「夢の仮想現実デバイス」から「現実とは思いたくない悪夢」へと失墜か。
米国時間における2016年1月6日の朝、バーチャルリアリティを実現するヘッドマウントディスプレイである「オキュラス・リフト(Oculus Rift)」の予約販売が開始された。これまで数年にわたって、コンシューマーおよびコンテンツ制作者たちからの熱い視線を集めてきたデバイスのため、多くの注目を集めている。
だが、今回明らかになった599ドル(約7万円)という高額な価格設定を見て、米国の購入希望者たちは落胆で肩を落とした。なぜなら、事前の予想価格はせいぜい350ドルから450ドル(約4万円から5万円)程度とみられていたからである。
米国時間における2016年1月6日の朝、バーチャルリアリティを実現するヘッドマウントディスプレイである「オキュラスリフト(Oculus Rift)」の予約販売が開始された。これまで数年にわたって、コンシューマーおよびコンテンツ制作者たちからの熱い視線を集めてきたデバイスのため、多くの注目を集めている。
だが、今回明らかになった599ドル(約7万円)という高額な価格設定を見て、米国の購入希望者たちは落胆した。なぜなら、事前の予想価格はせいぜい350ドルから450ドル(約4万円から5万円)程度とみられていたからである。
そのような、「オキュラスリフト」の価格に対するネガティブな反応は、日本ではさらに深刻なものとなった。なぜなら、折からの円安傾向と海外発送の送料などが影響し、日本での販売価格は7万円前後どころか、なんと9万5000円にもなることがわかったからだ。
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Tokyo VR Startups取締役でゲームジャーナリストの新清士氏も次のように投稿している。
新型Oculus Riftの価格が600ドルと発表され、予測よりかなり高く、それが基準値になることで、今後の他社の戦略に影響が出そうですね。700ドルと予測が出ているHTC Vive。500ドルと見られているPSVRにも戦略変更が起きそう。各種の予測にも大きな変化が出るでしょう。
— Kiyoshi Shin 新清士 (@kiyoshi_shin) 2016, 1月 6
新型Oculus Riftは高いかといえば、一般的な普及を考えるとどう考えても高い。しかし、質の低いVR体験をした人は二度と触らないという傾向を考えた時、質の良さと価格の安さをどちらを優先すべきかはかなり難しい選択だと思う。パルマーの発言からは、その難しさがかいま見える。
— Kiyoshi Shin 新清士 (@kiyoshi_shin) 2016, 1月 7
オキュラス社を所有するFacebookによれば、今回の「オキュラスリフト」には2本の対応ゲームソフト(ご存知ないかもしれないが、「Lucky’s Tale」「Eve: Valkyrie」というタイトルである)とXBOXコントローラが付属、4月には予約者向けの出荷が開始されるという。しっかりとVRを理解してもらうには必要な価格かもしれないが、驚きを隠せないユーザーも多かった。
その一方、「オキュラスリフト」の競合デバイスとなる「Playstation VR」を用意しているソニーのCEO平井一夫氏は、次のような投稿でエールを送っている。
An Oculus Rift VR headset can transport you to unbelievable fictional worlds, like a world were people will spend $599 on an Oculus Rift
— CEO Kaz Hirai (@KazHiraiCEO) 2016, 1月 6
「オキュラスリフト」は、あなたを信じられない物語の世界に転送する。それに599ドルを費やす人も多いだろう。
なんだかんだで、初日の予約販売ページにはアクセスが殺到し、オキュラス社の創業者ラッキー・パルマー氏が「めちゃくちゃな高負荷を体験している」とツイートするほどの熱狂ぶりを見せた。とはいうものの、一夜明けてこうした状況は収束しており、今後さらなるセールスが継続的に続いていくのか注目される。
現在でも、ユーザーにとってはより安価なVRヘッドセットとして99ドル(約1万1000円)の「サムスン・ギアVR(SAMSUNG Gear VR Consumer Edition)」のような選択肢はある。また、日本のユーザーたちの期待が「PS4本体と同程度の価格帯になる」と言われているソニーの「Playstation VR」へと移りつつあることから、早くも「オキュラスリフト」にはユーザー獲得のための「次の一手」が求められることになりそうだ。
Written by ワタナベダイスケ(参考記事)