Google とインスタ、ファッション分野のコマースで激突:画像検索技術で追撃成るか?

Googleショッピング(Shopping)は10月3日、Googleレンズ(Lens)の画像認識技術を導入した大規模なアップデートが行われた。これによりファッション関係の商品のスタイルが分かりやすくなり、Googleショッピングはコマースだけではなく良いものを見つけるためのプラットフォームへと進化を遂げた。この新機能は、最近ファッション向けのアップデートを行ったインスタグラム(Instagram)に対抗するものだ。

Googleショッピングの今回のアップデートには、ほかにもいくつかの新機能が投入されており、たとえばユーザーは手持ちのファッション商品の画像をアップロードして、それに合うような商品を探すこともできる。また、オンラインで見つけた商品画像やその商品を着た人の画像をアップロードして、それに似た商品や、それに合うほかの商品を探すことも可能だ。さらに価格の追跡機能や、商品がいま近所のどこで売られているかといった情報も追加される。

スタイルのおすすめ機能は、現在ファッションおよび美容業界で大きなトレンドとなっている。若いカスタマーは、ファッション関する他人からのアドバイスやおすすめをほかの世代以上に重視する傾向がある。今回の良いものを見つける機能の導入は、このトレンドに合わせた進化となっている。カスタマーに商品を使ったスタイルや見た目を伝えることで、購入の最後のひと押しになりうるのだ。

「ここ2年で、インフルエンサーマーケティングは大幅に効果が薄れている」と語るのが美容ブランドのグロー・コンセプト(Glow Concept)のCEO、ナタリー・マッキー氏だ。「Z世代は友人や同僚からのおすすめを重視している」。

Lens style ideas on coat

インスタグラムとの比較

今回のアップデートは、インスタグラムのメジャーアップデートからわずか数日のあいだに行われた。インスタグラムはオンラインで支払いできるようになり、ブランドは発売前の商品を宣伝して、カスタマーが発売と同時に購入可能になった。

いずれのプラットフォームもショッピングのオプションを重視しているが、どちらにも明確な利点と欠点がある。Googleの強みは検索のボリュームだ。世界中の大半の地域で検索プラットフォームといえばGoogleであり、何を調べるときもGoogleが使われている。だがGoogleショッピングはインスタグラムのチェックアウト機能と比べると劣る点もある。

「(Googleレンズによるスタイルおすすめ機能は)Googleショッピングにとって良い追加機能であるものの、別のアプリをダウンロードしなければ使えないし、iOSにはまだ対応していない」と、小売ソフトウェア企業のエンビスタ(enVista)で小売マーケティング担当バイスプレジデントを務めるデイビッドナウマン氏は、指摘する。「アプリ疲れのカスタマーも多く、スマホにどのアプリを入れるか慎重になっている。この機能はショッピングアプリに組み込む方がすっきりしたやり方だったのではないか」。

ソーシャルコマースプラットフォームのキュラレイト(Curalate)でCEOを務めるアプ・グプタ氏は、両者の違いはプラットフォームの使い方の違いから来るものだと分析する。Googleはすでに何が必要かわかっているユーザーが、必要なものを探すために使うプラットフォームだ。用語の検索やGoogleレンズ機能を用いた写真のアップロードについても、これは当てはまる。一方、インスタグラムは特に決められていない何かを探すことに主眼が置かれている。

「いまのインスタグラムは検索ありきではない。スクロールしていって、そのなかに自分が良いと思えるものがあるのだ」と、グプタ氏は説明する。「さらにそのコンテンツを購入できるようになっている。良いと思った瞬間を活かそうとしているのがインスタグラムだ。Googleは、あらゆる人の人生にさまざまな局面で毎日関わっている。このうえで、Googleはショッピングのためのエンゲージメントのチャンスを作り出していく必要がある。インスピレーションを探し求める体験を生み出し、捉えるために、Googleはさらなる努力が必要だろう」。

「消費者の認識」が大きな障壁

インスタグラムのチェックアウトが開発されたのは最近だが、同機能はインスタグラムをECにおける超大手に押し上げる兆しを見せている。ソウルサイクル(SoulCycle)やアライバルズ(The Arrivals)といったブランドはすでにインスタグラムをECで活用し、成功をおさめているドイツ銀行(Deutsche Bank)のアナリストによれば、インスタグラムユーザーのほぼ半数がインスタグラムのチェックアウト機能を使っており、8割以上がこれからも利用すると回答している。これは同銀行の当初の楽観的な予測をさらに上回る数値だ。

Googleはこれについていくため、同社とファッションの結びつきについて、人々の認識を変えていく必要がある。Googleはすでに今年のミラノコレクションでベルサーチ(Versace)と提携して大きな存在感を発揮している。同コレクションでは会場に映し出されたGoogleの検索画面に応えるようにジェニファー・ロペス氏がサプライズで登場し、会場は驚きにつつまれた。メディアは大きく取り上げ、これによるメディアの収益は940万ドル(約10億円)に達した。多くの人にとって、ファッションスタイル関連のソーシャルメディアアプリといえばインスタグラムとなっている。Googleによるスタイルのおすすめ機能は、この現状を変える一歩といえるだろう。

「インスタグラムのチェックアウト機能は、デザインとスタイルの分野において発見から購入までの流れが消費者にとってシームレスだ」とナウマン氏は語る。「Googleショッピングに対するインスタグラムの強みは、最初からスタイルとデザインに焦点を置いたアプリであることだ。だからこそ消費者はファッションの検索にインスタグラムを使う。Googleが最高の検索エンジンであることは疑いようもない。だが消費者は、デザインのアイデアを求める場所としてGoogleを見ることはない。この消費者の認識を変えるのは容易ではないだろう」。

DANNY PARISI(原文 / 訳:SI Japan)
Photo via Google blog