Googleは4月5日(現地時間)、YouTubeのライブTVサービス「YouTube TV」をローンチした。ディッシュネットワーク(Dish Network)の「スリングTV(Sling TV)」やAT&Tの「ディレクTV Now(DirecTV Now)」など、インターネット動画配信サービスの競合となる。
YouTubeがついにテレビ事業に参入する。
Googleは4月5日(現地時間)、YouTubeのライブTVサービス「YouTube TV」をローンチした。ディッシュネットワーク(Dish Network)の「スリングTV(Sling TV)」やAT&Tの「ディレクTV Now(DirecTV Now)」、そしてHulu(フールー)の新サービスなど、インターネット動画配信サービスの競合となる。
月額35ドル(約3800円)で視聴可能なのは、メジャーな放送局やESPN、FX、そしてFoxニュースをはじめとする人気ケーブルテレビなど、40以上に渡るYouTube上のチャンネル。また、AMC、IFC、BBCなど、新たに10のチャンネルが近々加えられる予定だ。ローンチ段階では、ニューヨークやロサンゼルスなど、アメリカの5都市でサービス利用が開始された。
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基本的には「YouTube TV」は、「スリングTV」や「ディレクTV Now」といった、テレビチャンネルを低価格で提供しているサービスと同様、ほとんど違いはない。動画事業は参入がそこまで難しくなく、ケーブルテレビの契約数が減少し続けているなか、「スリングTV」や「ディレクTV Now」は約120万人の登録者を誇る。
YouTubeは「YouTube TV」によって、さらにコアなユーザーへリーチする。そのターゲット層は18-34歳で、彼らにより長くコンテンツを体験してもらおうとしているのだ。
「2年前から、このサービスについて構想をはじめていた」と語るのは、YouTubeのコンテンツパートナーシップのバイスプレジデント、ケリー・メリーマン氏。「広告の入る動画の傾向を観てきたところ、TVクリップはユーザーに人気があることがわかった」。
だからこそ、人気トップ20のテレビ番組のなかで、19の番組を配信することにした。大手放送局や、ESPN、Foxスポーツ1、NBCSNなど、ケーブルのスポーツチャンネルから、「ウォーキング・デッド(The Walking Dead)」や「エンパイア(Empire.)」、さらにライブスポーツなども提携配信。Foxスポーツやコムキャストスポーツネットという、地域のスポーツケーブルネットワークとの提携からの恩恵も大きい。
「YouTube TV」は、一部を除いてTVで視聴可能なほとんどの番組を同プラットフォームでも視聴できるようにしようとしている。一部除外されているのはバイアコム(Viacom)のMTVと、コメディ・セントラル(Comedy Central)はラインナップのなかには入っていない。また、「ショータイム(Showtime)」は月額11ドル(約1200円)の追加で視聴できるが、HBOチャンネルは配信対応していない。
メリーマン氏は、「我々はいつも提携パートナーと会話をしているし、提供している番組コンテンツについてはどれも素晴らしいものばかりだ」と語る。
もちろん、広告も売ることになる。具体的には、1時間の番組ごとに入る、2分間の掲載枠だ。また、「YouTube Red」のオリジナル動画や番組も「YouTube TV」に加えられる。登録者には、YouTubeエコシステム内のショートフォーム動画クリップの視聴も可能になる。たとえば、「レイトショー・ウィズ・スティーヴン・コルベア(The Late Show with Stephen Colbert)」の番組ページでは、登録者はライブ視聴、オンデマンド視聴、前回放送分のショートクリップ視聴が可能だ。
「YouTube TV」のアプリも、YouTubeアプリとディープリンクで連動する形で、トレンドのテレビ番組セクションでコンテンツを提供する。
「YouTubeは毎月、何十億人ものユーザーにリーチしていて、ユーザーたちは毎日膨大な時間視聴している。彼らが望むコンテンツ体験を提供するべきだ」と、メリーマン氏。「YouTubeと『YouTube TV』でユーザーを繋ぐチャンスは十分にある」と語った。
Sahil Patel (原文 / 訳:中島未知代)
Image from 米DIGIDAY