Google Home hub、マーケティングプランは「少数精鋭」 : 限られたパブリッシャーと濃密に連携

物理的なプロダクトのラインナップが増え続けるGoogle。それに伴いメディアとのパートナーシップスの形も変わりつつある。

BuzzFeedとテイスティ(Tasty)は7月から、Googleの音声アシスタント付き動画デバイスであるホームハブ(Home Hub)のプロモーションに全力をかけてきた。BuzzFeedが抱えるクリエーター、トライガイズ(the Try Guys)によって制作された動画シリーズでフィーチャーされ、朝のストリーミング番組「AMからDMへ(AM 2 DM)」でも取り上げられた。テイスティとBuzzFeedは合わせて40本のブランデッドコンテンツをホームハブ向けに公開している。テイスティが抱えるタレント企画に登場するJJジョンソン氏やクラウディア・ゼペダ-ウィルキンズ氏もこれらのコンテンツに起用されている。またウォルマート(Walmart)と協力して、Googleホームミニ(Home Mini)とテイスティ開発の調理器具セット(30点セット)が含まれた大ディスカウントを展開した。価格はなんと89ドル(約9800円)だ。

Googleの優先事項

これほどの規模のセールスを展開していることからも、Googleにおける優先事項の変更が見てとれる。急速に成長している音声・動画デバイス市場におけるAmazonやAppleとの競争に本腰を入れている形だ。

「我々はグローバルなスケールに対する意識をますます高めている」と語るのは、Googleホームのパートナーマーケティング部門グローバル責任者であるジュリア・チェン・デーヴィッドソン氏だ。ホームプロダクトのグローバル売上を伸ばすことに、Googleは今後フォーカスする計画があり、サードパーティとのより大きなパートナーシップに特にフォーカスしていると、彼女は説明する。

前述のような、さまざまな形での取り組みからは、BuzzFeed側も彼らのマネタイゼーション戦略が広告主にとって相性が良いことを証明しようという意気込みが感じられる。BuzzFeedのブランド戦略シニアバイスプレジデントであるジェン・クローウィン氏は、今回の取り組みは、Googleによる大規模な広告購入が肝となっていることは認めつつも、これは今後のBuzzFeedのパートナーシップ展開の雛形となると言う。

「新しいプラットフォーム上で何かを構築しているとき、長期的な視点を考慮することで意味が出てくる」と、デーヴィッドソン氏は言う。

BuzzFeedとの取り組み

ホームハブが最重要項目のひとつとなることを2017年の時点でGoogleは理解していた。そのときから早い段階でBuzzFeedとの取り組みを始め、テイスティにおけるレシピとのコラボレーションを開発し始めた。BuzzFeedのエンジニアやプロダクトスタッフたちはGoogle社内のテックチームと5カ月間、コラボレーションを継続し、テイスティのレシピを3000本、ホームハブに追加したと、デーヴィッドソン氏は語った。

BuzzFeedが抱える膨大なブランドやチャンネルをいかに活用してGoogleプロダクトをプロモーションするか、2社は時間をかけて検討を重ねてきた。最初にBuzzFeedが考案した計画ではクリスマスなどのホリデーシーズン、またスーパーボウルなど全国的なイベントにフォーカスするというものだった。このアイデアが最終的に、何らかの実店舗に足を向けてもらい、そこでプロダクトを買ってもらうという計画に発展した。「最初にウォルマートの名前が出たときは、あくまでも補佐的な存在としてだった。それを聴いて(Googleが)、『それをもっと掘り進めよう!』と乗り気になった」と、BuzzFeedのブランド戦略シニア・バイスプレジデントであるジェン・クローウィン氏は語る。

このプロモーション全体に対してGoogleがいくら支払ったか、具体的な数字はBuzzFeedは明かさなかった。複数の企画が重なってGoogle側の支出が膨らんだというよりは、ひとつの大きな取引という形だった。

Googleがホーム音声プロダクトに抱いている構想は非常に拡張的だ。CBSスポーツと連携してファンタシー・フットボールをプレイするオーディエンスのための音声コントロール式サードパーティアプリを作り、ガーディアン(the Guardian)にはジャーナリストにとってはどのようなニュースフォーマットが最適かをリサーチするための4人編成のチームを立ち上げるための資金を提供した。デーヴィッドソン氏によると、Googleのアシスタントチームが構築し、開発に資金を出しているバーティカルの数は合計で約20近くになる。

パートナーシップの形

パブリッシャー、エージェンシー、そしてブランドも最近ではパートナーの数を減らし、より濃密なコラボレーションに投資するという傾向を見せているが、Googleも同様なようだ。だからといって小規模なパートナーたちを切り捨てたわけではないと、デーヴィッドソン氏は言う。20のコンテンツバーティカルのうち、ハードウェアプロダクト担当のチームがもっとも重要であると認識しているのは5から10個ほどだという。そこにはクッキング、ビューティ、ニュースなどが含まれる。それらすべてにおいて、ユーザーによるテスト、フォーカスグループ、そしてインタビューが実施されている。

なかには「ヒーローパートナー」と形容されるバーティカルも存在すると、デーヴィッドソン氏は説明する。ヒーローパートナーたちはホームデバイスをグローバル規模でスケールされたオーディエンスへと導くチャンスを持ちながら、商業的なチャンスも抱えている分野だ。

現時点でのパートナーのリストはほとんどがパブリッシャーとなっている。しかし、ブランドとのパートナーシップもいくつか展開されている。セフォラ(Sephora)がその一例だ。音声デバイスがさらに普及すれば、参加するブランドの数も増えるだろうとデーヴィッドソン氏は予測する。「こういう種類のパートナーシップに興味を持つブランドの数は今後、増えはじめるだろう」という。

「パートナーシップがどのような形を取れるか、そのポテンシャルに私たちは気付きつつある。BuzzFeedはその水準、ペース、トーンを設定した」。

製品カテゴリーにおける競争

ホームハブを抱える音声ビデオデバイスというプロダクトカテゴリーは、市場に登場してからまだ1年程度だが、Googleが直面している競争は熾烈だ。主な競合他社であるAmazon Echo Show(エコーショー)は2017年の夏にローンチされた。またFacebookも同様のプロダクトであるポータル(Portal)を秋に発表している。

消費者インテリジェンス・リサーチ・パートナーズ(Consumer Intelligence Research Partners)のリサーチによると、アメリカにおける音声デバイスシェアという点では、GoogleはAmazonに大きく遅れをとっている。今回のデバイスも同じプロダクト群に属するものの、動画機能がさらにマーケットシェアを広げる可能性を持っていると、リサーチ・パートナーズの共同ファウンダーであるマイク・ルーウィン氏は言う。

Googleは追いつきはじめている。そして動画デバイスはそれをさらに推し進める手段のひとつだ。消費者がどのようにホームコントロールシステムを構築し、カスタマイズできるかを多様させているのだ」と、ルーウィン氏は語った。

Max Willens(原文 / 訳:塚本 紺)