2月の Chrome アップデートでも、 Cookie は死なない

2019年はサードパーティCookieの存在が、各種ブラウザの規制強化や、さまざまなプライバシー保護法の施行によって脅かされた年だった。2020年2月には、Google Chromeがそこに追い討ちをかけることになる。だが、今回のアップデートはCookieにとどめを刺すものにはならない見込みだ。

ここ数カ月、Googleの幹部らは、パブリッシャーや、広告主、テックベンダーたちと会って、2月に予定されているアップデートについて話をしている。そうやってGoogleは、これまで長く続いてきたデジタル広告界の経済システムを破壊するような、思い切った対応を取るつもりはないと業界に伝えているのだ。Googleは利害関係者への対応を慎重に進めており、AppleのSafariと同類だと思われないようにしている、とパブリッシャー各社は証言している。

Googleの困難な立場

2019年は、FirefoxやSafariといったブラウザがCookieの機能を削ぎ、効果を低下させるなど、ウェブ上のユーザーを追跡するように設計されたサードパーティのCookieが、さまざまな方面から攻撃を受けた年だった。欧州の一般データ保護規則(General Data Protection Regulation :GDPR)や、1月1日から施行されたカリフォルニア州消費者プライバシー法(California Consumer Privacy Act:CCPA)によってユーザーのプライバシーに注目が集まったことにより、トラッキングのオプトアウトもしやすくなっている。GoogleがChromeに変更を加えれば、デジタル広告業界全体にどれだけ打撃を与えるだろうかという懸念も一部では囁かれてきた。だが、自分たちも広告ビジネスを大規模に展開していることが、Googleの立場を困難なものにしている。

「さまざまな思惑が入り乱れている。ユーザーのプライバシーと、製品のパフォーマンスとのバランスを取らなくてはならないし、アドテクプラットフォームとして競争力を持ちながら、市場を独占したとして解体されないようにしなければならない」と、Cookieの代わりとなるIDソリューションを提供するID5の共同創業者兼CEO、マチュー・ロッシュ氏は語る。「だが、Googleは完全なる透明性を実現することはできない。そうなれば、広告会社としての立場が損なわれてしまうからだ」。

またロッシュ氏は、Chromeの開発チームは各種競合ブラウザをこのまま引き離しておきたいと考えているが、Google自体は収益の大部分を広告に依存している、とも指摘した。10月に英DIGIDAYが主催したパブリッシングサミット・ヨーロッパ(Digiday Publishing Summit Europe)に参加したパブリッシャー各社によれば、GoogleのChromeチームと広告チームの足並みが揃っていないのは明らかだという。Cookieや識別子を使って異なるドメイン間でウェブユーザーをトラッキングするのは、ひとつのフレームワークから別のフレームワークへとデータを移すと難しくなる。Googleのシステム内というエコシステム全体が見えるところで外部インベントリー(在庫)を動かすのでなく、その売買をすれば、他社は排除されてGoogleにとってはプラスの効果が働き、「ウォールドガーデン」の壁がまた高くなる。

「動きは止められない」

Googleは2010年からこちら、反トラスト法違反ギリギリのところを立ち回ってきた。この間に同社は、Googleショッピング、Google AdSense、Android OSが市場を独占したとして、EUから89億ドル(約9600億円)以上の制裁金を科せられている。だが、それがGoogleの製品に変化をもたらし、市場でのポジションが弱まったというようなことは、ほとんど起こっていない。

もし、いまのウェブ上でのターゲティング広告の仕組みに近いものを維持しながら、トラッキングやCookieの使用阻止にも同意している姿勢を示せるような方法があるならば、Googleはすでにそれに取り掛かっているはずだ。

「Googleがくしゃみをすれば、ほかのみんなが風邪をひく、ではないが、Googleが何か問題を抱えれば、業界全体に悪い影響が及んでしまう」と、ロシュ氏はいう。「だが、Googleの動きを止めることはできない。Googleは自分たちの利益が最大になるよう行動するだろう」。

Lucinda Southern (原文 / 訳:ガリレオ)