「Hulu には選択肢があり、それが Hulu をより良くする」:マーケティングチーフのK・キャンベル氏

Hulu(フールー)のマーケティング担当チーフであるケリー・キャンベル氏は、目前に大きな課題を抱えている。

ストリーミング業界に進出する企業が増加しているなかで、Huluはブランドやストリーミングサービスとして抜きん出た存在となり、臨機応変に対応する必要がある。つまりこれは、マーケティングに巨額の軍資金が必要であり、ストリーミング動画の領域で勝利することに夢中になっている新たな親会社の力を借りて立て直しを図ることを意味する。

ケリー・キャンベル氏へのインタビューの要約をお届けする。

――Huluは大規模なマーケティングキャンペーンを推進している。これはなぜか?

私が(2017年7月に)Huluに入社したときは、ブランドを活気づけることが最優先事項だった。消費者の獲得を重視してきた。

――そして、消費者をサブスクライバーに変えてきた、と。

その通りだ。

――そういった面では、Huluにとって大きな意味のある年となったわけだ。サービスのサブスクライバー数は、2018年の年初から1000万人増加したわけだが、サブスクライバーを獲得するうえでマーケティングが果たした役割はどの程度だったのか?

マーケティングは大きな役割を果たしたが、マーケティングだけでサブスクライバーの獲得が実現できたわけではない。Huluについて考えてみると、Huluは、作品であり、カスタマーエクスペリエンスであり、コンテンツであり、サービスでもある。これらはすべて関連しあっている。マーケティングの視点から私たちのブランドを活気づける取り組みは、内部的にも外部的にも効果的だった。

大規模なブランドキャンペーンが共感を呼んだのも確かだ。たとえば、ドキュメンタリー作品「ファイア・フラウド(Fyre Fraud)」をNetflix(ネットフリックス)に5日先行して配信開始したときには、非常に大きな話題になった。この2月には、スーパーボウル(Super Bowl)の期間中に「ハンドメイズ・テイル(Handmaid’s Tale)」シーズン3のトレーラーの配信を開始した。この作品は、レーガン氏の「モーニング・イン・アメリカ(Morning in America)」のコマーシャルからヒントを得たものだ。こういったことは、簡単な決断ではなかったが、功を奏した。だから、引き続きこれらの方法で活気づけを行うつもりだ。

――ストリーミング動画の領域は、群雄割拠で、ディズニー(Disney)やワーナーメディア(WarnerMedia)などから新たなサービスが登場し、競争が激化しつつある。Huluはどのようにして抜きん出た存在となり、消費者から見た場合、Huluは、ほかとはどのように異なり、欠かせないものであるというメッセージを送るつもりなのか?

この領域において競争が激しくなっていることは確かだが、これは良いことでもある。なぜなら、競争によってイノベーションに拍車がかかり、私たちは細心の注意を常に払うようになるからだ。しかし、消費者のあいだで混乱が起こり得る。私たちの目標は、Huluが消費者に対してより良いテレビの視聴機会を提供することを常に明確にしておくことだ。つまり、Huluを差別化するものに対し、消費者に注目してもらうことであり、広告の表示の有無にかかわらず、テレビのライブ放送やオンデマンド放送をストリーミング配信する際、どこよりも多い選択肢を提供し、コントロールができるようにすることだ。

Huluでは、HBOやショータイム(Showtime)、シネマックス(Cinemax)などのプレミアム作品も視聴できる。私たちの領域におけるケーブルテレビ、あるいは一般放送、その他いくつかのストリーミング企業の配信とは異なり、Huluを利用すれば、これらのプランを簡単に切り替えられる。サッカーが好きなら、シーズン中はHuluライブテレビ(Hulu Live TV)に加入し、オフシーズン中はオンデマンドオプションに戻すことが可能だ。これには何の問題もない。私たちは、これがテレビを視聴するより良い方法だと消費者に言っている。私たちは、この群雄割拠のエコシステムを確実に切り抜ける必要があり、このようにして直接的なつながりを生み出している。

――Huluの広告ビジネスは、2018年で広告収益が15億ドル(1630億円)と巨額だが、HuluのCEO(最高経営責任者)の最近のコメントからは、Huluが消費者に対して広告なしのオプションをこれまで以上に強調することをほのめかしているように思えるが、これはなぜだろうか?

消費者に選択肢を提供し、コントロールできるようにすることに立ち戻るためだ。私たちHuluの広告なしプランはその一例だ。私たちには、選択肢があり、その選択肢がHuluをより良くするものだと顧客に知ってほしいと考えている。私たちはすでに現在、このメッセージを掲げて市場でキャンペーンを実施している。この選択肢を今後も強調することになるだろうが、その一部として、ライブ放送やオンデマンド放送、広告の有無についても話している。(この広告なしオプション)は、私たちのストーリーの一部であり続けるだろうが、これがストーリーのすべてであるとは考えていない。

――サブスクリプションサービスのマーケティングを行う際、ブランドとパフォーマンスのバランスをどのように取っているか?

どちらを取るかという問題ではない。パフォーマンスに投じる費用とブランドに投じる費用の投資方法に関して尋ねられることが多いが、これらすべてを管理するチームをひとつ設けている。このチームにこれらすべての投資手段の包括的な管理を行い、常に最適化してほしいと考えている。

――外部のクリエイティブエージェンシーやメディアエージェンシーと協働するのではなく、社内でマーケティングを行う割合はどの程度か?

私たちは今年、40本以上のオリジナル番組と映画を配信する予定だ。それらのプロジェクトのひとつひとつは、独自のブランドプレゼンスを持ち、たいていの場合、独自のキャンペーンを実施している。私たちは、クリエイティブエージェンシーとメディアエージェンシーの両方を扱う社内プロジェクトを有しているが、指定のクリエイティブエージェンシーやメディアエージェンシーとも関係を築いている。私たちはこの道を歩み続けるつもりだ。なぜなら、ブランド1社で長いあいだ働いた場合には得られない視点を持つ外部のエージェンシーと関係を築くことにメリットがあるからだ。

――今年はマーケティングにどの程度投資する予定か? 多額の資金が投じられそうだが。

そのとおり。多額の資金だ。

――具体的な数字を教えてもらえるだろうか?

申し訳ないが、それはできない。

Sahil Patel(原文 / 訳:Conyac