日本の音楽ビジネスおいて、大きな一歩となるのか?
タテ型動画に特化した女性向け動画サービス「C Channel」は2015年12月7日、シンガーソングライター秦基博氏の新曲「聖なる夜の贈り物」のミュージックビデオを同サービス上でリリースした。メジャーアーティストによる、タテ型フォーマットを利用したミュージック・ビデオは、日本で初めての配信となるという。
LINEの元代表取締役社長CEO森川亮氏が、2015年4月1日立ち上げた「C Channel」。若い世代の女性に向けたさまざまな情報のビデオを、「クリッパー」と呼ばれる約200人のモデルやタレントたちが独自配信している。そのビデオすべてが、スマートフォン配信に特化した、タテ型フォーマットとなっているところが大きな特徴だ。
日本の音楽ビジネスおいて、大きな一歩となるのか?
タテ型動画に特化した女性向け動画サービス「C Channel」は2015年12月7日、シンガーソングライター秦基博氏の新曲「聖なる夜の贈り物」のミュージックビデオを同サービス上でリリースした。メジャーアーティストによる、タテ型フォーマットを利用したミュージック・ビデオは、日本で初めての配信となるという。
LINEの元代表取締役社長CEO森川亮氏が、2015年4月1日立ち上げた「C Channel」。若い世代の女性に向けたさまざまな情報のビデオを、「クリッパー」と呼ばれる約200人のモデルやタレントたちが独自配信している。そのビデオすべてが、スマートフォン配信に特化した、タテ型フォーマットとなっているところが大きな特徴だ。
Advertisement
タテ型に注力した制作体制
今回の秦氏によるミュージック・ビデオは、このシーズンに相応しいクリスマスソング。各世代の心温まるクリスマスの様子を描く内容で、ハウス『北海道シチュー』CMソングにもなっている。タテ型フォーマットによって表現される冬の東京の風景は、スマートフォンで閲覧すると小さい画面ながらもダイナミックな感動を味わえるだろう。
なお、本作品は、ヨコ型フォーマットでも作成されており、それはYouTubeやGYAO!で配信されているという。プレスリリースによると、タテ型とヨコ型、両方のフォーマットでリリースするために、同じ内容でも2回に分けて撮影。編集もそれぞれ独自に行なったそうだ。
変容した日本の音楽ビジネス
CDが売れに売れた1990年代後半に比べて、現在の音楽ビジネスは大きく変化を遂げた。メインの収入源はライブイベントへと移行し、テレビCMやドラマとのタイアップはいまだ有効だが、YouTubeをはじめとするネット上の動画サービスも大きなプロモーション手段のひとつとなっている。
ちなみに、2012年に「江南スタイル」で一世風靡した韓国のPSY氏が、2015年11月30日にリリースした新曲「DADDY」は、たった1週間で3800万回再生を獲得。おそらくこれに表示される広告収入だけでも、相当な額になるだろう。
アメリカのミレニアル世代を魅了してやまない、メッセージアプリ「Snapchat(スナップチャット)」に代表されるタテ型の動画フォーマット。いまだ日本に浸透している感触は薄いが、今回の秦氏による取り組みは、日本の音楽業界にとって大きな意味があると思われる。
いまタテ型をリリースする意味
しかし、惜しむらくは、すでにタテ型フォーマットの再生に対応しているYouTubeに、タテ型バージョンをアップしていない点だ。タテ型を囲い込みたい「C Channel」の思惑かどうかは不明だが、いまの日本においてタテ型の優位性を多くの人々に知らしめるなら、YouTubeでのタテ型プロモーションは必須だろう。
なにしろ、若年層におけるYouTubeの浸透率は、相当なものだ。その場において、確実にスマートフォンへリーチすれば、拡散の可能性もさらに高まる。加えて、PSYのようにバズれば、広告収入もバカにならないはずだ。また、このスタイルがきちんと普及すれば、ミュージシャンのみならず「C Channel」にとっても大きなメリットが生まれると思うのだが。
Written by 長田真