インスタグラムの広告営業担当は最近、クライアントに対して、親会社であるFacebookと連携したキャンペーンを盛んに推奨している。また、アルゴリズムの時代だとして、無料のオーガニックリーチへの依存度を下げるよう呼びかけているという。
あるエージェンシーの幹部は、匿名で次のように述べた。「この1カ月のあいだに2度、顧客に対するインスタグラムの売り込み口上を聞くことがあった。基本的には、Facebookの売り込み口上と同じ。あらゆることを宣伝すべきであり、オーガニックリーチに頼っても意味はない、というのがその内容だ」。
こうした売り込み口上は、直前のふたつの大きな変化を受けたものだ。インスタグラムは2015年10月、Facebookの自動化されたアドテクとの完全統合を果たした。さらに最近、Facebook的なアルゴリズムを実装し、ユーザーの興味に応じて写真のフィードを並び替えるようにした。これによって、ブランド向けの無料オーガニックリーチが抑制される可能性が出てきている。
インスタグラムの広告営業担当は最近、クライアントに対して、親会社であるFacebookと連携したキャンペーンを盛んに推奨している。また、アルゴリズムの時代だとして、無料のオーガニックリーチへの依存度を下げるよう呼びかけているという。
あるエージェンシーの幹部は、匿名で次のように述べた。「この1カ月のあいだに2度、顧客に対するインスタグラムの売り込み口上を聞くことがあった。基本的には、Facebookの売り込み口上と同じ。あらゆることを宣伝すべきであり、オーガニックリーチに頼っても意味はない、というのがその内容だ」。
口上の変化はなぜ起きた?
こうした売り込み口上は、直前のふたつの大きな変化を受けたものだ。インスタグラムは2015年10月、Facebookの自動化されたアドテクとの完全統合を果たした。さらに最近、Facebook的なアルゴリズムを実装し、ユーザーの興味に応じて写真のフィードを並び替えるようにした。これによって、ブランド向けの無料オーガニックリーチが抑制される可能性が出てきている。
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これらの変化を受け、インスタグラムは現在、広告主に対してFacebookと同じアプローチをとるよう勧めている。これは、わずか数カ月前にインスタグラムが広告主に言っていたことから変化しているという。
デジタスLBi(DigitasLBi)のソーシャル担当バイスプレジデント、ジーン・ブライト氏は次のように語る。「広告利用をすべての企業に向けて開放した2015年後半にインスタグラムは、専用のクリエイティブを用意すべきと説明していた。それ以前のアルファ版・ベータ版段階のときにも、その方針は変わらない。だが現在は、依然としてクリエイティブの質を求めるが、そうした質の高さがFacebookにも反映される必要があると説明している」。
合う合わないはある
Facebookが2012年にインスタグラムを買収して以来、ユーザー数は4億人超まで増加。両社のアドテクを統合した2015年以降、20万社の広告主がこのプラットフォームを利用してきた。だが、この活況は広告品質の低下を意味している。この動きは、クオリティの高い画像に対するインスタグラムの初期のこだわりから逸脱しているのだ。
Facebookとインスタグラムが同じクリエイティブを使用することを強調しているのは、両プラットフォームの広告レベルを引き上げ、過剰に宣伝色の強い広告のプレゼンスを減らす狙いがある。
ただしインスタグラムは、同じクリエイティブの再利用について、すべてのブランドにとって適切な戦略というわけではなく、効果的である可能性があるだけだ、と注意を促している。「インスタグラムは視覚的な刺激を求める場であり、Facebookは個人の発見の場だ。インスタグラムとFacebookを連携させると、ビジネス上の成果につながるというインサイトを共有できる。顧客のキャンペーンによって、合う合わないはあるかもしれないが」と、インスタグラムの広報担当者は、メールによる声明で述べている。
分散型思想とは異なる方向性
アルゴリズム導入の発表を行う以前でも有料広告は、広告主にとって重要なインスタグラム利用法のひとつだった。同社の広報担当者はこう述べている。「平均すると、フィードコンテンツの70%が閲覧されていないことがわかっている。我々はアルゴリズムを導入して、人々が重要なコンテンツを見逃さないようにした。その影響は、一般投稿だけでなく、企業からのオーガニックコンテンツにも及ぶ」。
インスタグラムは2016年3月、両プラットフォームで連携したキャンペーンの成功事例を披露。その一部は共通の写真や動画を使用していたことを明らかにした。たとえば、モバイルアプリ「UGOウォレット(UGO Wallet)」のキャンペーンで比較したら、両プラットフォームに別々のクリエイティブを用意した場合よりも、同じクリエイティブを用いた場合の方がCPI(Cost Per Install)が低くなったという。
けれども、異なるプラットフォームに同じ広告を用いるという戦略は、分散型の定石として多くの広告主が教えられてきた考え方とは異なっている。広告主はこれまで、Snapchat(スナップチャット)向けには垂直型を採用し、Twitter向けには短い動画、インスタグラム向けには雑誌スタイルの画像を使用してきた。だからこそ、今回の同社の方針転換に対して、広告主全員が確信を得ているわけではない。
その一方、ブランドのコンテンツ戦略策定を支援するクリエイティブ関連の新興企業アトマイズド(Atomized)の創設者クリス・ゴマソール氏は、次のように指摘する。「ユーザーは両方のプラットフォームを利用している。同時に利用する場合も多く、Facebookを開いてからインスタグラムを開く。ブランドが両方に同じクリエイティブを掲載する場合、異なるやり方で人々にアピールするという大きな機会を逃してしまうことになる」。
Garett Sloane(原文 / 訳:ガリレオ)