メディア分野において、戦争の暴力、殺戮、人的被害の映像とビデオが突如大量に流れるようになったため、マーケティング担当者は彼らのクリエイティブなメッセージのトーンと広告が表示される状況を懸念していると、メディアバイヤーと広告代理店の幹部たちは言う。
ロシアのウクライナ侵攻が継続し、悪化する一方で、広告主は広告制作費とメディア支出を急速に見直している。
メディア分野において、戦争の暴力、殺戮、人的被害の画像と動画が突如大量に流れるようになったため、マーケティング担当者は彼らのクリエイティブなメッセージのトーンと広告がそれらと並んで表示される状況を懸念していると、メディアバイヤーと広告代理店の幹部たちは言う。広告主は、マーケティングの対象となるべきではない悲惨な状況における広告に対する消費者の反発を避け、ブランドセーフティを確保するために、広告の配置やクリエイティブに関して慎重な決定を行う必要があると、彼らは述べる。
少なくとも対応が遅れたブランドが1社、すでに現れている。
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そぐわないクリエイティブに批判
2月第4週、アップルビー(Applebee)の広告におけるコンテキストとクリエイティブの両方が、批判を受けた。ウクライナ侵略に関するCNNの報道の画面内に同時に掲載される広告として、アップルビーの賑やかなCMが登場し、それが広く批判されたのだ。同ブランドは謝罪し、CNNネットワーク上の広告を一時停止した。ネットワーク、パブリッシャー、プラットフォームをまたいで広告を展開する広告主たちは、自社の広告が(ウクライナ状況を鑑みると)冷酷だと批判されること、もしくはそれよりも重大な批判を受けることを避けるために、急いで広告メッセージを変更している。
あるメディアバイヤーは匿名を条件に取材に応じた。「我々はすべてのクライアントのメディアをオーガニックから広告まで確認し、メディアがどこに配置されているかと、トーンに基づいてクリエイティブを評価した」と語った。「もし、世界のニュースや紛争報道に並んで表示されたときに、不謹慎だと捉えられる可能性が場合、クリエイティブを取り替えるか、あるいはひとまず停止することを提案した」。
同氏はまた「状況は絶えず進化している」ため、代理店は「シフトするか一時停止するか、メディア展開について複数のシナリオを計画している」と付け加えた。
「人々はブランドの発言に興味がない」
広告主は、TikTokなどのユーザー生成コンテンツを扱うプラットフォームにおける広告や、ニュースネットワーク、パブリッシャー上での広告に目を向けている。取材に応じた広告代理店幹部のひとりは、世界がこのようなより配慮を求められる状況にあるなかで、広告を見た消費者の目にはブランドが(状況を気にせず)売上を気にしてばかりいるように見えてしまう可能性を指摘し、それを避けるためにTikTokにおける、プロダクトへのフォーカスが強い投稿を避けるよう、コンテンツ計画をシャッフルしている広告主も数多くいる、と述べた。現時点では、非常に注意深くバランスを見極めなければいけないと、この人物は語った。
「TikTokだけでなく、ほとんどのソーシャルプラットフォームのほとんどのクライアントに見られてきたのは、広告とオーガニックな投稿の減少だ」と、広告代理店幹部は語った。「人々はブランドの発言に興味がない。ブランドが注目を集めるにはあまりいい時期ではない。ブランドが何かを言う具体的な理由がない限り、しばらくは控えめにした方がよい。ほとんどのブランドは、このアドバイスに従っている」。
TikTokのようなプラットフォーム上のコンテンツに関して、一部のパフォーマンスマーケティング担当幹部は、広告キャンペーンやインフルエンサーの取り組みをチェックして、懸念や質問があれば広告代理店に通知するよう顧客にアドバイスしている。また、エンゲージメントに関して量や度合いが大きく変動することを見込んでおくこと、またネットワーク障害やサービスの中断といった混乱の可能性を考慮して、プラットフォーム分析ツールにもその影響がないか注意を払うよう、助言しているという。
「我々はその日ごとのアプローチを取らなければならない」という。「状況は非常に流動的だ。明らかに、これは1日で終わるものではない」。
KRISTINA MONLLOS(翻訳:塚本 紺、編集:黒田千聖)
Illustration by IVY LIU