成長する米大麻産業、プラットフォームと「いたちごっこ」:広告ポリシーをめぐる攻防

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多くのターゲティング手法を提供するFacebookは、大麻関連のビジネスが新規の顧客を見つけるのにうってつけの場所に見えるだろう。しかしFacebookは、ほかのメジャーなプラットフォームと同様に、大麻プロダクトの広告を受け入れていない。が、それでめげるような大麻ビジネスではない。彼らはさまざまな裏技を駆使して、この禁止令を回避している。

大麻関連企業のなかには、インフルエンサーに報酬を支払って、トピカル(ローションやオイルなどの製品)やエディブル(加工食品)などの大麻プロダクトを宣伝しているものもある。あるいは、パブリッシャーと直接協働して彼らの社会的信用を利用したり、フェイクページをつくって、どのような広告コンテンツなら受け入れられるのかをテストしているものもある。これらのニッチ企業は、Facebookをはじめとするプラットフォームと、ちょっとした「いたちごっこ」をして、何なら罰を受けずに済むのかを確かめているのだ。

「個人なら罰せられない」

たとえば大麻加工食品メーカーのキーバ・コンフェクションズ(Kiva Confections)は、自社の汚れた歴史をソーシャルメディアで正してくれることを期待して、インフルエンサーマーケティングに最初の攻勢をかけている。プロダクトにフォーカスした広告のせいで、キーバのインスタグラム(Instagram)ページは2015年以来、8度の閉鎖に追い込まれてきた。その結果、同社は6万人のフォロワーを失い、そのたびにユーザーネームの変更を余儀なくされてきた。かつて「@kivaconfections」だったユーザーネームは、いまは「@ teamkiva1」になり、検索で見つけるのは至難の業になっている。キーバはTwitterには1万400人のフォロワーがついているが、インスタグラムには5500人しかいない。

キーバのマーケティングコミュニケーションマネージャーを務めるクリスティー・ストロング氏は、同社はインスタグラムに長くとどまるために、さまざまなアプローチを試みてきたという。プロフィールを非公開にしたり、価格の表示をやめたり、プロダクトを直接ページから注文できる方法をユーザーに提供しないようにしたりしてきたが、ダメだった。いまではキーバのプロダクトは、サラ・シルバーマンやシャーリーズ・セロンなどのセレブのおかげで、オーガニック検索枠に表示されるようになっている。その一方で同社は、ウェルネス系のインフルエンサーに触手を伸ばすことも計画している。ストロング氏は、キーバが大麻に寛容なカリフォルニアやアリゾナ、ネバダ、イリノイ以外の州にも手を広げつつあるいま、ウェルネス系のインフルエンサーも「大麻のインフォーマルな権威として頭角を現している」と述べる。

「個人なら罰せられることなくシェアできる。つまりインフルエンサーは、アカウントの停止を恐れることなく、自分が夢中になっているプロダクトをシェアできるユニークなポジションにいるのだ。企業ならそういうわけにはいかない」とストロング氏は語り、インフルエンサー数人とのパートナーシップの話が進行中であることを付け加えた。

一般に、大麻マーケティングへのインフルエンサーの起用は増加傾向にある。インフルエンサーアナリティクスプラットフォームのトラッカー(Traackr)は、大麻部門で上位に入るインフルエンサー250人を分析。その結果、全体では、エディブルプロダクトを製造するインクレディブルズ(incredibles)やワナブランド(Wana Brands)などのメーカーが、インフルエンサーの起用を昨年同期から32%増やしていることがわかった。また、イーズ(Eaze)やグリーンラッシュ(greenRush)、スピードウィード(SpeedWeed)など、大麻の宅配サービスを手がける企業については、インフルエンサーの起用を昨年同期から29%増やしていることもわかった。

ほかにもとりうる戦略はある。ひとつはブランデッドコンテンツでパブリッシャーと協働することだ。ブランデッドコンテンツはエディトリアルであって、厳密にはプロモーションではないため、いまもソーシャルメディアにシェアできる。ネバダに拠点を置く大麻加工品メーカーのキャビアゴールド(Caviar Gold)が、大麻ニュースサイト「ハーブ(Herb)」と協働したのも、まさにそのためだ。両者は、さまざまな香りがつけられた同社のプロダクトを宣伝する動画でコラボ、その動画は約1000万人のフォロワーを抱えるHerbのFacebookアカウントに投稿された。クリスタ・ウィットリー氏はマーケティングエージェンシーのソーシャルメディアユニコーン(Social Media Unicorn)と大麻加工品メーカーのアルティチュードプロダクツ(Altitude Products)を設立した人物で、両社の最高経営責任者(CEO)を務めている。アルティチュードプロダクツは前述の動画でキャビアゴールドと協働しており、ほかにもウーピー・ゴールドバーグのウーピー&マヤ(Whoopi & Maya)などの大麻関連企業、ベラ(Bella)やフェリックス&アンブロージア(Felix & Ambrosia)などのスキンケア企業とも協働している。ウィットリー氏によると、Facebookが2016年の夏に大麻広告の規制を強化する前から、この戦術は同プラットフォームで一貫して成果をあげているという。

咎められない微妙な方法

しかし、大麻関連企業がお咎めを受けることなく有料広告をソーシャルに掲載する微妙な方法はほかにもいろいろある。つまるところ、結果を左右するのは投稿に用いられる言い回しとメディアなのだ。

