DAZN の広告事業、その「見直し」計画の中身とは

スポーツ専門のOTTメディアであるDAZN Media(ダゾーン・メディア)が提供するコンテンツを活用したいと考える広告主の数は多い。しかし、DAZN Media自身は自分のディスプレイ、動画ビジネスにとって、それが弊害にならないようにしたいと考えている。そのため、30のマーケットに渡る複数のブランドにおける広告パッケージングの売り込みを単純化することに尽力してきた。

DAZN Mediaが抱えるサイト、ゴール(Goal)、スポーティング・ニュース(Sporting News)、そしてDAZN Player(ダゾーン・プレイヤー:元eプレイヤー[ePlayer])、さらにソーシャルネットワークやインフルエンサー、タレント、権利所有者やスタジアム所有者とのパートナー関係から発生するリーチを取りまとめたネットワーク、DAZN+(ダゾーンプラス)をDAZN Mediaは1月から構築してきた。以前であれば、これらの関係は、パフォーム・グループ(Perform Group)のさまざまな部門によって個別に管理されてきた。いまではすべてがDAZNのもとで集められている。広告バイヤーに直接売られるプレミアムのプログラマティック在庫を通じて、より高いCPMを生み出すことにDAZNが取り組んでいる流れの一環だ。

以前は、DAZNのセリングは複雑なものだった。複数の分断されたマーケットを横断する形で、サイトの販売を別々に行っていたのだ。いまでは同じサイトは、すべてコンテクスチャルターゲティングとオーディエンスセグメンテーションにもとづいて、まとめて同じように販売されている。オーディエンスを複数のサイトを横断してまとめることが可能になり、DAZNはプライベートマーケットプレイスと同様に、在庫デリバリーを保証し、固定価格で広告を売ることが簡単になった。

ダイレクト取引の成長計画

ほかのメディアオーナーと同様、DAZNはプログラマティックにおけるダイレクトな取り引きに関する成長計画を求めている。PMPとプログラマティックギャランティードを統合したものだ。それによって、広告掲載申し込み形式からプログラマティックへと移る予算を捉えたいと考えている。米DIGIDAYが214のメディアバイヤーを対象に行った調査によると、10に8の割合で、メディアバイヤーたちは今年、予算をさらにこのチャンネルへと移す計画を持っていることがわかった。DAZNは、DAZN+の収益のどれだけがプログラマティック由来かは明かさなかった。しかし、トレーディング責任者であるデヴィッド・ウィンストーン氏は、プログラマティック部門がどれだけの収益を生むかが、カギとなっていると言った。日本、北米という、彼らがローンチした8つのマーケットにおいてプログラマティックの専門家を採用しているという。そして現在、プログラマティックで売られているものも含めた、広告取り引き助けてくれる広告サーバーを探していると語った。

「プログラマティックギャランティードの頻度を増やすことへのマーケットの要望を確実に目撃している。DAZN+側のビジネスにおいてはプログラマティックが重要なカギとなっている。それは我々の取り引きのほとんどが、PMPとプログラマティックギャランティード経由だからだ」と、ウィンストーン氏は言う。

広告主が広告を購入するパブリッシャーのサイトにおけるビューアビリティやコントロールを約束する、こういったプログラマティックダイレクトな売り込みには、オープンマーケットプレイスでより安価に見つけることが可能なものと同じインプレッションを提供することがある、という問題がある。そうした事象は、将来プライペートマーケットプレイスを構築できるパブリッシャーを探していながら、いまだオープンマーケットプレイスを試験場として利用し続けるような広告主にリーチするため、積極的に広告をオープンマーケットプレイスから引き上げた、DAZNのようなパブリッシャーにとって大きな課題だ。「我々の在庫のうちいくつかはオープンマーケットプレイスでまだ取り引きされている。それはマーケットにリーチする方法という点で、多くをカバーしておきたいからだ」と、ウィンストーン氏は付け加えた。

ビジネスアピールを強めるために

ダイレクトなプログラマティックビジネスのアピールを強めるために、DAZNは広告主たちに対して、リアルタイムのスポーツ関連データと試合の得点データをディスプレイと動画クリエイティブに入れ込む、6つのクリエイティブユニットを売り込みはじめた。これらの6つのユニットに使われるデータはすべてオプタ(Opta)からとなっている。オプタはDAZNが所有するスポーツ関連データプロバイダだ。このフォーマットに対する初期テストには、拡大できるモバイルバナーとダブルMPUが含まれていたが、モート(Moat)のベンチマークと比較して、8%高いインタラクションが見られたという。DAZNによると、ホバー率は25%も高くなっているとのことだ。

オプタは、DAZNの最近のフォーカス分野となっている。しかしジョー(Joe)、ギブミースポート(GiveMeSport)、そしてラッドバイブル(LadBible)といったよりソーシャルに焦点を置いたパブリッシャーと比べると、スポーツファンにただ観てもらう以上に、エンゲージメントを発生させるチャンスを生み出すという点では遅れをとっていると、ザ・セブン・スターズ(the7stars)のデジタルアカウントディレクターであるジョナサン・ハリソン氏は言う。「クオリティジャーナリズムの流れに沿って、このバランスに取り組もうとしているのが、今回の新しいローンチのように思われる。これはどう考えてもポジティブな追加点だ」と、ハリソン氏は語った。

DAZNの新しい統合されたサービスは、女性スポーツの人気上昇から恩恵を得ようとしている。今夏のFIFAワールドカップも考慮すると、2019年は女性スポーツにとって大きな1年となる。それは広告支出にも繁栄されるだろう。テレグラフ(Telegraph)やギブミースポート(GiveMeSport)が女性スポーツのイベントを中心に据えたコンテンツを増やしていることからも確認できる。

Seb Joseph(原文 / 訳:塚本 紺)