LinkedIn(リンクトイン)に対する広告バイヤーたちからの支持が一層厚くなっている。彼らはFacebookやTwitterのような、ほかのデジタルプラットフォームから予算をLinkedInに移しているという。
LinkedIn(リンクトイン)に対する広告バイヤーたちからの支持が一層厚くなっている。彼らはFacebookやTwitterのような、ほかのデジタルプラットフォームから予算をLinkedInに移しているという。
情報筋によると、同社はルックアライクなオーディエンスたちにも効果的で、既存顧客に類似する潜在顧客のユーザーをターゲットにする際にも、広告主の役に立つという。これは、Facebookの広告プラットフォームにおける重要な機能のひとつでもある。
また、LinkedInは1月23日、インタレストターゲティングを発表し、広告主は「アートとエンターテイメント」「ビジネスとマネジメント」「マーケティングと広告」などの専門的な関心に基づいて、LinkedInユーザーに対し、広告をターゲティングできるようになった。テスト期間中に、この新しい機能を使用したキャンペーンのクリック率が25%も増加したことを確認したと、デジタスUK(Digitas UK)はマーテック・トゥデイ(MarTech Today)の取材に対して語っている。
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LinkedInとの守秘義務契約を理由に匿名を希望するあるバイヤーは、「我々がやってきたことをLinkedInはほぼ達成するかもしれないし、達成しないかもしれない。しかし、彼らは素晴らしいプロセスを確立しているところであり、悪くなることはないと思う」と述べた。
42%が広告費を増やす
LinkedInを使用している290人のメディアバイヤーを対象とした2018年11月の米DIGIDAYによる調査では、42%が2019年に同プラットフォームへの広告費を増やす計画だと回答し、約47%が現状の予算を維持し、11%が予算を減らすと述べている。
このプロダクトの改善に反して、バイヤーたちは、LinkedInの広告はかなり高価になる可能性があるという。BtoBクライアントのデジタルマーケティングコンサルタント、ベッツィー・ヒンドマン氏は、LinkedInの動画広告はFacebookの動画広告の6倍から8倍の価格になり、LinkedInでの静止画または記事のリンクが貼られたスポンサード投稿はFacebookよりも3倍から5倍高くなる可能性があると述べた。別のバイヤーは、平均動画視聴単価はFacebookでは0.02ドルであるのに対してLinkedInでは0.08ドルだという。
「Facebookは最近値上がりしているが、Facebookの動画ターゲティングは洗練されていて、しかも安価だ。だが、もちろんFacebookでは、役職や職場で人々を正確にターゲティングすることはできない。たとえば、“ビジネスアナリスト”という役職名で、CEOや人々にリーチすることは、SaaS企業にとって、とても重要だ」と、ヒンドマン氏は述べている。
「真の利益への影響力」
事実、LinkedIn広告の利点は、ビジネス志向のプロフェッショナルがオーディエンスであるという独自性にある。ヒンドマン氏は、1万人以上の従業員を抱える大企業に勤める人々とつながっているLinkedInユーザーをターゲットにできると述べた。たとえば、オラクル(Oracle)の従業員とファーストパーティコネクションをターゲットにすることが可能だ。そのオーディエンスは、BtoB企業にとって特に役立つ可能性がある。
「CPMはほかと比べて非常に高くつく。ターゲティングの広告ユニットを支持しているわけでもないが、BPやソフトウェア販売のアドビ(Adobe)またはありがちな大手BtoB SaaS企業のような巨大企業のクライアントには最適だ」と、大手グローバルエージェンシーのバイヤーのひとりが語った。
企業顧客を見つける能力、それが位置情報技術を使ったプラットフォームであるフォースクエア(Foursquare)が昨年、Facebook、Twitter、インスタグラム(Instagram)、そのほかのソーシャルネットワークと比較したうえで、LinkedInにその広告予算を絞り込むことにした理由のひとつだ。
「LinkedInは条件を満たしたリードに我々を向かわせる。一方で、TwitterとFacebookはリーチと認知度に有用であることがわかっている。しかし、真の利益への影響力という話になると、LinkedInに5を支出して6が返ってくるというところだ」と、フォースクエアのパフォーマンスマーケティングディレクター、ジェイコブ・エーリッヒ氏は述べた。
フォースクエアは、LinkedInで、予算の大部分をリードジェネレーション広告(lead-gen ads)とLinkedInエレベート(LinkedIn Elevate)に費やしている。LinkedInエレベートは、企業が従業員向けのコンテンツを見つけ、プラットフォームで共有できるようにするためのプロダクトだ。フォースクエアのエーリッヒ氏は、従業員がシェアしている投稿は、同社のページと比較してエンゲージメントが8倍になっていることを確認していると語った。
バイヤーたちの改善要求
そして、バイヤーたちは、LinkedInの社内広告チームは役に立つが、Facebookのチームには絶えずイライラさせられると語る。さらに、LinkedInの営業チームは、ほかのプラットフォームとはやり方が少し異なるという。「YouTube、Twitter、Snapはみな、『Facebookと直接対決する』ためのセールス資料が存在しているが、LinkedInはそのやり方では決して売り込まない。彼らは通常、自分自身のやり方を変えない」と、前出の大手グローバルエージェンシーのバイヤーは語った。
バイヤーには、LinkedInに対してたくさんの要求がある。ヒンドマン氏は、LinkedInの動画広告については具体的に、Facebookのように動画再生時間の長さに基づいて、LinkedInのユーザーを再ターゲットできることを望んでいると語った。フォースクエアのエーリッヒ氏は、Facebookのキャンバス広告のようにリードジェネレーション広告をより視覚的に行えるようにしたいと述べた。同氏はまた、LinkedInが、大学キャンパスでのLinkedInストーリー(Stories)のテストを除いて、パブリッシャーや広告主にタテ型動画を紹介していないことを疑問に感じている。
「LinkedInは、我々がトレンドと思っているものとは、逆の動きをしている。動画についていえば、制作にはお金がかかるのが常だった。だが、我々は、インスタグラムやSnapchat(スナップチャット)のようなプラットフォームが、タテ型動画へ適応するようコンテンツクリエイターを促す時代を生きている。それなのに、LinkedInは時代遅れで、いまだヨコ型動画に注力している」と、エーリッヒ氏は語った。