- 独立系アドテク団体ムーブメント・フォー・アン・オープンウェブ(MOW)はアドテク業界の競争を促進するため、Googleのアドテクアセットの分割を英国の競争・市場庁に提案。
- MOWはまた、AppleのSafariとGoogleのChromeの機能を制限し、他のテックプロバイダーの製品との相互運用性を高めることを推奨。
- 具体的なGoogleの分割案として、SSPとDSPの独立と「公平、合理的、非差別的」なアクセス、相互運用性の実現を求めている。
AppleとGoogleは、欧州でも北米でもかつてないほど規制当局による監査に直面している。そんななか、ムーブメント・フォー・アン・オープンウェブ(Movement for an Open Web:以下、MOW)は、アドテク業界の競争条件を公平にするための手段を提案している。
MOWはまた、英国の競争・市場庁(日本の公正取引委員会に相当)に対し、Googleのアドテクアセットを分割させる強制手段をとることを促し、さらにその他のG7各国の反トラスト規制当局と連携して、ワールド・ワイド・ウェブ・コンソーシアム(World Wide Web Consottium:W3C)のようなデジタル標準化団体の監督を行うよう提言している。
SafariとChromeの機能制限も提言
これらの提言は、競争・市場庁に宛てた公開書簡という形で発表された。英国の競争・市場庁は実質的に、サードパーティCookie廃止後にGoogleが提唱した、プライバシー・サンドボックスと称する一連の動きに対する、世界的な規制と監視を先導する立場にある。
MOWは上記に加え、AppleとGoogleそれぞれのウェブブラウザ(SafariとChrome)の機能を制限し、単純にユーザーのウェブの探索を支援するものにするとともに、その他のテックプロバイダーの製品との相互運用性を高めることを推奨した。
MOWは、ChromeとSafariをデフォルトとして(MOWの表現では「偏った」やり方で)ユーザーに提供する慣行を改めさせることを提案しており、これは米国司法省が進めるGoogleと同社の検索エンジンに対する反トラスト法訴訟の主要な争点のひとつ[続きを読む]
- 独立系アドテク団体ムーブメント・フォー・アン・オープンウェブ(MOW)はアドテク業界の競争を促進するため、Googleのアドテクアセットの分割を英国の競争・市場庁に提案。
- MOWはまた、AppleのSafariとGoogleのChromeの機能を制限し、他のテックプロバイダーの製品との相互運用性を高めることを推奨。
- 具体的なGoogleの分割案として、SSPとDSPの独立と「公平、合理的、非差別的」なアクセス、相互運用性の実現を求めている。
AppleとGoogleは、欧州でも北米でもかつてないほど規制当局による監査に直面している。そんななか、ムーブメント・フォー・アン・オープンウェブ(Movement for an Open Web:以下、MOW)は、アドテク業界の競争条件を公平にするための手段を提案している。
MOWはまた、英国の競争・市場庁(日本の公正取引委員会に相当)に対し、Googleのアドテクアセットを分割させる強制手段をとることを促し、さらにその他のG7各国の反トラスト規制当局と連携して、ワールド・ワイド・ウェブ・コンソーシアム(World Wide Web Consottium:W3C)のようなデジタル標準化団体の監督を行うよう提言している。
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SafariとChromeの機能制限も提言
これらの提言は、競争・市場庁に宛てた公開書簡という形で発表された。英国の競争・市場庁は実質的に、サードパーティCookie廃止後にGoogleが提唱した、プライバシー・サンドボックスと称する一連の動きに対する、世界的な規制と監視を先導する立場にある。
MOWは上記に加え、AppleとGoogleそれぞれのウェブブラウザ(SafariとChrome)の機能を制限し、単純にユーザーのウェブの探索を支援するものにするとともに、その他のテックプロバイダーの製品との相互運用性を高めることを推奨した。
MOWは、ChromeとSafariをデフォルトとして(MOWの表現では「偏った」やり方で)ユーザーに提供する慣行を改めさせることを提案しており、これは米国司法省が進めるGoogleと同社の検索エンジンに対する反トラスト法訴訟の主要な争点のひとつでもある。
MOWが競争・市場庁に提案する処方箋にはさらに、広告IDなどの「マッチキー」ツールを利用して、全プレーヤー間のデータの相互運用性をブラウザに保証させ、AppleやGoogleが競合するアドテクプロバイダーに干渉することを防ぐ対策も含まれる。
具体的なGoogle分割案の中身
大西洋の両岸の規制当局に対するこれらの提言は、大手テック企業によるオンライン広告市場の独占に対し、EUや米国の司法当局が監視を強める動きを背景に出されたものだ。
法律事務所プリースケル(Prieskel & Co.)の反トラスト法訴訟部門で主任を務め、MOWの共同創業者のひとりでもあるティム・コーウェン氏は、「もっと活気ある競争が展開するデジタル市場を創出するために、具体的な処方箋を考えるべき時期に来ている」と述べる。
コーウェン氏はさらに、Googleのアドテク事業をどう分割すべきかについても具体案を提示している。SSP(サプライサイドプラットフォーム)とDSP(デマンドサイドプラットフォーム)の独立は「不可避」であり、MOWが「公平(Fair)、合理的(Reasonable)、非差別的(Non-Discriminatory)」を略して「FRAND」と形容するようなアクセスと相互運用性の実現が、市場競争の健全化に向けた最初の一歩であるとした。
「GoogleはW3Cのような機関との取引や、これらの機関の基準の甘さを利用し、また周到な計画によってライバルを排斥し、相互運用性を除去し、競争を抑制して、寡占を確立した」と、コ―ウェン氏は主張する。
「こうした戦略が可能だったのは、彼らがChromium/Chromeブラウザを通じてウェブトラフィックの主要部分を掌握し、またAppleとの契約を通じてウェブデータの大半を手中に収めたためだ。したがって、ゲートキーパー技術としてのブラウザの根幹的な役割を認識し、規制することは非常に重要だ」と、コーウェン氏は述べた。
[原文:Independent ad tech urges regulators not to stop at divestiture to rein in Google]
Ronan Shields(翻訳:的場知之/ガリレオ、編集:分島翔平)