2016年3月15日、インスタグラムが爆弾発言を行った。Facebookのニュースフィードと同様に、表示される写真がアルゴリズムによって選定されると発表したのだ。これにより、ブランドたちは、全世界に4億人以上も存在するユーザーたちの興味を惹くために、従来の戦略を考え直さなくてはならなくなった。
「アルゴリズム導入の目的は、個々のユーザーにとって関連性の高いコンテンツをより多く提示することだ。その影響はブランド企業による投稿にも及ぶ。これを実施することで、インスタグラムにおける滞在時間や閲覧数が増加するはずだ。そのため、すべてのインスタグラムユーザーや企業にとっての利益にもつながる」と、インスタグラムはエージェンシーたちに通達している。
しかし、写真共有アプリの特性上、アルゴリズムを導入してしまうと、必然的に「勝者」と「敗者」が出来上がってしまう。この施策が、どんな影響をおよぼすのか、両者の視点で考察してみた。
2016年3月15日、インスタグラムが爆弾発言を行った。Facebookのニュースフィードと同様に、表示される写真がアルゴリズムによって選定されると発表したのだ。これにより、ブランドたちは、全世界に4億人以上も存在するユーザーたちの興味を惹くために、従来の戦略を考え直さなくてはならなくなった。
「アルゴリズム導入の目的は、個々のユーザーにとって関連性の高いコンテンツをより多く提示することだ。その影響はブランド企業による投稿にも及ぶ。これを実施することで、インスタグラムにおける滞在時間や閲覧数が増加するはずだ。そのため、すべてのインスタグラムユーザーや企業にとっての利益にもつながる」と、インスタグラムはエージェンシーたちに通達している。
しかし、写真共有アプリの特性上、アルゴリズムを導入してしまうと、必然的に「勝者」と「敗者」が出来上がってしまう。この施策が、どんな影響をおよぼすのか、両者の視点で考察してみた。
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勝者たち
インスタグラムの広告事業:ペイドマーケティング戦略がなければ、投稿が確実に閲覧される保証はない。当初、インスタグラムはエージェンシーに対して、すべての投稿はすべてのフォロワーたちに表示されると話していた。順番が入れ替わったり、投稿の関連性によって、いくらかのばらつきがあるだけだという。しかし、この方針もいつ変わるかわからないため、投稿のパフォーマンスを確実に向上させるためにも、ペイドが唯一の方法といえる。
「もし品質の良いコンテンツ製作に費用を投じているならば、販促にも費用を使うべきだ。そして、粗悪なコンテンツを製作するのに時間を無駄にしてはならない」と、米アドエージェンシー、22スクエアード(22squared)の事業展開部長であるクリス・タフ氏は指摘した。
兄妹の赤ちゃんの写真:「投稿者とユーザーの関係性、投稿の時間帯と、ユーザーにとってその投稿がどれほど関連性が深いものなのか、などの基準をアルゴリズムは重視する」と、インスタグラムはエージェンシーへ宛てたeメールに書いている。
これは、ユーザーの親類縁者たちの投稿が最優先で表示されるということだ。たとえ、数時間前に投稿していても、フィードの上位に表示されることも考えられる。
セクシーなブランド:ファッション、美容、食事、健康、フィットネスやペットなど、インスタグラムで成功している業界はいくつかある。
「もし、このような業界のブランドが、すでにインスタグラムで活躍しているのならば、今回のアルゴリズムの導入も心配はないだろう。なぜなら、ユーザーがすでに好んでいる業界だからだ」と、デジタルエージェンシー、デジタスLBi(DigitasLBi)でソーシャル戦略を統括するジル・シャーマン氏は語る。なので、フィードの上位に食い込みたいならば、食べ物やペットに関する投稿がおすすめだ。
トレンディなパブリッシャー:Facebookがニュースフィードにアルゴリズムを導入した際、一部の大手パブリッシャーたちは優遇されていた。エンターテインメント、ファッションやスポーツ業界など、インスタグラムですでに人気を得ているパブリッシャーやメディア企業なども優遇される可能性はある。特に、多くのオーディエンスを得られる最先端の流行を追った投稿や動画投稿の優先順位が高いようだ。
敗者たち
Twitter:Twitterは、比較するのにちょうど良い。Twitterが何かを実施すると、Facebookやインスタグラムが即座に対抗手段を講じるからだ。今回の場合、Twitterはアルゴリズムの導入を2016年2月に行っていたが、Twitterよりユーザー数の多いインスタグラムがFacebookのアルゴリズムをもとに準備を進めていたのだ。「Facebookで経験したいるように、ライブ動画配信や流行の話題を多く取り上げるなどすれば、アルゴリズムはプラットフォーム優位性を与える」と、デジタスLBiのシャーマン氏は話す。さらに「Twitterが直接的なターゲットだったことは明確だ」とも付け加えた。
つまらないブランド:すべてのブランドがナイキ(Nike)のように成功しているわけではない。現在、インスタグラムは才能のないマーケターたちによって作られた粗悪なコンテンツで溢れかえっている。アルゴリズムがこういった気取っただけのマーケターたちのコンテンツを嗅ぎ分け、葬ってくれることだろう。もちろん、彼らが販促の費用を支払わなければ、ではあるが。
「予算が少なく、エンゲージメント率も低いブランドは自然と淘汰される」と、グローバルメディアエージェンシー、MECのソーシャル担当責任者、ノア・マリリン氏は語る。
「定期購読するのは負け犬たちだけ」と考えている人たち:インスタグラムは、成功できると証明できるブランドならば、誰でもインスタグラムでコンテンツを配信できると話している。しかし、これはオーガニックとブランデッドコンテンツの両方が必須となる、Facebookが辿った道を歩んでいることが明らかだからだ。広告費を出すマーケティング戦略が必須となってしまう最悪の事態に、広告主たちは備えるべきだ。
「インスタグラムでも、ブランデッドコンテンツは人気度の高いコンテンツだ。しかし、Facebookのオーガニックリーチと同様の道を歩んでしまう可能性はある」と、米ソーシャルメディアエージェンシー、ランドリーサービス(Laundry Service)のCEO、ジェイソン・シュタイン氏は語る。「これを踏まえて、現在のインスタグラムで大規模に広告を打ち出したいならば、総リーチ数に大幅な変化を与えるためにも、ペイドメディアを使うべきだ」。
「品質よりも量」という手法:投稿の数が多すぎたり、スパム的な投稿をした場合、パブリッシャーやブランドは即座にインスタグラムから追放される。アルゴリズムのおかげで、パブリッシャーの投稿本数が減り、その分投稿されるコンテンツの品質が向上するのだ。
「何を投稿するにも、品質の管理が重要になった」と、22スクエアードのタフ氏は指摘する。「このソーシャルプラットフォームを理解した者だけが成功する」と最後に付け加えた。
Garett Sloane(原文 / 訳:BIG ROMAN)
Image via Thinkstock / Getty Images