BEAUTY

Clubhouse で、ビューティコミュニティが台頭しつつある:「これはB2Cの大きなチャンスだ」

Clubhouse(クラブハウス)はもはやテック業界の男たちのための場所ではない。同アプリではビューティコミュニティーがあふれている。

現在10億ドル(約1066億円)と評価されているこの音声ベースのチャットアプリは、ビューティ分野からの活発なメンバーを引きつけている。招待制のClubhouseがユーザーベースを広げ、一般公開の準備をするなか、いくつかのビューティブランドやファウンダーたちは消費者にアピールするチャンスを見出し始めている。

「Clubhouseに完全にはまっている」と、ビューティ・クラブ(The Beauty Club)やブラック・ビューティ・チャット(Black Beauty Chat)といった名前のクラブを複数運営し、日曜日には定例でビューティ関連のチャットを開催するメークアップ・アーティストのミシェラ・ワリエビ氏は話す。「私は毎日Clubhouseにいる。ほかのどのソーシャルメディアプラットフォームよりも確実に利用している」。

ワリエビ氏は毎日Clubhouseを少なくとも5時間は使っているという。「(毎日5時間と)口に出して言うと馬鹿げているように聞こえるけど」と、彼女は言った。

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「このアプリでは毎週、変化がある」

Clubhouseは最初に2020年の4月、テック起業家のためのネットワーキングとソーシャルアウトレットとしてスタートしたが、ビューティ業界人たちは秋からこのアプリに集まり始めた。

「最初にローンチしたときは、VCがたくさんいた」と、ザ・ブラック・ビューティ・マーケット(The Black Beauty Market)の創設者であり、ボビイ・ブラウン(Bobbi Brown)のコミュニケーションおよびインフルエンサーマーケティング部門の元ディレクターであるトミー・タラビ氏は述べた。彼女は10月にClubhouseを使い始め、ブラック・ビューティ・クラブ(The Black Beauty Club)を設立した。現在2万4000人以上のメンバーを持ち、Clubhouse上で最大のビューティ関連のクラブとなった。初期のビューティ業界のメンバーのほとんどはメーキャップアーティストだった。「このアプリでは毎週、変化がある」と、彼女は述べた。

ビューティコン(Beautycon)のCEOで共同設立者のモージ・マーダラ氏もClubhouseの熱心なユーザーだ。彼女は、初期のClubhouseにおけるビューティ・シーンは「アンダーグラウンド」だったと形容する。その後、1月に大手のエグゼクティブたちがアプリに大量に登場して状況は変わった。

「誰もが平等な場所を作れる」

ビューティスタット(BeautyStat)のファウンダーでCEOのロン・ロビンソン氏は、1カ月前にClubhouseを始めた。すでに彼は、1日で7時間もパネルの司会を務めた経験を持っている。

「私が確認しているのは、(各チャットの話題が)ますますニッチになってきているということだ」とロビンソン氏。「部屋を作って、非常に細かいトピックについて話すことができる。先日、私は日焼け止めについて語る部屋に参加した」。

Clubhouseではビューティ分野の業界人がアドバイス、ネットワーキング、投資を求めて参加しており、複数のB2Bの機能を果たしている。業界人たちはこのアプリを使って、デジタルマーケティング、スタートアップ、化学成分、持続可能性、パッケージにおける革新、製品のポジショニング、インフルエンサー、多様性とインクルージョンといった、考えられるほとんどすべてのビューティトピックについて議論している。

「これはまったく前例のないことだと思う」と、ワリエビ氏は述べた。「Clubhouseの素晴らしい点は、誰かがステージに上げてくれると、自分も会話の一部になれることだ」と、彼女は述べる。「誰もが平等な場所を作るようなものだ」。

「質の高い情報が無料で得られる」

「生配信のウェビナーとしてパッケージ化して販売されるべきほど質の高い情報が無料で(Clubhouseに)たくさん存在している」と、Clubhouseに5万6000人以上のフォロワーを持つビューティインフルエンサーのミン・リー氏は言う。彼女は、このアプリが非白人の小規模企業の起業家に情報へのアクセスを開放したと指摘する。「正直なところ、この種の情報を無料で得られたことはない」と、彼女は述べた。仕事のために、彼女はデジタルマーケティング戦略についての話にアクセスするという。彼女が受け取ったアドバイスのひとつに、テキストベースのソーシャルアプリであるコミュニティ(Community)を美容院の店舗で使うべきだというものがあった。それによって、コンバージョン率が劇的に上昇したという。

「私はメモを取り、それを自分のコミュニティに持ち帰る。私たちは自分たちのための部屋を持ち、そこで同じ情報を共有する」と、彼女は述べる。

リー氏は、210万人以上のClubhouseフォロワーを持つ、このアプリで最大級の影響力を持つ音楽マーケティングの大物カレン・シビル氏との講演を共同主催している。シビル氏とリー氏はポッドキャストを一緒に主催しており、Clubhouse上ではリスナーのためにポッドキャストの視聴後の談話会やその他のイベントを開催している。

