ピンタレスト(Pinterest)はビューティ市場におけるソーシャルメディアの主要プラットフォームとしての地位を築きつつある。ピンタレストが1月第4週にローンチした、アイシャドウテスターのARツールは、同社がこの1年取り組んできた一連のビューティーデベロップメントの最新のものだ。
ARテクノロジー、インフルエンサー、ブランド提携を組み合わせることで、ピンタレスト(Pinterest)はビューティ市場におけるソーシャルメディアの主要プラットフォームとしての地位を築きつつある。
ピンタレストが1月第4週にローンチした、アイシャドウテスターのARツールは、同社がこの1年取り組んできた一連のビューティーデベロップメントの最新のものだ。2020年を通して、ピンタレストはARを使ったリップスティックのテスター、スキントーンの判定ツール、そしてストーリーピン(Story Pins)やクリエイターのプロフィールといったインフルエンサーのコンテンツを強化するツールなど、さまざまな機能を導入してきた。
「ビューティ分野とスタイル分野は私たちのもっとも急速に成長している分野だ」と、同社のコンテンツおよびクリエイターパートナーシップの責任者であるアヤ・カナイ氏は述べた。以前マリ・クレール(Marie Claire)の編集長だったカナイ氏は、プラットフォームの美しさとファッションコンテンツを強化するために、2020年10月にピンタレストに参加した。
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Z世代と男性が急速に成長
ピンタレストは、そのビューティーコンテンツの拡大に取り組んでおり、Z世代が親しみやすいメイクアップのトレンド検索は、この1年で増加している。2020年には、「パステルアイシャドウ(pastel eyeshadow)」という単語の検索は12倍に増加し、ほかの人気のある単語は「クレイジーアイシャドウ(crazy eyeshadow)」と「サンセットアイシャドウ(sunset eyeshadow)」などがあり、両方とも4倍の増加を見た。また、「バタフライアイシャドウ(butterfly eyeshadow)」の検索数も倍増している。
カナイ氏によると、ピンタレスト上のビューティ分野とスタイル分野では、Z世代と男性がもっとも急速に成長している、ふたつのグループだという。Z世代は特に「美的なものすべてに関して」ピンタレストに惹かれているという。
アイシャドウ用の新しいARテスターツールには、アーバン・ディケイ(Urban Decay)、パット・マクグラス(Pat McGrath)、フェンティ・ビューティ(Fenty Beauty)などの幅広い主要ビューティーブランドが揃っている。リップスティックのテスターARツールと同様に、ユーザーはテスターツールの下にあるリンクをクリックすることでプロダクトを購入できる。ほとんどのブランドはセフォラ(Sephora)での購入ページにリンクしているが、ランコム(Lancôme)やYSLビューティ(YSL Beauty)のようないくつかのブランドは自社のD2Cサイトにリンクしている。
インスタグラムのチェックアウト機能とは異なり、ピンタレストのソーシャルコマースに対するアプローチは、プラットフォーム外で購入するためのリンク設置に焦点を当てている。現在のところ、同プラットフォームに独自のチェックアウト機能はない。
カナイ氏は「プラットフォームとしてのピンタレストでもっとも重要なことは、私たちがインスピレーションの拠点、あなたが次に思いつく最高のアイデアの拠点となることだ」と話す。「インスピレーションはしばしば買い物につながる」。2020年にはブランドによる商品カタログのアップロードが350%増加したが、これはパンデミックが原因の各種店舗閉鎖と、2020年に発表されたショッピファイ(Shopify)の導入に牽引されたものだ。
現実に近い形の保持が目標
ピンタレストは昨年10月に商品タグ付けツールの新デザインを発表して以来、ショッピング機能の開発を続けている。サイトの発表によると、同社は「今後数カ月のうちに」インフルエンサー向けのストーリーピンに商品タグ付けをする機能をローンチする予定だ。また、ブランド広告用の製品タグのベータ版もローンチした。
Googleやスナップチャットなど、ますます多くの主要テクノロジー企業が今年、ビューティ分野でARに賭けるようになっており、ピンタレストもこのなかに含まれる。パンデミックは消費者が各種ビューティプロダクトをどのように試すかに影響を与えており、ビューティ業界のAR機能への関心は急速に高まっている。
カナイ氏は、ARを使ったプロダクトテストも、特別なフィルタを作ったり、人の外見を変えたりするのではなく、「現実に近い形」を保持することがピンタレストにとっての目標だと述べた。
「使って遊ぶのは楽しい」
エーテル・ビューティ(Aether Beauty)の創設者であるティーラ・アビット氏によると、ARを使ったプロダクトテスターは実物のテスターの代わりとしては、「まだ長い道のりが待っている」という。同ブランドはジョシュア・ツリー・デザート・マット(Joshua Tree Desert Matte)のアイシャドウパレットを新しいピンタレストAR機能に加え、セフォラで購入するためのリンクをそこに加えた。アビット氏は、この機能について販売促進というよりも「ブランドの認知度を高めるための可愛いマーケット手法」と考えていると述べる。「現在、いくつかのバーチャルなARを使ったプロダクトテスター・プラットフォームがあるが、それらは基本的にすべて同じように見える」と、同氏は述べ、技術としては不透明度、テクスチャー、輝き度、3Dの外観を改善する必要があると付け加えた。
「何もしないよりはましだが、自分自身や知り合いが商品を購入したことはない」と、彼女は言う。「意義があるとしたら、使って遊ぶのが楽しいことだ」。
[原文:Inside Pinterest’s beauty ambitions]
LIZ FLORA(翻訳:塚本 紺、編集:長田真)