第2四半期決算報告の時期は、通常、ニュースの少ない盛夏に「厳然たる事実」が出てくる。そして、それらの点と点を繋ぎ合わせていけば、いくつか真に価値のある洞察が手に入る。
8月第2週、独立系の上場3大広告プラットフォーム――トレードデスク(The Trade Desk、以下TTD)、マグナイト(Magnite)、パブマティック(PubMatic)――が市場開示を行なった。それらの報告によれば、3社ともに成長を継続している一方、これまで1年半にわたり各社に大きな恵みをもたらしてきたCTVというトレンドに関して、投資家の関心が薄れはじめているようだ。
とはいえ、冷え込みの気配は市場全体に及んでおり、この3社に限らない点には留意したい。たとえば8月第1週、業界最大手のエージェンシーグループWPPでさえ、2023年度収益成長率予測を下方修正している。
CTV需要はまだまだ成長
そもそも、CTV需要が依然として成長軌跡上にある点も忘れてはならない。これは、アドテク企業ケイデント(Cadent)が8月第2週前半、プライベートエクイティ企業ノヴァキャップ(Novacap)の打診に対し、6億ドル(約840億円)という強気の高価格を提示できた事実を見れば明らかだ。
これらを踏まえたうえで、上記3社の決算報告を個別に詳しく見ていこう。まず、時価総額380億ドル(約5兆3200億円)のデマンドサイドプラットフォームであるTTDだが、今四半期の収入は前年同期比23%増の4億6400万ドル(約650億円)だった。
言うまでもなく、同プラットフォームのナラティブにおいては引き続きCTVが重要な役を担っており、同社CEOジェフ・グリーン氏は後の株式アナリスト向けの報告で、広告主は依然として喜んでプレミアムを支払うなど、いくつかの洞察を共有した。
「つまり、呼称は何でもいいが、増分(インクリメンタル)税が課されても、我々の場合は通常、テイクレートは20%前後であり、そのレートは政策決定の影響力に鑑みれば、まったくもって正当だ」と、投資家コンサルティング企業モトリー・フール(Motley Fool)が記録した同報告によれば、氏は発言している。
第2四半期決算報告の時期は、通常、ニュースの少ない盛夏に「厳然たる事実」が出てくる。そして、それらの点と点を繋ぎ合わせていけば、いくつか真に価値のある洞察が手に入る。
8月第2週、独立系の上場3大広告プラットフォーム――トレードデスク(The Trade Desk、以下TTD)、マグナイト(Magnite)、パブマティック(PubMatic)――が市場開示を行なった。それらの報告によれば、3社ともに成長を継続している一方、これまで1年半にわたり各社に大きな恵みをもたらしてきたCTVというトレンドに関して、投資家の関心が薄れはじめているようだ。
とはいえ、冷え込みの気配は市場全体に及んでおり、この3社に限らない点には留意したい。たとえば8月第1週、業界最大手のエージェンシーグループWPPでさえ、2023年度収益成長率予測を下方修正している。
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CTV需要はまだまだ成長
そもそも、CTV需要が依然として成長軌跡上にある点も忘れてはならない。これは、アドテク企業ケイデント(Cadent)が8月第2週前半、プライベートエクイティ企業ノヴァキャップ(Novacap)の打診に対し、6億ドル(約840億円)という強気の高価格を提示できた事実を見れば明らかだ。
これらを踏まえたうえで、上記3社の決算報告を個別に詳しく見ていこう。まず、時価総額380億ドル(約5兆3200億円)のデマンドサイドプラットフォームであるTTDだが、今四半期の収入は前年同期比23%増の4億6400万ドル(約650億円)だった。
言うまでもなく、同プラットフォームのナラティブにおいては引き続きCTVが重要な役を担っており、同社CEOジェフ・グリーン氏は後の株式アナリスト向けの報告で、広告主は依然として喜んでプレミアムを支払うなど、いくつかの洞察を共有した。
「つまり、呼称は何でもいいが、増分(インクリメンタル)税が課されても、我々の場合は通常、テイクレートは20%前後であり、そのレートは政策決定の影響力に鑑みれば、まったくもって正当だ」と、投資家コンサルティング企業モトリー・フール(Motley Fool)が記録した同報告によれば、氏は発言している。
ポジティブな報告を受けても各社の株価は下落
ニュー・ストリート・リサーチ(New Street Research)のアナリスト、ダン・サルモン氏はこの報告を分析し、TTDの決算報告において、CTVは「他に大差を付けて」重要な存在であり、ソフトアップフロント市場が2023年度下半期、同セクターの上向き傾向を証明しうると指摘した。
ただし、こうしたポジティブな数字が出たにも関わらず、8月9日の開示直後、TTDの株価は(穏やかにではあるが)下落した。これはいま、それもCookie無き世界へのカウントダウンが始まっているなかで、ウォールストリートがこの程度では満足せず、もっと多くを強く求めていることを示唆している。
他方、マグナイト――CTV事業の再生を強調するべく、ルビコン(Rubicon)からリブランドした――の収益は、前年比11%増の1億5250万ドル(約213億5000万円)だったが、こちらも同じく、その開示直後に株価が下落した。
この下落は十中八九、第3四半期のCTV貢献度について、同社が収益ガイダンスを変えなかった事実によるものと思われる。シーキングアルファ(Seeking Alpha)のアナリスト、マイケル・ウィギンズ・デ・オリヴェイラ氏も、CTV収益が前年比8%増と成長したのは確かだが、「この数字では、新たな興奮に満ちた機会が創造されたとは、到底言えない」と指摘した。
「CTVの人気要因は低CPM」
一方、パブマティックの場合は、報告によると、収益に大きな上下動はなく――6330万ドル(約88億6200万円)。2022年度同期は6300万ドル(約88億2000万円)――その中心をCTVが占めた。CTV収益は実際、30%以上の伸びを見せたものの、140%以上の成長を遂げた2022年同期との違いは歴然としている。
「CTVは依然、弊社の高成長チャネルであり、それを牽引しているのがインプレッション課金で、低CPMも要因の一つとなっている」と、モトリー・フールによる同社2023年度第2四半期決算報告の記録によれば、ラジーヴ・ゴエルCEOは話し、CTVを含む全動画広告収益は前年比4%減だったと言い添えた。
前述の2社と同様に、市場はこの結果に対する罰として、8月10日までの5日間で同社の株価を30%以上も下げた――パブマティックの時価総額はその間、6億9000万ドル(約966億円)前後で推移した。
以上のように、同セクターの成長は依然として明白だが、アドテク株が2021年の全盛期に見せた活気を取り戻すには、新たな「話題」が必要とされている。
[原文:Here is why Wall Street’s reception to the CTV narrative is cooling]
Ronan Shields(翻訳:SI Japan、編集:分島翔平)