Facebook / Instagram 広告の「効果測定」新セオリー:ラストクリック計測にご用心

「ラストクリックアトリビューションモデル」の限界が叫ばれている。

ユーザーが広告に接触するチャネルは多様化し、デバイスも増え続けるなか、コンバージョン(CV)の直前にクリックされた広告だけを評価するこの測定手法では、ほかの広告がどれだけ成果に寄与しているかが見えてこない。こうした状況に、多くのマーケターが不満を感じているようだ。

事実、2017年に、Facebookがヨーロッパ5カ国で実施したイベント「Last Days of Last Click」で行われたアンケートでも、実に77%のマーケターが「現在の測定ソリューション(ラストクリックアトリビューションモデル)はすべてのペイドメディアを正確にアトリビューションできているとは思わない」と回答している。

結果に貢献していながら正しい評価がなされないというのは、ROIの観点から考えて深刻な問題だ。こうした問題に対しFacebookは、ラストクリックアトリビューションのモデルをなるべく使わずに、「コンバージョンリフト調査」という効果測定方法での計測実施をもっとも有効と考えている。

顧客中心の効果測定

実際の導入事例を紹介する前に、ここではまずコンバージョンリフト調査とは何かを見ていこう。この測定方法は、ターゲット層を「実験群(テストグループ)」と「対照群(コントロールグループ)」に分け、実験群にのみ広告を見せて、リフトの差分(統計的に有意なプラスの効果)が認められた広告に評価を与えるというもの。広告を見たか、見ていないかのデータと、各ピクセルやアプリイベントなどのコンバージョンデータを突き合わせることで、広告による純増の効果を特定する。

たとえばサッカーのゲームで、ゴールを決めたフォワードのみに100%の貢献を認めるのが、ラストクリックアトリビューションモデルだとしよう。一方コンバージョンリフト調査の評価対象には、ゴールに至るまでの経路も含まれる。多様なチャネルやデバイスでの接触、そして購買ファネルを踏まえた「顧客中心」の効果測定だといえるだろう。

実際、多くの顧客はモバイル上の広告で知った商品を、その場ですぐ購入するわけではないし、あとから購入するにしても自宅のPCからかもしれない。こういった、多様な顧客行動に対応することができるのが、コンバージョンリフト調査なのだ。

「これほどとは思わなかった」

ネスレ日本(Nestlé)は実際にこのコンバージョンリフト調査を実施し、広告効果の可視化に成功した。同社が提供する、職場向けにコーヒーマシンを無料レンタルするサービス「ネスカフェアンバサダー」の運営チームでは当初、オンライン経由における新規顧客の獲得が課題となっていたのだという。

中長期で事業を伸ばしていくためには、まだネスカフェアンバサダーを認知していないアッパーファネル(購買ファネル上部)の潜在顧客に向けて広告を展開しなくてはならない。また、段階的に態度変容を促していく必要もある。だが、「新規需要を創造するためにも、態度変容型広告を強化するべきだとは思ったが、それ以前にどの広告がどれくらい成果に寄与しているか、正確なところがまったく分からなかった」と、同社の媒体統括部媒体統括室で、ユニットマネージャーを務める村岡慎太郎氏は振り返る。

 

ネスレ日本の村岡慎太郎氏

ネスレ日本の村岡慎太郎氏

 

従来のラストクリックアトリビューションモデルを用いた測定では、動画広告をはじめとした「態度変容型広告」のほとんどが、KPIに寄与していないという結果が出た。現場での実感として、そんなはずはないことは分かっていたが、データには表れていない。そのため、必然的に、貢献度が数字で大きく出ていた検索連動型広告やアフィリエイト広告など、刈り取り型の広告への予算配分が多くなってしまっていたという。

