プラットフォームはみな、独自のアルゴリズムを利用して、どのユーザーに広告を表示するのかを判断している。TikTokも例外ではない。 FacebookやGoogleがセルフサービスのオークションで利用している広告ランキング […]
プラットフォームはみな、独自のアルゴリズムを利用して、どのユーザーに広告を表示するのかを判断している。TikTokも例外ではない。
FacebookやGoogleがセルフサービスのオークションで利用している広告ランキングアルゴリズムと同じく、TikTokのセルフサービス製品では、一番高い値をつけた入札者がもっとも質の高い広告スロットを落札できるわけではない。さらに、TikTokのランキングアルゴリズムでは、広告の質やユーザーがその広告でアクションを起こす確率も、「おすすめ」フィードに表示される広告の順序を決める要素となっている。
米DIGIDAYでは、広告ランキングアルゴリズムのしくみや競合プラットフォームとの違いについてTikTokにコメントを求めたが、回答は得られなかった。
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TikTokのしくみ
TikTokは詳細をほとんど明かしていないが、同社のプラットフォームに詳しい広告バイヤーは、そのしくみをある程度推測している。大まかにいえば、TikTokは入札価格、広告の関連性、広告の質という3つの要素を組み合わせているようだ。これは、価格を重視しながらも、単純に質が高くて関連性の高い広告ほど人々に多くのアクションを促し、プラットフォームに利益をもたらすという考え方に基づいている。主要な広告アルゴリズムの多くも、大体同じしくみだ。また、今後は「いいね!」やシェア、コメントといったほかのエンゲージメント要素も考慮されるようになると広告バイヤーらは予想している。
「TikTokは視聴時間とループ数を非常に重視している」というのは、広告エージェンシーのメカニズム(Mekanism)でパートナー兼最高ソーシャル責任者を務めるブレンダン・ガーハン氏だ。「消費者を惹きつけて視聴を続けさせるような広告、さらにはアプリ自体の利用を促す広告が最高のパフォーマンスを発揮するようになるといって間違いない。TikTokはなによりもまず、視聴時間で測定される関連性の側面に重きを置いているようだ」。
ほかのプラットフォームとの違い
TikTokの広告フォーマットは同社独自のもので、かつては誰もが「ネイティブ」フォーマットと呼んでいた。音声のオン/オフを切り替えることができ、スワイプ操作も可能なTikTokの動画フィードは、検索結果ページやFacebookのニュースフィードとは明らかに違う。メカニズムのガーハン氏によれば、TikTokのインフィード動画広告に表示されるアクションボタンは、動画が5秒以上再生されるまでクリックさえできない。それでも、クリックスルー率(CTR)は、Facebookのニュースフィードやストーリーズと比べて低いと複数のバイヤーは米DIGIDAYに述べている。
「TikTokのユニークな点は、クリエイティブな環境とTikTokが培ってきたコミュニティだ」とメカニズムのガーハン氏は話す。また、スポンサー企業がダンスやトリックの広告動画を投稿し、ユーザーに同じダンスやトリックの投稿を促す「チャレンジ」広告フォーマットもTikTokならではのものだ。
しかも、TikTokは比較的新しいプラットフォームであるため、オークションでの競争がそれほど激しくなく、競合と比べてインプレッション単価(CPM)が低いとバイヤーらは述べている。したがって、広告ランキングに影響を与え、入札コストを引き下げたりするうえで、クリエイティブにはさらなる余地があるだろう。
とはいえ、TikTokは急速に勢いを増しており、新しいフォーマットや測定ツールを次々と取り入れている。モバイル測定企業のシンギュラー(Singular)によれば、TikTokでは昨年11月の広告支出が半年前の75倍に達していたという。
効果的な広告を作るには?
これはシンプルだが難しい問いだ。ユーザーは広告を見るためにTikTokを利用しているわけではないため、彼らを遠ざけないような質の高い広告をコンスタントに制作する必要がある。
「アカウントの総合的な品質スコアといったものが存在する可能性が高い」と指摘するのは、ピュブリシス・メディア(Publicis Media)傘下のエージェンシー、スターコム(Starcom)でマネージングパートナーを務めるポール・カサミアス氏だ。「あなたが運用しているアカウントが低品質のプロモーションを立て続けに行えば、コストの引き上げというペナルティが科せられるだろう」。
TikTokは広告主に対し、クリエイティブとコンテンツを多様化することを推奨している。しかし、広告主がTikTokのプラットフォームに慣れていないのなら、5回目の有料投稿やオーガニック投稿までは、広告のテーマやタイプに一貫性をもたせるべきだとカサミアス氏はアドバイスする。そうすれば、その広告主がTikTokのプラットフォームで何を目指そうとしているのかをTikTokが容易に判断し、カテゴライズできるようになるからだ。
「さまざまな意味をもたせたり、いろいろなクリエイティブを使ったりしていると、市場に伝えたいメッセージがわかりにくくなり、どの分野の専門家としてカテゴライズされたいのかが、あいまいになってしまう。この点でSEOと非常によく似ている」と、カサミアス氏はいう。「TikTokでは、このプラットフォームにフィットしていることがきわめて重要になる。しかも、その重要性がほかのソーシャルプラットフォームよりもおそらく高い」。
Lara O’Reilly(原文 / 訳:ガリレオ)