「私が(Clubhouseで)持っている影響力を使って、ほかの女性たちも(情報に)アクセスできるようにしている」と、シビル氏は言う。彼女はビューティ業界を含むさまざまな業界の黒人女性起業家を特集した黒人歴史月間Clubhouse会議を毎週主催している。

「カンファレンス体験とは考えていない」

マーダラ氏によると、人々が正直にかつ率直な話ができる、このアプリの性質とフォーマットはユーザーを引きつけるのに役立っているという。

「私はClubhouseをカンファレンス体験とは考えていない」と彼女は言う。この体験を、人々が準備なしにその場で思いついたことを話す「ディナーパーティーやバー」にたとえた。「クリエイティブな人々、言いたいことがある人々がステージに上がって話をすることができる、まさにたまり場のような場所だ」。

ナイキ(Nike)、レブロン(Revlon)、エスティローダー(Estée Lauder)の元デジタル部門責任者、スワン・シット氏は「このプラットフォームでは人々は驚くほど正直で、弱さをさらけ出している。また、彼らは広報担当者に『こう言いなさい』と耳元で囁かれたりしていない」と述べる。彼女は200万人のフォロワーを抱え、アプリ上ではインフルエンサーのグリフィン・ジョンソン氏、作家のマルコム・グラッドウェル氏、タイムズアップ(Time’s Up)のCEOのティナ・チェン氏など、さまざまな有名人と話をしている。「驚くようなゲストが現れる、という要素は驚異的だ」と、彼女は言う。「ポッドキャストとは異なる。ポッドキャストでは(Clubhouseで実現するような)ゲストの組み合わせはなかなかあり得ない」。彼女はスタートアップが資金を得るための、著名なVC投資家を集めたClubhouseのピッチルームを運営している。

インフルエンサー代理店のトライブ・ダイナミクス(Tribe Dynamics)の共同創立者であるコナー・ベグリー氏も、Clubhouseは「比較的カジュアルな性質だ」という。彼はトライブ・ダイナミクスと共同で毎週金曜日にビューティイベントを開催し、ブリオジオ(Briogeo)のナンシー・トワイン氏、スーパーグープ(Supergoop)のアマンダ・ボールドウィン氏、ミルク・メイクアップ(Milk Makeup)のスコット・サッサ氏などのビューティエグゼクティブが参加している。ベグリー氏はClubhouseに「1日2〜4時間」を使うことを勧めている。「あなたは、完全に受け身で使うことができる。動画を見ているわけではないので、ただオンにして流した状態で聴いて、何か考えが浮かんだ時に参加することができる」。

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シュミッツ・ナチュラルズ(Schmidt’s Naturals)の創設者であるジェイミー・シュミット氏と彼女の夫であるクリス・カンティーノ氏は、メンバーが2万1000人を超えるクラブCPG(Club CPG)をClubhouse上に創設した。シュミット氏の会社は、2017年にユニリーバ(Unilever)に買収されている。彼女はClubhouseについて、「ほかの人のためのリソースになる機会だ」と考えていると述べた。「1対1のコンサルティングを求める人もいるが、その週のスケジュールに時間がないときもある。そんなときは、私と一緒にパブリックな会話に参加してもらうように提案する。これは多くの人々にリーチする素晴らしい方法だ」。

「これはB2Cの大きなチャンスだ」

ClubhouseはB2Cのチャンスを与える場としても成長しており、専門家がスキンケアのアドバイスやメイクアップ、カルチャーに関する話題について講演を行っている。

「スキンケアのヒントからビジネスのヒントまで、何でも手に入る。これはまったくもって驚くべきことだ」とシビル氏は言う。ブランドアカウントを認証する仕組みはないが、ベネフィットコスメティクス(Benefit Cosmetics)やグローレシピ(Glow Recipe)などのビューティブランドはアカウントを持っている。グローレシピはClubhouseでビューティトークを主催し、同社のインスタグラムアカウントで宣伝している。

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ほとんどの場合、Clubhouse上のビューティブランドたちはファウンダーがスピーカーとして登場する。たとえば、ドクター・バーバラ・シュトゥルム(Dr. Barbara Sturm)はシュトゥルム医師がスキンケアセッションを主催し、一方、トピカルズ(Topicals)のファウンダーであるオラミデ・オロウェ氏はブランデッドトークを開催した。一部のファウンダーは、Clubhouseでの会話のなかで、リスナーたちに限定割引コードを提供している。

「私はまだ(会社の)ブランドとしては参加したくないと考えている。自分自身のブランドのためにClubhouseを使って、私の専門知識を人々に提供し、それを業界の第一人者たち(ソートリーダーシップ)のために共有したい」とロビンソン氏は言う。

「(Clubhouseを)B2Bのチャンスだと思う人もいるかもしれないが、これは間違いなくB2Cの大きなチャンスだ」とタラビ氏。「真の意味でコミュニティ空間だ」。

彼女は「消費者たちと会話を始め、コミュニティにチャンスを作り始めれば、その分野におけるブランド力は強くなるだろう」と付け加えた。

[原文:‘I’m completely addicted’: The rise of beauty clubhouse

LIZ FLORA(翻訳:塚本 紺、編集:長田真)