ウォルマートは、いかに新しい配送機能を構築してるか?:Amazonとのデリバリー競争

ウォルマート(Walmart)は、Amazonとのデリバリー競争に備え、新しいデリバリー機能を積極的にテストしている。両社とも自社開発を行い、スタートアップとの提携関係を構築している。

過去2週間で、ウォルマートは、食料品配達サブスクリプションサービスのAmazon Keyに似た家庭向け食料品デリバリーを、また、直近では、ガーティック(Gartik)というシリコンバレーのスタートアップとの提携を発表し、自律運転するトラックを利用した倉庫とフルフィルメントセンター間の商品の配送を試験的に開始した。

フォード(Ford)、ユーデルブ(Udelv)、およびデリブ(Deliv)などの企業とのラストワンマイルデリバリーパートナーシップをはじめ、翌日配達の発表にいたるまで、すでにウォルマートが過去1年間に実施している実に多様な配送関連の取り組みのひとつとして、こちらが加わる。さらに同社は、年末までに食料品の配達を提供する店舗の数を倍増すると公表している。

ウォルマートの投資方法

それにもかかわらず、Amazonは、出荷の迅速さ、同日または翌日配達に利用可能な商品の幅広さの点で、はるかに先行している。ウォルマートは限られた数の都市で翌日配達が利用できる商品22万点を用意しているが、一方でAmazonはAmazonプライム(Prime)を利用して当日配達できる商品は数百万点にのぼると最近発表している。これに対抗し、ウォルマートは、アメリカ人家庭の90%がウォルマートの店舗から15分圏内にあると主張しており、特に食料品のピックアップサービスを通じて地方および郊外の顧客に素早くリーチするために店舗拠点を活用することに賭けている。これはターゲット(Target)が展開している実店舗を中心にした戦略と似ている同日配達を実現するため、ターゲットが2017年に買収したシップト(Shipt)を頼みの綱としているのに対し、ウォルマートは一度に複数のスタートアップ企業と提携してリスクを分散しており、数字が振るわないパートナーの切り捨てを躊躇しないことが明らかになっている。

「ウォルマートはすべての分野への投資で素晴らしい成果を上げている。注目に値するのは、ウォルマートがこうした話題の発表の一部でマスコミの注目を得ている一方で、彼らは本物のバックエンド技術の投資にも取り組んでいることだ」と、ガートナー(Gartner)L2のアソシエートディレクター、ビル・ダフィ氏は述べている。

ダフィ氏が表現しているように、ウォルマートのデリバリーへの取り組みの「肉とじゃがいも(本質的な部分)」は食料品だ。ウォルマートがはじめに食料品のピックアップ、そしていまでは食料品の配送体制の構築に時間と労力を費やしてきているのは、食料品は顧客の購入頻度が高いカテゴリーだからだ。ウォルマートが顧客の毎週の食料品注文にとって頼りになる小売業者になることができれば、顧客が店頭で、または、オンラインで、注文をしながら他の商品も併せて購入したいと思うようになる可能性が高まる。今年末までに、ウォルマートは3100の店舗が食料品のピックアップを、そして、1600の店舗が食料品の配達を提供するようになることを計画している。また、コーエン(Cowen)の3月の分析では、ウォルマートの顧客の約11%から13%が食料品のピックアップを利用していると見積もっている。

難題の2番目のピース

難題の2番目のピースは、食料品のラストワンマイルデリバリーだ。これを解決するため、ウォルマートは顧客が継続して同社が配達する食料品を受け取る可能性を高めつつ、顧客が補充したいと思って注文する商品を簡単に受け取れる方法を模索している。それは、ウォルマートが今年テストを開始した音声による注文や家庭向け配達のようなよりニッチな注文方法から、サブスクリプションサービスのようなより主流のサービスまで多岐にわたる。

現時点で、ウォルマートは有効な解決策を見出すために豊富なオプションと機能をその課題に投じている。それは費用のかかる手法であり、食料品の配送体制を構築しながらも、ウォルマートは依然、ラストワンマイル配達を費用対効果の高いものにする方法を考案するという課題を解決できていない。同社CEOのダグ・マクミロン氏は2月の収支報告で、ラストワンマイルデリバリーのコストはだいたい「プラスマイナスゼロ」と述べている。解決策のひとつは、外部委託だ。ウォルマートは、2016年のウーバー(Uber)とリフト(Lyft)との提携を皮切りに、モビリティ分野のさまざまなスタートアップと提携してきたが、これらの提携は昨年終了している。ごく最近では、自律型ボットや車両を使った配達をテストするためにフォードやユーデルブと提携している。しかし、配達の大部分は、リース車両で構成される自社フリートを頼みとする2017年に買収したパーセル(Parcel)をあてにしているのが現状だ。

「それなりにうまくいっているようだ。必ずしも失敗するとは言いたくはないが、うまくいかなくなった場合、ウォルマートはパートナーを切り捨てるだろう」と、eマーケター(eMarketer)のeコマースアナリスト、アンドリュー・リプスマン氏は語った。

Jet.comをECに統合

一方、ウォルマートが最近行った食料品以外に関するほかの配送テストの多くは、2016年に同社が実施したオンラインマーケットプレイスJet.comの買収まで遡ることができる。Jet.comの創業者、マーク・ローリー氏は、その後ウォルマートのアメリカにおけるeコマース業務の責任者になった。ローリー氏はウォルマートが最近行った翌日配達のロールアウトに加え、ウォルマートのテックインキュベーター、ストアナンバーエイト(Store No. 8)から生まれた家庭向け食料品配達サービスやパーソナルショッピングアシスタントサービス、ジェットブラック(Jetblack)といった、より大きな物流ソリューションのいくつかを監督している。それらはいまのところ、まだニッチなサービスの提供にとどまっているが、その目的は、ウォルマートの顧客が利便性の確保のために、新たな行動に適応することをどれほど歓迎しているのか把握することだ。

しかし、ある時点で、ウォルマートはより効率的なデリバリーに弾みをつけるために、その業務を合理化する必要がある。この目的達成のため、同社は今月はじめ、残りのJet.com従業員全員をウォルマートのeコマースチームに組み込むことを発表した。ロイター通信によると、Jet.comは収益目標を達成するのに苦労していたが、ウォルマートはJet.comのベンダーの一部に対し、ウォルマートでの販売をもっと重視するよう申し入れをしていたという。それは、ウォルマートが特にデリバリーのような優先度の高い事項に関する投資について、絶えず再考を繰り返しているという合図だ。

「期待値は絶えずリセットされている。ウォルマートにとっては、Amazonが長いあいだ目障りな存在となっており、ウォルマートは彼らに追いつこうとしているのだと思う」と、ダフィ氏は述べた。

Anna Hensel(原文 / 訳:Conyac