インスタグラム「 IGTV 」、ブランド各社がさっそくテスト

インスタグラム(Instagram)が始めた「IGTV」が、新しいもの好きのマーケターを惹きつけている。ファストフードチェーンのチポトレ(Chipotle)、ナイキ(Nike)、Netflix(ネットフリックス)、眼鏡ブランドのワービー・パーカー(Warby Parker)、スーパーマーケットのトレーダージョーズ(Trader Joe’s)、ECサイトのエバーレーン(Everlane)、グッチ(Gucci)といったブランドが、ライトな単発動画からインフルエンサーのインタビューまで、さまざまなコンテンツを利用してIGTVをテストしている。

IGTVは、長尺動画を配信できるインスタグラム上のセクションで、専用アプリも用意されている。YouTubeキラーになる可能性もあるIGTVは、インスタグラム動画のリリースから5年というタイミングで導入された。インスタグラムのユーザーなら、誰でも自分のIGTVチャンネルを立ち上げて、最大1時間の動画コンテンツを投稿できる。ほとんどのブランドは、インスタグラムの「ストーリー(Stories)」で利用したコンテンツを使いまわしているが、IGTV用にまったく新しいコンテンツを作成している企業もある。

ブランド各社の使い方

たとえば、チポトレは、IGTVの開始当初から専用チャンネルを立ち上げ、独自の動画コンテンツを一から作成している企業のひとつだ。インスタグラムのライブイベントでIGTVが発表されるとすぐに、チポトレはこの新しいチャンネルを利用すべく、デイ・ワン・エージェンシー(Day One Agency)と共同でコンセプトの検討を開始。そして、ミュージカル映画『メリー・ポピンズ』風の動画を公開した。その内容は、男性がチポトレのバッグからブリトーなどのフードを延々と取り出すというもので、顧客との関係が途切れることはないというメッセージを込めている。この動画は、投稿できる動画の長さが60分に拡大したメリットを活かしてはいないが、これまでの1分という制限時間は超えている。この記事の執筆時点で、ビューの数は1万近くあり、コメントは30件ほどついている。チポトレがインスタグラムに投稿しているほかの動画が、平均で1万5000~5万ビューを集め、30~50件のコメントを獲得していることを考えれば、かなり良い結果だ。

「ソーシャルは、コンテンツの使い回しが通用する場所ではまったくない」と、チポトレで顧客エンゲージメントマーケティング担当エグゼクティブディレクターを務めるトレーシー・リーバーマン氏はいう。「フォーマットが違うのだから、長尺のタテ型動画に合わせて動画を設計したいと考えている」と、リーバーマン氏は語った。

Netflixは、60分の動画を投稿できるこのセクションを利用して、俳優のコール・スプラウス氏がハンバーガーを食べる1時間動画を投稿した。この動画は67万6000ビューを集め、およそ5000件のコメントを獲得している。ナイキは、6月25日に新しいIGTVチャンネルを立ち上げ、サッカーのワールドカップキャンペーンの一環として、クリスティアーノ・ロナウド選手をフィーチャーしたアニメーションを公開した。エバーレーンは、新しいデニムライン「ダム・グッド・デニム(Damn Good Demin)」を着用した人々の写真を集めてIGTV向け動画を作成し、「#DamnGoodDemin Day」というタグをつけて公開している。

ストーリーの転用問題

ほかの企業は、別の目的に利用したコンテンツを使って、IGTVをテストしている。たとえば、ルイ・ヴィトン(Louis Vuitton)やグッチは、最近のファッションショーの動画を公開。ワービー・パーカーは、同社の眼鏡を着用して仕事をしているグラフィックデザイナーのインタビュー動画を投稿したが、これは以前にストーリーで公開されたものだ。BuzzFeed、NBC、ソーシャル動画ニュースのATTN、コスモポリタン(Cosmopolitan)、女性向けサイトのベッチーズ(Betches)、ナショナルジオグラフィック(National Geographic)といったパブリッシャー、それに「サタデー・ナイト・ライブ(Saturday Night Live)」や「ザ・トゥナイト・ショー(The Tonight Show)」といった人気番組も、同じような方法で1日に数個の動画を投稿している。彼らの動画は、もともとストーリー向けに作られたものであるため、最初からタテ型になっており、IGTV向けに編集しやすい。

ただし、「IGTVが単なるストーリーの動画の置き場にならないように、インスタグラムのチームは注意を払う必要がある」と、インフルエンサーマーケティングエージェンシーのウェイラー(Whalar)を共同で設立したニール・ウォーラー氏は指摘する。「IGTVの最終的な狙いがストーリーを置き換えることでないのなら、ユーザーがストーリーの動画を投稿するだけでの場所にならないようにすべきだ」。

いまのところ、企業はIGTVに動画を投稿しさえすれば、この新しいIGTVセクションで比較的簡単にビューを獲得できる。IGTVのフィードは、まだコンテンツで埋め尽くされていないからだ。また、マーケターにとっては、従来のインスタグラムアプリで視聴できること、タテ型動画にフォーカスしていること、長尺動画を作成できることも歓迎すべき点となっている。YouTubeに対する失望が動画クリエイターのあいだで広がるなか、IGTVがYouTubeに愛想を尽かしたインフルエンサーの新しいホームグラウンドになる可能性があると、複数のマーケターが語っている。

広告掲載と有料化

その一方で、検索機能の弱さを懸念するマーケターもいる。IGTVの動画は、ユーザーの関心、フォローされているアカウント、動画の人気度に応じて、セクション別に分類されている。クリエイターの名前で動画を検索することはできるが、ジャンルやトピックなどで検索できるオプションは用意されていないのだ。

また、いまは広告が表示されていないが、将来は変わる可能性があるとインスタグラムの広報担当者は述べている。同社は、クリエイターがIGTVで利益を得られるようにする手段を検討し、テストしているところだ。そのため、有料コンテンツが登場する可能性もあると、デジタルエージェンシーのザ・コミュニティー(The Community)でシニアストラテジストを務めるマリアム・ホッセイニ氏はいう。

「フルスクリーンのモバイル動画サービスは、今後も有料化が進むだろう」。

広告主はすでに、ブランドがIGTVで有料コンテンツを作成できるようになることを期待していると、デジタルエージェンシーのアイプロスペクト(iProspect)で有料ソーシャル責任者を務めるキンジ・スパークス氏はいう。

「IGTVは、ユーザーとより深いレベルでエンゲージできるユニークな機会を提供している」と、スパークス氏は話す。「顧客がもっと豊かな視聴体験を心から望み、そのようなサービスを自ら選んでいるような場所では、ブランドからのメッセージを快く受け取ってもらえる可能性は高くなる」。

Ilyse Liffreing(原文 / 訳:ガリレオ)