大麻の宅配サービスを手がけるグリーンラッシュは、ソーシャルをうまく活用し続けるひそかな方法を発見した。同社の最高マーケティング責任者(CMO)を務めるマイク・シュワルツ氏は、Facebookとインスタグラムにフェイクのページをつくり、どの広告コンテンツなら許可されるのかをテストしていると語る。「自社のページではテストしないほうがいい。翌日には消されるおそれがある」と同氏は助言する。

このテストからグリーンラッシュは、コンテンツの内容が一般的であればあるほどいいことを発見した。「ポイントは、購入できる大麻を明示することなく、消費者にアピールするコンテンツを作成することだ」と、シュワルツ氏は語る。「大麻消費者をターゲティングすることはできる。ブランディングもできる。だが、彼らに直接、購入を求めてはいけないのだ」。

たとえば、グリーンラッシュは4月21日、同社が前日に後援したイベントの動画を含んだFacebook広告を投稿した。そこには「What did you get up to yesterday?(昨日は何をしていたの?)」と書かれたコメントだけが添えられていた。その投稿はあからさまに大麻を売ろうとするものではないため、削除されることはないだろうと、シュワルツ氏はいう。グリーンラッシュは今後、この投稿に反応したユーザーを確認し、プロモーション色を強めたプロダクト関連のメッセージをFacebook Messenger(メッセンジャー)で、彼らに送るつもりだと、シュワルツ氏はいう。Messengerを使われると、Facebookのアルゴリズムは不正行為を簡単には検出できないのだという。

プラットフォームのあいまいさ

各プラットフォームは、どのようなコンテンツなら受け入れるのかをはっきりさせていない。彼らのポリシーは十把一絡げな声明になりがちだ。たとえばFacebookのそれには、「広告で違法薬物、処方薬、娯楽のための麻薬などの販売や使用を宣伝してはいけません」と書かれている。しかし、教育やアドボカシーを目的とする内容の広告なら問題はない。

「(プラットフォームは)我々ができることについて非常にあいまいな態度をとっている」と語るのは、大麻を扱うマーケティングエージェンシーのカナブランド(Cannabrand)を設立し、同社のCEOを務めるオリビア・マニックス氏だ。カナブランドはプロダクトを宣伝するスポンサードポストを過去に何度か投稿しているが、お咎めを受けたことはないと同氏はいう。ただし同社は、「広告がアルゴリズムにクロールされないように」投稿内で大麻に言及することを避けているという。マニックス氏は、カナブランドが非アクティブになっている同社の広告アカウントについて問い合わせた際にFacebookから送られてきた返答に触れ、「我々は(Facebookの)担当チームに相談しているが、回答を得るのは非常に難しい」と語る。これに先立ちFacebookは、クライアントであるメアリー・ジェーンズ・メディカルズ(Mary Jane’s Medicinals)の利益になるスポンサードポストが掲載されていたことを理由に、カナブランドの広告アカウントを停止した。それは、大麻が注入されてはいるが、使用してもハイにならないトピカルの広告だったが、そんなことは問題ではなかった。カナブランドの広告アカウントはいまも停止されたままになっている。「だから我々は戦略的にならざるをえないのだ」と、マニックス氏はいう。

 

カナブランドに送られてきたFacebookからのメッセージ。同エージェンシーが開設した広告アカウントの停止が解除されることはないと伝える内容

カナブランドに送られてきたFacebookからのメッセージ。同エージェンシーが開設した広告アカウントの停止が解除されることはないと伝える内容

 

こんにちは、ケルシーさん

 

貴社の広告アカウントを再度確認いたしましたが、残念ながら停止の解除はいたしかねます。

 

すべての広告アカウントに対して、我々は広告コンテンツのポリシーコンプライアンスとクオリティーを評価しています。その結果、Facebookの広告ポリシーにそぐわない広告を掲載しているアカウントは停止されます。

 

この件につきましては、貴社にとれるさらなる措置はないものと思われます。Facebookは貴社のビジネスモデルの広告をサポートしていません。

 

こちらを最終決定とお考えください。

 

弊社の対応はいかがでしたか? サービス改善のため、以下のページからご意見をお聞かせください。

 

https://www.facebook.com/survey?oid=725362727627947

 

よろしくお願いいたします。

 

メイシー

 

その一方で、ウィードマップス(Weedmaps)やマスルーツ(MassRoots)など、大麻愛好家にターゲットを絞ったソーシャルメディアプラットフォームも登場しており、Facebookやインスタグラムらが捨てる気満々の広告費を奪い取る意欲をみなぎらせている。しかし、マスルーツのようなプラットフォームの場合、すでに頻繁に大麻を摂取しているオーディエンスの基盤ははるかに小さい。そのため、アルティチュードプロダクツは今後も、幅広いリーチが得られる(少なくとも短期間は)Facebookで企業努力を続けていくと、ウィットリー氏はいう。たとえFacebookがアルティチュードプロダクツの有料広告を2~3日おきにブロックしても、同社は「可能性の枠を広げる」努力をしていくつもりだ。自社広告がFacebookのアルゴリズムに消される前に獲得するインプレッションには、それだけの価値があるからだ。

Ilyse Liffreing (原文 / 訳:ガリレオ)