LINEは12月5日、同社のコンテンツプラットフォームである「メディアアカウントプラットフォーム」の1周年記念のイベントを東京都渋谷区で開いた。LINE上級執行役員の島村武志氏の説明によると、12月6日時点で150メディア(自社4メディアを含む)まで拡大し、友だち登録数は4200万人(2016年11月末時点)に達した。
LINEは12月5日、同社のコンテンツ流通プラットフォームである「LINEアカウントメディアプラットフォーム」1周年記念のイベントを東京都渋谷区で開いた。日本のデジタル広告市場の首位とみられるヤフージャパンが保有する「ヤフーニュース」を追いかけるLINE。「ニュース流通+デジタル広告」を成功させるために、ユーザーベースの拡充、IDに紐づくデータのリッチ化、第三者測定などの課題にLINEはどう取り組むか。
LINE上級執行役員の島村武志氏の説明によると、12月6日時点で参加媒体150メディア(自社8メディアを含む)に拡大する予定。友だち登録数は4200万人(2016年11月末時点)に達した。LINEアカウントメディアプラットフォームに参画するパートナー媒体のコンテンツは各媒体が開設するLINEアカウントを通じてLINEで掲載される。「媒体」内の広告枠に限って収益分配を受け取れる。
島村氏はすでに導入済、2017年に導入予定の機能を以下のように紹介した。
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−−1.Premium Article−有料記事の導入
記事単位もしくは、数記事パックでコンテンツ課金する。課金にはLINE内の仮想通貨「LINEコイン」を利用する。第1弾として「週刊文春」が参画。スクープに関しては前触れを打ち、デジタルにおける少額課金を目指す(2017年1月導入開始予定)。
−−2.DIGEST Spot−広告枠の設置
自社のLINE内ページに広告枠を設置できる。この広告で得られた収益を分配する(2016年11月導入)。
−−3.エンゲージメントランクの導入
ユーザーアクティビティを指標化し、「エンゲージメントランク」に応じて広告収益分配の比率をデフォルトの50:50から最大80:20まで変動させる(2017年3月導入開始予定)
島村氏はPremium Articleのペイメントを仮想通貨「LINEコイン」で行うと説明したが、媒体社が収益分配を受け取る際には、LINEコインと法定通貨のレートはどの程度に設定されるだろうか。
広告プラットフォームの整備を急ぐ
LINEは6月に広告配信システムの「LINE Ads Platform」の本格運用を開始している。Google、Facebookなどと同様、LINE Ads Platformはプロプライエタリ(専売的)な広告プラットフォーム。LINE NEWSに加えて動画のLINE LIVE、ブログのLINE BLOGなど各サービスでユーザー数を拡大させ、広告枠を拡充しているとみられる。
LINEは基本的にはデモグラフィック(属性)データが豊富ではない。米国には、デモグラフィックデータが確かでない場合でも、電話番号などの各サービスでのユーザー情報から、デバイスと個人のつながりを類推するアプローチがあり、このアプローチを共同で行うデータコープ(Data Co-op)などの事例がある。
この点に関してはヤフージャパンが先行している可能性が高い。
今後、LINEの広告プラットフォームが拡大した場合、現在は自社で行っている測定に関しても、米国でFacebookなどをめぐって議論されているように、サードパーティ(第三者)の測定機関の活用が求められるかもしれない。
「NAVERまとめはプラットフォーム」
WELQ問題を受けて、島村氏は「NAVERまとめ」について、LINEはコンテンツの製作者ではなく、プラットフォームだと説明した。今後はNAVERまとめの著者に対し、「オーサーランク」と呼ばれる評価システムをつくり、LINE IDにより認証することで、実名性が高い、信頼性の高い情報を提供したいと話した。情報の一次製作者になんらかの報酬を渡せる仕組みを検討すると話した。
ただし、LINE IDにはユーザーの個人情報は余り登録されていないため、「認証」機能としてワークしづらいはずだ。
Written by 吉田拓史
Photo via LINE