ところが、Facebook & Instagram広告のコンバージョンへの貢献度をコンバージョンリフト調査で測定したところ、ラストクリックアトリビューションモデルで測定した場合の40倍の効果が確認されたという。「態度変容型広告はもっとコンバージョンに貢献しているはずという仮説は持っていたが、これほどとは思わなかった」。

 

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ラストクリックアトリビューションモデルで測定した数値の40倍の効果

媒体の新たな特性を発見

さらに今回の調査では、Facebook & Instagram広告を経由したコンバージョンのうち、実に74%の顧客が、コンバージョンに至るカスタマージャーニーの初期に、Facebook & Instagram広告に接触していることも確認された。最初に広告に接触した顧客は「ネスカフェアンバサダー」と検索してコンバージョンに至っているという。

この結果が意味するのは、Facebook & Instagram広告には顧客の態度変容とビュースルーコンバージョン(コンバージョンページへつながる広告に対して広告接触時に直接クリックしなかったユーザーが、その後行動変容を起こし、別のルートでコンバージョンに至ること)が多いに期待できる、ということだ。

また、同様の特性が確認されたのは、ネスレ日本の事例だけではない。楽天では、同社が展開する国内最大手のオンライン旅行サービス「楽天トラベル」の新規顧客獲得を目標とした各種施策の有効性について、コンバージョンリフト調査による測定を実施。Facebook & Instagram広告を経由した獲得数は、従来のクリックベースの測定の2.7倍にも及んだという。

 

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クリックベースでの測定では、ビューを含めた広告の効果を捕捉できない

 

「業界でいまだ広く活用されているラストクリックベースでは、Facebook & Instagram広告の正確な効果は測れないということが、改めて明らかになった」。こう語るのは、楽天トラベルの編成・マーケティング部 メディアマーケティンググループに所属する、稲見圭介氏だ。

一般的に旅行は、衝動的にコンバージョンに至るタイプの商品ではない。先に紹介したネスカフェアンバサダーも、職場内の同意を得る必要などがあるため、認知から申し込みに至るまでの期間が比較的長い商品といえる。Facebook & Instagram広告は、そうした商材であっても、しっかり顧客の態度変容を引き起こすことができるのだ。同氏は続けて「Facebook & Instagram広告はビュースルー効果が高く、マーケティングファネルの上位層、アッパーファネルにリーチできるメディアとして評価している」と語る。

しかし、同じく楽天トラベルの編成・マーケティング部で、ジェネラルマネージャーを務める八日市屋隆氏は、リフト調査の信頼度の高さを認めつつもこう述べる。「マーケティング効果の測定ツールの正解はまだない。正直、ラストクリックでの評価も間違いとはいい切れないが、それだけでは正しい意思決定はできない。リフト調査によるアトリビューションは、その点で欠かせない存在だ」。

 

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楽天トラベルの八日市屋隆氏

新セオリーの可能性

現在、Facebook & Instagramでは、広告主の目的に応じた施策が実施できるよう、さまざまな広告プロダクトを用意している。従来のフィード広告だけではなく、オーガニック投稿のあいだに、全画面で広告を表示させるストーリーズ広告などは没入感も高く、ビュースルーの効果も期待できる。こうしたプロダクトの効果測定にも、コンバージョンリフト調査はより適しているという。

また同社は、より簡便に、コストを抑えてリフトを推計したい企業向けに「テストと分析」というツールを無料で提供している。同ツールを活用すれば、同社が提供するアプリやサービスのうち、広告の目的を達成するためにもっとも効果的なキャンペーン戦略を特定することが可能。加えてキャンペーンの目的に応じた適切な測定法を教えてくれる上、実施するための手順もシンプルだという。

ラストクリック重視の計測では、ローワーファネルへの偏重投資=焼畑農業的なマーケティングに陥ってしまいかねない。コンバージョンリフト調査はこうした事態を防ぎ、ビジネスの中長期的な成長に繋がる「気付き」を与えてくれるはずだ。

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Written by 内藤貴志
photo by Facebook, Shutterstock