「GDPR コンセントストリング不正は、金銭面で大痛手だ」 : あるアドテク幹部の告白

今年8月、アドテクベンダー4社が偽のコンセントストリングを同定したと、警告を発した。コンセントストリングは、パブリッシャーの同意管理プラットフォーム(CMP)が生成し、同パブリッシャーの全デジタルアドパートナーに提供されるもので、パーソナライズド広告のインプレッションについて、ユーザーの同意を得ているか否かの判別に用いられる。どうやら、この件はいまだ決着を見ていないらしい。

匿名性を保証する代わりに本音を語ってもらうDIGIDAYの告白シリーズ。今回は、コンセントストリングの不正操作のせいで数10万ポンド(約1400万円)もの損失を負いかねないと不満を漏らす、あるアドテク幹部に話をうかがった。

なお、読みやすさを考慮し、発言には多少編集を加えてある。

――コンセントストリング不正は現在、どの程度の問題?

話題に上ることがかなり増えている。いくつかのデマンドサイドプラットフォーム(DSP)は、同じドメイン用に異なるエクスチェンジを介して来る異なるコンセントストリングを調べて、コンセントストリングの異常を検知している。他に比べて同意のレベルが明らかに低いエクスチェンジはDSPから警告を受けるのだが、皮肉なことに、そういう目立つところは異常でない場合が多い。

――どういうこと?

一見して同意リクエストの数が少ないエクスチェンジは、コンセントストリングスに手を加えていないからそう見えるだけで、じつは違う。不正をしているところは、バレないようにしている場合が多い。わからないようにストリングスをいじっているか、あるいはもっと悪質な手を使っている。

――不正に種類は?

ある。私の知るかぎり、大きく分けて2種類。GoogleのCMPが生成するコンセントストリングと、インタラクティブ・アドバタイジング・ビューロー・ヨーロッパ(IAB Europe)のGDPRフレームワークのCMPが生成するストリング、つまりIABコンセントストリングとの間に相互運用性がないことが原因となっているものがひとつ。どちらも目的は同じで、インプレッションがパブリッシャーのアドテクパートナーに同意を得ているか否かを確認するためのものなんだが、互いに使っているコードが違うし、誰もが相互運用が可能になって欲しいと思っているのに、なっていない。DSPのなかには、Google版コンセントストリングの読み方さえわからないところもある。というわけで、いくつかのベンダーはストリングスを操作して、どちらの環境でも使えるようにしている。

――それは理解できる気もしますが。

ある意味では。とはいえ、きちんとルールに従っているエクスチェンジにしてみたら、腹立たしいことこのうえない。商売上、圧倒的に不利になるだからだ。うちはIABのルールにきっちり沿っているが、そのせいで痛手を受けている。うちだけじゃない、ストリングに手を加えていないところはどこも、マイナスを被らされている。同じ規模のインベントリを金に換えられないからだ。ストリングをいじっているところは、傷が浅い。それなのに、IABはいまだ、目に見えるかたちでは、ほとんど動いていない。

――損失額はどの程度?

数10万ポンドに上る可能性がある。

――もう1種類の不正は?

もっと汚いやつもある。一流ベンダーの間では、少なくとも表向きには行なわれていないが、二流、三流のベンダーやミッド~ロングテールのパブリッシャーは手を染めている。私の知っているものでは、たとえば、パブリッシャーに「同意を得ているが、IAB CMPを使用していない場合は、ここをチェック」といった選択肢を与えておいて、いかにもIABコンセントを得ているようなストリングを作るとか。

――あなたのビジネスへの影響は?

そういう悪質な行為は小規模のエクスチェンジの間で横行しているから、実質的な影響力はおそらくさほどでもない。一方のフレームワークからもう一方にコードを変えている場合のほうが、影響力は大きいかもしれない。いずれにせよ、これは2019年に向けて、より深刻な問題として受け止め、解決法を探していく必要があると考えている。

――初期に特有の問題だと?

コンセントストリングが適切に伝達されていない例はまだまだある。技術的な問題で、必ずしもごまかしのせいではなく、業界のエコシステムが複雑すぎるためでもある――コンテナやヘッダー入札、タグなど、パブリッシャーがデマンドとつながる方法は山ほどあるし、そのなかでどこかに紛れ込んでしまうものもある。コンセントストリングを正しく、しかもきちんと読める方法で確実に伝達するためには、よりいっそうの努力が必要になってくると思う。

――この不正を止める方法は?

これが厄介なのは、最終的にはバリューチェーンに支障を来す点だ。より大きな、アドフラウド(不正広告)絡みの問題に似ていなくもない――厳しく取り締まられると、やる気を失ってしまう企業は少なくない。誰だって、売上につながるからこそ頑張ろうと思うし、いくら法を守っても、ボーナスはもらえない。数字をクリアしてはじめて、ボーナスはもらえる。実際の話、不正をなくしたいと本気で思っている企業は、アドバタイザー(広告主)だけじゃないか。自分ところの予算に関わる問題だからだ。

Jessica Davies(原文 / 訳:SI Japan)