インスタグラム 、無名だが有望な D2C ブランドをあと押し:「@shop」アカウントの狙い

インスタグラム(Instagram)が自社アカウントのひとつを活用して、もっと多くのファッションブランドやビューティブランドに、同社のプラットフォーム上で商品を販売してもらおうと画策している。

2020年は早くも、D2C(Direct to Consumer)ブランドを皮切りに、インスタグラムでの物販事業にとって重大な年になると見られている。インスタグラムは2019年にショッピング機能とチェックアウト機能の強化に着手した。実際、リボルブ(Revolve)、グッドアメリカン(Good American)、ワービーパーカー(Warby Parker)、バルマン(Balmain)、アウトドアボイシズ(Outdoor Voices)などのブランドは、みな昨年のうちに、インスタグラムにショップを開設している。

一方、もっと小規模で、知名度が低いブランドに関しては、昨年5月に立ち上げた「@shop」アカウントを活用して、事業に弾みをつける支援を提供している。「@shop」は中小のブランドを無料で紹介する仕組みだが、フィーチャーされたブランドが有料のショッピング機能を一部なりとも使ってくれればよいとの期待もある。チェックアウト機能の利用に関しては、セラーから手数料を徴収している。

フォロワーはすでに20万人

1月第2週、「@shop」アカウントのフォロワーは20万人に達したが、同アカウントの編集責任者を務めるリー・ベルツレイ氏によると、これは「完全に有機的な成長」という。「純粋に、編集部が投稿する記事をフォロワーが共有したり話題にしたりした結果だ」。

ベルツレイ氏によると、「@shop」アカウントは、毎日記事を投稿し、数カ月も前からコンテンツを計画するなど、ニュースサイトのような形で運営されている。通常、掲載予定のブランドは2カ月先まで決まっている。編集部のスタッフは、インスタグラムのコミュニティで人気上昇中の投稿を調べ、そこから次の特集の着想を得ている。

ベルツレイ氏の説明では、「社内にコミュニティラボ(Community Lab)というチームがあり、このチームと密接に連携しながら、時々の興味や関心を追跡し、それを参考に『@shop』で取り上げるブランドを選んでいる」という。

「@shop」では、毎日、さまざまな企業のメインフィードから少なくともひとつの投稿をフィーチャーする。通常はデジタルネイティブな、または消費者直販のブランドが選ばれる。たいていはファッション系またはビューティ系のブランドだが、最近はインテリア方面にも触手を伸ばしている。投稿記事には目玉商品のクローズアップ画像を使用し、キャプションにはブランド創業者のコメントを載せる。ブランドの生い立ちなど、もっと深掘りしたいときは、IGTVも活用する。

「@shop」が取り上げる情報

各ブランドは「@shop」のストーリーでも紹介してもらえる。ストーリーでは通常、商品がどこでどのように製造されるかなど、ブランドに関する背景情報を提供する。もちろん、投稿とストーリーの掲載商品はすべてその場で購入できる。いずれの商品画像もタグ付けされており、顧客はブランドのウェブサイトまたはアプリ内のチェックアウトに誘導される。現時点でチェックアウト機能を利用できるのは、ジュエリー販売のダナレベッカデザインズ(Dana Rebecca Designs)、衣料品販売のナトリ(Natori)、ハンドバッグブランドのパリサワン(Parisa Wang)など、「@shop」で取り上げられた20社程度のブランドに限られる。

たとえば、ミランダベネットステュディオ(Miranda Bennett Studio)はオースティンに本社を置く、フォロワー3万700人のアパレル企業だが、「@shop」の投稿には、創業者本人が自社ブランドの商品2点(具体的には普段使いのシルクワンピースに麻のカシュクールを合わせたツーピース)を着用した画像が使われた。どちらの商品も個別にタグ付けされている。ベルツレイ氏率いる編集チームは、各ブランドに直接取材し、静止画像や動画など、「@shop」用のオリジナルの素材を確保している。

ベルツレイ氏はこう説明する。「いまどきの消費者は、自分の金の使い先について、昔よりも意識が高く、情報通でもある。そこで私たちは製品がどこで作られ、どのように[消費者の]役に立つのか、より多くの情報を共有しようと考えた。創業者や製造場所など、追加的な情報があれば、購入者の裁量の幅も広がるだろう」。

インスタグラムは「@shop」に掲載したブランドの具体的な売上データを開示していないが、インスタグラムチェックアウト(Instagram Checkout)を利用しているブランド側とはデータを共有している。つまり、顧客が外部のeコマースサイトではなく、アプリ内で商品を購入する場合に限り、データを提供しているということだ。ほかのブランドはみな、「@shop」アカウントから各社のサイトに流入するトラフィックとセールスのデータを見ている。

「ブランドの信用に箔が付く」

インスタグラムを通じてオーディエンスを増やしたい小規模なブランドにとって、「@shop」アカウントとの連携は認知度の大幅アップにつながる。そう指摘するのは、eコマースのマネジメントを請け負うスケールファスト(Scalefast)でマーケティングディレクターを務めるエヴァ・ポウレシャー氏だ。インスタグラムのデータによると、商品タグをタップして詳細情報を確認するユーザーは、毎月1億3000万人にのぼる。

ポウレシャー氏は「@shop」の効用についてこう説明している。「このアカウントでインスタグラムのお墨付きをもらえば、ブランドの信用に箔が付く。これはソーシャルプラットフォームでの標準的な有料広告では得られない効果だ。ソーシャルのユーザーは、フェイク画像を使った違法ブランドや偽ブランドの広告に心底うんざりしている。このようなお墨付きは買い物客を安心させる一方、ブランドはトレンディでこのプラットフォームにふさわしいという位置づけを確立できる」。

KATIE RICHARDS(原文 / 訳:英じゅんこ)