2020年、 インフルエンサー への「投資」は増加する : 特にファッション&ビューティ業界において

インフルエンサーマーケティングは、消え去ろうとしているわけではない。変わろうとしているのだ。

インフルエンサーと彼らを起用するブランドたちが、インフルエンサーマーケティングに関して大きな変化を体験したのが2019年だった。大きな変化のひとつは11月のインスタグラム(Instagram)による、「いいね!」数の表示をアメリカでは非表示にするテストを開始するという発表だ。これはインフルエンサーたちを不安にさせ、インフルエンサーコミュニティはいずれ死に絶えてしまうのではないか、という記事がいくつも書かれた。その一方で「いいね!」数という数値の価値を下げ、エンゲージメント率やコンバージョン率、ウェブサイト流入といった多様なメトリックスにフォーカスを据えるチャンスとして捉えたものたちもいる。2020年が開始するにあたり、インフルエンサー戦略を多様化することがブランドにとって重要になりそうだ。

インフルエンサーリレーションシップの管理プラットフォームであるトラッカー(Traackr)のCEOであり共同ファウンダーのピエール・ロイック・アサヤーグ氏は、インフルエンサーを起用してすでに成功を体験している企業は、2020年においても投資を続けるだろうと述べた。

「コスメティックス、ファッション、CPG(消費財)といった市場ではインフルエンサーマーケティングはメディアプランと競合するレベルに達しつつある。長いあいだ、メディアプランナーやメディアプランニング企業、そしてエージェンシーたちはインフルエンサーマーケティングを切り捨ててきた。しかしいま、彼らが受け取る予算の一部に食い込みつつある。そんななか、彼らは注意を払いつつある。2020年、2021年、メディアプランナーたちとインフルエンサーマーケティングのあいだで本格的な争いが起きるだろう」と、アサヤーグ氏は語る。

先駆的な広告主の意見

オンラインアパレルリテーラーであるリボルブ(Revolve)は6月に株式上場した。当時、リボルブの最高ブランド責任者であるレッサ・ジェローナ氏は、各地を周り投資家たちと会い、インフルエンサーマーケティングの価値を説明するのに何週間も費やしたと言った。2018年の段階で、当時12億ドル(約1310億円)の価値が付けられていたリボルブの売り上げの70%を生み出していると明かしたこともある。

「啓発のプロセスは、ただ投資家たちがリボルブの(インフルエンサーマーケティング)やり方を理解するためだけに重要なわけではない。若者たちが情報やインスピレーションを得る方法がインフルエンサーなのだ、ということを理解してもらうことも重要だ」と、米DIGIDAYの姉妹サイトであるグロッシー(Glossy)との以前のインタビューで語っている。

リボルブの2019年第3四半期マーケティングコストは、2018年の同時期の1890万ドル(約20億円)から増えて、2310万ドル(約25億円)と発表している。この数字に含まれるマーケティングチャンネルは幅広い種類を含んでいる。彼らの直近の収支報告によると、有料ソーシャル、従来のパフォーマンスマーケティングがここに含まれるといった具合だ。しかし、アパレルECのリボルブにとって、インフルエンサーマーケティングは依然として大きなフォーカスとなっている。

「我々はソーシャルメディアマーケティングにおけるパイオニアであり、#リボルブフェスティバル(#RevolveFestival)や#リボルブサマー(#RevolveSummer)、そして#リボルブアラウンドザワールド(#RevolveAroundTheWorld)といった体験型マーケティング企画のうえに積み上げること、そして我々のネットワーク内のインフルエンサーたちとのコラボレーションを行うことにフォーカスすることで、今後も先駆者であり続けるだろう。我々の顧客とのコミュニケーションにおいて、インスタグラムは今後も継続して重要なプラットフォームであり続けるし、インスタグラムは常に進化を続けている。我々はまたYouTubeやTikTok(ティックトック)といったプラットフォームと重点的に動画コンテンツの道を探っている」と、ジェローナ氏は言う。

今後における「成功のキー」

リボルブがインフルエンサーマーケティングの分野ではリーダー的な存在感を見せている一方で、ほかの企業たちはまだ、インフルエンサー戦略を開発中だ。インフルエンサーマーケティングを成功させられる企業にとってのチャンスは大きくなるばかりだ。インフルエンサーマーケティング・ハブ(Influencer Marketing Hub)によると、2019年にはこの経済規模は65億ドル(約7115億円)に到達すると予想されている。ブランドの86%は、インフルエンサーへの投資を増やす計画だと回答している。

インフルエンサーへの注力を続けるブランドたちにとって、さまざまなフォロワーを抱える幅広い種類の人々を取り込むことがキーになるだろうと、アナリストたちは語る。

「成功しているブランドたちは今後も、ペイドとアーンド両方の観点から、誠実なサードパーティによる商品の支持表明を通じた長期的な関係性の構築まで、複数のレベルを含んだアプローチでインフルエンサーに取り組むだろう」と、スモール・ガールズPR(Small Girls PR)のインフルエンサー・ソーシャルメディアマーケティング部門グループのアカウント・ディレクターを務めるリンジー・ジョンソン氏は語る。

全体を見ると、2019年にはファッションやビューティブランドたちはミクロ、ナノ、そしてマクロなインフルエンサーたちをさらに彼らの戦略のなかへと増やした。セフォラ(Sephora)が4月に発表したセフォラスクワッド(Sephora Squad)プログラムでは、大小のフォロワー数を持つ、さまざまな24人のブランドアンバサダーが選ばれ、ブランドとのコラボレーションを行った。エアリー(Aerie)、ナスティ・ギャル(Nasty Gal)、ショップボップ(Shopbop)といった企業たちもまた、さまざまなインフルエンサーたちとのパートナーシップを結んだ。夏には、Amazonファッション(Amazon Fashion)の顧客向けにインフルエンサーたちが限定コレクションをデザインするというザ・ドロップ(The Drop)をAmazonがローンチしている。

長期間に渡る関係性

数回、インスタグラムに投稿してもらうために報酬を支払う、という形ではなく、影響力のある人々と長期間に渡る関係性を構築しようとしている。それがこれらのブランドすべてに共通する点だ。

「一度で終わりのインフルエンサーマーケティングの投稿は、消費者には響かないし、影響を持たない。ただちょっと手を出すのではなく、この形式のマーケティングにしっかりと投資を行うことがブランドにとって必須だ」と、ブレンデッド・ストラテジー・グループ(Blended Strategy Group)の共同ファウンダーでありプレジデントのシェリー・ジャワール氏は言う。「紙媒体のメディアプランが、まだマーケティング予算の大きな部分を占めていたときは、一度だけ広告を雑誌に掲載させて、それでその年の紙媒体メディアプランはおしまい、もしくはプロダクトローンチはおしまいということは有り得なかったはずだと、私は最高マーケティング責任者やマーケティング幹部たちにしばしば説明する。インフルエンサーマーケティングだからって、それが許されることはないだろう」。

インフルエンサーマーケティングへの投資を増やし、かつフォロワー数大小さまざまなインフルエンサーたちを取り込むというこの手法は2020年も続くと、ジョンソン氏は言う。

「ブランドの目標によっては、メディア観点だけでなく、どれだけの個人にリーチするかという観点で、セレブリティや非常に人気のインフルエンサーたちを起用することは依然としてその金額の価値があるだろう。キャンペーンの話題性は、セレブリティのインタビューを仕込めれば、さらに拡大できる。これは大規模なインフルエンサーであっても代わりは務まらない」と、ジョンソン氏は語った。

Katie Richards(原文 / 訳:塚本 紺)