデジタル広告を支配する理由のひとつが、大量のユーザーデータと高度なターゲティングオプションだ。Twitterのユーザー数は比較的少なく、個人データもあまりもっていない。けれども、バイヤーからみると、Twitterの限られたターゲティングオプションの方がより効果的なことも、状況によってはありうる。

エージェンシーのリロソーシャル(Lilo Social)でCEOを務めるボビー・パルミエリ氏によれば、同社はTwitterで大量のメディアバイイングを行っているわけではないものの、一部のクライアントでは、特定のアカウントのフォロワーへのターゲティングが功を奏した。リロソーシャルのあるクライアントの「重要な特徴は、同じニッチを有する別のソフトウェアと重複していることだった。この集団は、きわめて特化したバリューグループで、Facebookでターゲティングできるほど大規模ではなかった。けれども、Twitterアカウントの1万6000人のフォロワーを対象にすることで、その別のソフトウェアのユーザーへのターゲティングを実現できた」と、パルミエリ氏は述べた。

このキャンペーンで、Twitterでの顧客獲得コストは、Facebookの3分の1だった。「販売層の広い一般的な商品については、概してFacebookの方が有利だ。けれども、狭いニッチオーディエンスを有していて、5000~1万人のフォロワーがいるTwitterの関連アカウントを知っている場合、驚くような成果をあげられる」と、彼はいう。

加えて、Facebookでは、バイヤーは同じ結果を得るためにかなりの努力を求められる。たとえば、バイヤーが中小企業経営者をターゲットにしたい場合、「膨大かつあいまいな関心リストに延々と目を通さなくてはならない」と、リプソン氏はいう。一方、「Twitterのターゲティングでは、実際のキーワードで検索できる。Twitterでは、世間一般のオーディエンスではなく、詳細なターゲットレベルのレポートが得られるのだ」。

安定したプラットフォーム

ここ数カ月で、Facebookの不安定さが露呈した。バイヤーが広告掲載やモニタリングを実行できない事態が相次いだのだ。しかし、こういったことは、Twitterの広告プラットフォームでは考えられない。

コロン氏は、7年間利用しつづけて一度だけ、データをダウンロードできなかったことがあるという。しかし、そのときでさえ、キャンペーン自体は継続できたし、問題はすぐに解決した。

もちろん、Twitterの広告プラットフォームも完璧ではない。小売テクノロジー企業、ライブリカバー(LiveRecover)の共同創業者デニス・ヘグスタッド氏は、明確な理由もなく広告掲載が禁止されたことがあると話す。Twitterの顧客サポートチームからは何日も回答を得られなかったが、Twitter社内の友人のおかげで、ようやく原因がわかった。アカウントのプロフィールページのURLにタイプミスがあったのだ。これよりずっとタチの悪い、実業家マーク・キューバン氏の偽アカウントや、Twitter認証マークの違法販売といった広告が、プラットフォームに蔓延しているのも問題だ。

Twitterへの改善要望

匿名希望のあるバイヤーは、Twitterに「位置情報を一括で追加する」機能を導入してほしいと話す。Facebookにはこうした機能があり、バイヤーはターゲティングを行う場所のタイプを選び、まとめて簡単にアップロードすることができる。このバイヤーは、広告プラットフォームのモバイル版のリリースも提案する。

「お願いだからモバイルエディターを作ってほしい。出先でキャンペーンパフォーマンスについてちょっとした質問をされたとき、ラップトップ片手にWiFi接続できる場所を探すのは、ちょっと面倒だ」と、この人物は述べた。

とはいえ、ここ数年の漸進的な変化に、バイヤーはおおむね満足している。リプソン氏は、特に評価する点として、ファーストパーティオーディエンスのマッチ率の向上、広告承認までの時間の短縮、購入プロセスの簡素化をあげた。

Kerry Flynn(原文 / 訳:ガリレオ)