インフレがさまざまなものに与える影響は目新しいものではない。今年の夏の大半を通じて、マーケティング担当者やエージェンシーの幹部たちは景気の不透明さに神経質になり、広告費を投じる場所を選ぶ際に効率性を優先した。こうしたなか脚光を浴びているのが、TikTokインフルエンサーたちだ。
インフレがさまざまなものに与える影響は目新しいものではない。今年の夏の大半を通じて、マーケティング担当者やエージェンシーの幹部たちは景気の不透明さに神経質になり、広告費を投じる場所を選ぶ際に効率性を優先した。
マーケターや広告代理店の幹部らは、この秋の財布の紐は固く締められた状態になるだろう、と語り、パフォーマンス・マーケティングの取り組みを強化している。
その一方で、消費支出の予測が難しくなっていることから、プランニングの期間はさらに短くなっており、一部のマーケターは第4四半期の計画をまだ立てていない。通常であれば、第4四半期の計画は確定段階に入っている時期だ。
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既存のプラットフォームより安価
「全面的に『緊縮政策』がとられている」と匿名を求めたあるエージェンシー幹部は言う。「ブランドは今、支出面で非常に保守的になっている。一時停止中のキャンペーンは通常より多く、広告費の多くは非常に保守的でパフォーマンス重視だ。個人消費が今後も後退し続けるのではないかと懸念されている」。
このようにパフォーマンスを重視することで、一部のマーケターはインフルエンサー・マーケティングに大きく依存するようになっている。特にTikTokについては、インスタグラムのインフルエンサーマーケティングよりも安価なことが多いため人気が高まっている。
IMGNメディア(IMGN Media)のノア・マリン最高戦略責任者は、「ディスプレイ広告からインフルエンサー、特にTikTokの中間層とマイクロレベルのインフルエンサーへの支出シフトは間違いなく起きている」と語った。「もちろん、広告主によって異なるが、私たちは約2倍の数のクリエーターキャンペーンを目にしている」。
だからといって、極端に安いわけではない。TikTokではインフルエンサーマーケティングのコストが上昇していると、複数の広告代理店の幹部が指摘している。プラットフォーム全体で料金が上昇していると言うのだ。それでも、インスタグラムのような既存のインフルエンサーマーケティングプラットフォームよりも安く済む可能性があるという。
インフルエンサーの仕事は確実に増加
マーケティング担当者たちは、制作コストの削減という観点からも、インフルエンサーマーケティングにも注目している。インフルエンサーと協力することで、コンテンツ制作とメディアの両方を手に入れることができるのだ。
メカニズム(Mekanism)のパートナーで最高ソーシャル責任者のブレンダン・ガハン氏は「今年はインフルエンサーの仕事が昨年よりも確実に増えており、減速の兆候は見られない」と言う。
「クリエイターたちは、かつてないほど制作パートナーとして求められている。経済的な不確実性に加えて、ソーシャルコンテンツを大量に、頻繁に生み出さないといけないことは、私たちが効率的にお金を割り当てる必要があることを意味する。クリエイターを起用することは、多くの場合、制作作業をスケールするのに役立つ優れたオプションだ。彼らはプラットフォームのエキスパートだ」。
インフルエンサーマーケティング企業スウェイ・グループ(Sway Group)の創業者であるダニエル・ワイリー氏も、「従来型メディアの支出が減少する一方で、インフルエンサーの予算は増加している。インフルエンサーの支出は、はるかに柔軟だ。広告におけるメッセージングは迅速に調整でき、コンテンツは複数の場所で転用/使用できる。もちろん私の意見は偏ったものかもしれないが、不確実な経済の中では、従来のメディアの支出よりもインフルエンサーに予算を割く方がはるかに良い」と同様の意見を述べている。
Kristina Monllos(翻訳:塚本 紺、編集:分島翔平)