「 DAU 数はあまり当てにならない」:プラットフォーム展開、バイヤーたちはどう決めている?

プラットフォームがレポート指標を変更すると、報道機関やアナリストはこぞってそれを取り上げる。だがメディアバイヤーはあまり意に介さない場合も多い。

TwitterはMAU(月間アクティブユーザー数)からmDAU(Twitterの配信する広告に接しうるユーザーの日次アクティブユーザー数)へとレポート指標を変更した。その後に発表されたVox Mediaのテックニュースサイト「Recode(リコード)」によるチャート(※下記の引用ツイートの内容を参照)で、Twitterのこの日次オーディエンス数がFacebookやSnapchatと比べていかに少ないかが明らかになった。

バイヤーは平常運転

そんなことがあっても、バイヤーは平常運転のままだ。バイヤーがプラットフォームを見定めるときには、かならずアドレサブルなリーチを指標として用いる。ほかにもオーディエンスのデモグラフィックや関心、キャンペーンの効果といった要素を考慮する。こうした数字はプラットフォームが提供するセルフサービスの広告購入ツールを使えば簡単に把握できる。

「DAUやMAUはあまり当てにならない。プラットフォームは自分たちに都合の良い切り取り方で、いちばん見栄えの良い数字を出してくるからだ。写真うつりの良い角度で撮った自撮り写真のようなものだよ。たとえば月に1度、2分間しかログインしないオーディエンスをカウントしたりするわけで、それはこちらが本当にリーチしたい対象とは異なる」と指摘するのは、バンクーバーを拠点とするエージェンシーのテイク・サム・リスク(Take Some Risk)の創設者で戦略部門のトップを務めるデュアン・ブラウン氏だ。

Twitter、哀れ。公表したDAUを比べたらこんな感じに。

テック系プラットフォームは自分たちをもっとも良く見せる指標を提供する。IPOのために投資家を募る必要があるPinterest(ピンタレスト)もそうだし、スキャンダルまみれのFacebookもその圧倒的な規模を喧伝している。だがメディアバイヤーの目には、こうした派手な見出しは巷にあふれるバニティメトリクス(虚栄の指標)の誇示としかうつらない。広告主からすれば、Facebookの23億2000万人におよぶMAU全員にまでキャンペーンを拡大する必要はないのだ。マインドシェア(Mindshare)の検索およびソーシャル部門でアソシエイトディレクターを務めるリサ・リード氏は、バイヤーが注視するのはあくまでもオーディエンスの年齢層や地域、世帯収入や関心といったデモグラフィックであり、決められた予算内と期間にこうしたオーディエンスにリーチできるかどうかだと指摘し、次のように述べた。

「規模の比較はさほど大きな違いをもたらさない。広告主は、こうした規模の数字をチャネル戦略と投資のサポートや、方向性を示すために使用する。だがオーディエンスがどこにいるか判明したあとは、プラットフォームに決められた予算と広告投入期間を伝え、潜在的なオーディエンスにリーチする」。

Snapchatの自信

規模の情報に関するこうした見方は、Facebookとの生き残りをかけた戦い(そして広告主の予算)においてスナップ(Snap)が見せている姿勢とも重なる。2月25日に行われたモルガン・スタンレー(Morgan Stanley)のカンファレンスで、スナップのCEO、エバン・スピーゲル氏は「データを見て、当社のオーディエンスとライバル他社の商品のオーディエンスが重なっていることに驚いた方も多いだろう。たとえば米国や英国、フランスといった当社の中核をなす市場では、はるかに大きなオーディエンスを獲得していると考えられていた他社商品と比べても、オーディエンスはほぼ同規模となっている」。

たとえば、スナップが提供するセルフサービスの広告ツールによると、米国内の13から24歳のオーディエンスはスナップチャットが4700万人、インスタグラムが3300万人となっている。アイプロスペクト(iProspect)のバイスプレジデントであり米国ソーシャルメディア部門のトップも務めるジョーダン・ジェイコブソン氏はこうした種類の仕様についてクライアントに説明が必要だとし、次のように指摘している。

「たとえばウォールストリート・ジャーナル(the Wall Street Journal)を読んだCMOになぜSnapchat(スナップチャット)が(メディア)計画に含まれたままなのか電話で尋ねられたときにも当社は裏付けとなる数字を提示できる。さらに実際に効果があることを確認するためブランド研究も実施している。現状で、中核となる(Z世代の)デモグラフィックはいまも残っているのだ」。

盲信しないバイヤー

もちろん、バイヤーも与えられたセルフサービスのツールがはじき出す数字を盲信してはいない。デジタルマーケティングのコンサルタントのベロニカ・リプソン氏によると、同氏も同氏の同僚も、たとえばFacebookのオーディエンス規模を4掛けするなど、キャンペーンの日付ごとに基準となる割引率を適用していると明かし、次のように述べている。

「できれば、オーディエンスの種類やファースト、セカンド、サードパーティを記録して、それぞれの割引率を適用したほうが良い。さらに理想的な方法は、特定のオーディエンスの推定値と実際に提供した数字を追跡し、自動的にそのデータを適用できるようにすることだ」。

エンジン(Engine)でマーケティングマネージャーを務めるジョン・マックス・ボーリング氏は、同エージェンシーでは各プラットフォームで試験を行っており、なかでもSnapchatはとりわけ規模の測定において信頼性が低いため、試験を重視しているという。たとえばSnapchatで1万ドル(約112万円)のキャンペーンを実施して、良いリターンが得られた場合、投資額をさらに増やすといった具合だ。

得意分野の確保が大事

バイヤーは、プラットフォームが投資家に好印象を与えるために業績報告で用いる指標はかならずしも気にする必要はないと口を揃える。一方で、プラットフォームはあまり手を広げすぎず、得意分野を確保することが大事だとも語っている。たとえばTwitterは以前、バイヤーに対してダイレクトレスポンス広告への投資を増やすと語っていた。だが、昨年にはライブイベントとリアルタイムのキャンペーンを重視すると発表している。

アイプロスペクトのジェイコブソン氏は次のように語っている。「プラットフォームは自分たちのスイートスポットを見つけ出し、Facebookに対して優位に立てるような分野を見出すべきだ。プラットフォームの最新の取り組みをどう売り込むかを考えるよりも、実際のビジネス上の課題をどうやって解決するかを話し合うほうがはるかにやりやすい」。

Kerry Flynn(原文 / 訳:SI Japan)