Googleは2015年9月末、ディスプレイ広告の「CPM(表示1000回あたりの単価)」の入札をvCPM(viewable CPM)に移行すると発表した。
vCPMはビューアビリティ(Viewability:表示された広告が実際に視認可能であった回数または割合)が保証されたCPMのこと。vCPMは一部のパブリッシャー、広告主の間ですでに運用が始まっており、パブリッシャー側では広告料金の底上げを、広告主側では広告効果の向上を期待している。
Googleのパートナービジネスソリューション部門ディレクターを務める、ローレント・コルディール氏は「ビューアブルインプレッション(視認が保証された表示)が、現状のインプレッションよりもディスプレイ広告の『通貨』にふさわしい」と、語った。
しかし、課題もある。コルディール氏は業界でビューアビリティの基準がばらばらである点と、パブリッシャーのウェブサイトがビューアブルインプレッションを測定するのに最適ではない点を指摘する。
Googleは2015年9月末、ディスプレイ広告の「CPM(表示1000回あたりの単価)」の入札をvCPM(viewable CPM)に移行すると発表した。
vCPMはビューアビリティ(Viewability:表示された広告が実際に視認可能であった回数または割合)が保証されたCPMのこと。vCPMは一部のパブリッシャー、広告主の間ですでに運用が始まっており、パブリッシャー側では広告料金の底上げを、広告主側では広告効果の向上を期待している。
ビューアビリティで広告料金伸びるか
Googleのビューアビリティ保証は、同社のテクノロジーがビューアビリティを保証する代わりに、広告主はより高い広告費を払う必要がある。ディスプレイ広告は実際に画面上に表示されなかったり、表示されても早々にスクロールで流されたりと、視認率が低くなる可能性が指摘されてきた。
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Googleアドワーズの発表によると、同社のビューアビリティ基準は、ディスプレイ広告ではピクセルの50%が1秒以上表示されること、動画広告では2秒以上の再生が行われることとされている。
媒体社IDGコミュニケーションの最高経営責任者を務めるピーター・ロンゴ氏は「広告の価格は30%高くなる。しかし、広告主のうち4社はvCPMだけを買う決断をしており、今後より増えるだろう」と、楽観的な見方をしている。ロンゴ氏はパブリッシャーがビューアビリティを採用することはユーザー体験を向上させると語った。
ビューアブル・インプレッションは新しい通貨
Googleのパートナービジネスソリューション部門ディレクターを務める、ローレント・コルディール氏は「Googleはビューアビリティテクノロジーに投資してきた。最終的にはすべてのインプレッションを100%ビューアブルに移行することもありうる」と、語った。「ビューアブルインプレッション(視認が保証された表示)が、現状のインプレッションよりもディスプレイ広告の『通貨』にふさわしい。これは、どの広告主やブランド、パブリッシャーにとっても同じ見方になるだろう」。
しかし、課題もある。コルディール氏は、業界でビューアビリティの基準がばらばらである点と、パブリッシャーのWebサイトがビューアブルインプレッションを測定するのに最適ではない点を指摘する。
広告主は大型の広告費が低質なトラフィックに吸い込まれることを懸念し、大手パブリッシャーに対して、解決策を要求していた。Googleもネット広告の半分以上が視認されていないと示すレポートを公表したことがある。
さらにGoogleのライバルであるFacebookも効果測定・提供企業のMoatによる測定結果にもとづいたビューアビリティ保証を開始した。
「視認と効果はイコールではない」
ビューアビリティの採用に懐疑的な見方もある。DSPなどを提供するアドテク企業のロケットフュエル(Rocket Fuel)のプロダクト&ディベロップメント担当シニアバイスプレジデントを務めるサイモン・ハイハースト氏は、「もっとも視認されやすいディスプレイ広告は、ページのトップにある傾向が強いが、それらが必ずしも価値の高いインプレッションとは限らない」と、語った。「vCPMは支出に対して最高のリターンを提供しないかもしれない」。
SSPなどを提供するアドテク企業、アップネクサス(AppNexus)は、92%のパブリッシャーが「ビューアビリティの採用が事業環境を良くすると考えている」という調査結果を発表している。
同社のコーポレートコミュニケーション・バイスプレジデントを務めるジョシュ・ゼイツ氏は「ビューアブルバイイングは必須。デジタル広告の将来になる。市場に参加する者のすべてに利益がある」と、語る。
Garett Sloane(原文 / 訳:吉田拓史)*[日本版]編集部で加筆・編集した。
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