GDPR 最初の罰則は Google へ。パブリッシャーの反応は? : 「警告を受けなかったとは言えない」

デジタルメディア業界ではここ何カ月も、最初に一般データ保護規則(GDPR)に違反したケースとなるのはどこかと、緊張して様子を見ていた。先日、その最初のケースが生まれた。

フランスのデータ保護当局であるCNILは、Googleに5000万ユーロの罰金(約62億円)を課した。ターゲット広告に対するユーザー同意を得る方法をGoogleが変更しなければ罰金がさらに繰り返し課されるとも述べている。業界中のエグゼクティブたちは慌ててこの判断を分析しており、自分たちが次の対象となる可能性があるかを検討している。Googleが広告のターゲティングのための個人データの利用に関して、複数の目的をまとめている、というのがCNILの指摘の中心だ。これはGDPRにおいては罰則の対象となる。

「Googleによる、さまざまなデータ処理の目的についての情報のユーザーへの開示のされ方は、CNILが確認したように、めちゃくちゃな状況だ」と、ウェブブラウザ、ブレイブ(Brave)の最高ポリシー・業界関係責任者であるジョニー・ライアン氏も言う。「十分に具体的になっておらず、ユーザーが多くの異なるページを探し回らないと見つからないような形で開示されていて、読んだあとでも何ひとつ理解できない、という状況だ」。

「結論として、サービス提供のためにユーザーから入手したデータを、広告ターゲティングへと応用するということができない」と、彼は加えた。

パブリッシャーへの圧力

Googleはこの判断を不服として控訴することができるが、記事執筆段階ではその予定は発表されていない。代わりに、Googleの広報担当はCNILが挙げた問題点に対応すると述べている。

CNILが最初の罰則対象としてGoogleを選んだのは、驚くべきことではない。ヨーロッパの規則当局たちはアメリカのテック大手たちと、彼らのデータ利用のあり方に関して狙いを定めてきたからだ。テックプラットフォームにフォーカスを据えるのか、一般的なパブリッシャーもCNILはターゲットとするのかは、今後明らかになる疑問点だ。

「消費者データの利用という点で、もっとも知名度が高く、おそらくもっとも多くの活動をしている存在を当局が狙った形だ。しかし、今回のGDPRの厳しい施行を受けて、自分たちの行いを再度チェックしないパブリッシャーやデータ利用者がいれば、それは誤っている。パブリッシャーたちによるGDPRの解釈は大目に見てもバラつきがあり、いくつかのケースでは規則に書かれていること、規則の精神を意図的に無視するということが行われている。警告を受けなかった、ということはできない」と、フィナンシャル・タイムズ(The Financial Times)の最高コマーシャル責任者であるジョン・スレード氏は言う。

エコシステムの歯車

パブリッシャーたちもいつ罰則を受けてもおかしくない状況だと感じている人たちも多い。GDPRへの対応は表面的なものであるからだ。いくつかの例では、パブリッシャーたちは同意を拒否するオプションを提示していないものもある。「同意する」「承認する」のオプションだけを表示するといった具合だ。ユーザーが何も選ばずにサイト閲覧を続ければ、その通知は消え、同意したとみなされるのだ。

誰が罰則のターゲットとして選ばれるかはどのパブリッシャーにも分からない。エグゼクティブのあいだでは、同意取得に関してGoogleがさらに厳しくなるのではないかという懸念も広がっている。これによってGoogleの広告マネージャーであるダブルクリック・フォー・パブリッシャーズ(DoubleClick for Publishers:DFP)経由の広告収益に将来的に大きな影響が出るのではないかという懸念だ。

「GDPRの精神を理解せずに、パブリッシャーたちは対策を施行してきた。彼らが心配するのも当然だ」と語ったのは、独立系パブリッシング・コンサルタントで元ニュースUK(News UK)のエグゼクティブであるアレッサンドロ・デ・ザンチェ氏だ。「最近では進歩も見られるが、それでもビジネスモデル、戦略、そして薄れつつあるユーザーとの関係性を再構築する方法ではなく、ただ長年のビジネスを続けるためのチェック欄のひとつのようにGDPRを扱っているパブリッシャーたちは多すぎる。プログラマティックのエコシステムの歯車のひとつになっている」。

「恐れることはない」

しかし、今回のCNILの判断は、Googleが持つサービスやビジネスモデルの広範囲さゆえのものと指摘する、業界関係者たちもいる。このニュースを受けて、パブリッシャーたちは恐れる必要はない、なぜなら複数の異なるサービスに対する同意をまとめて得ることをしていないからだと、オンライン・パブリッシャー協会(Association of Online Publishers)のマネージング・ディレクターであるリチャード・リーブス氏は言う。

「今回の件はGoogleが非常に多くの蜘蛛の巣を抱えていることがポイントだ。またそれを使って多くのビジネスに応用しているということも」と、リーブス氏は続ける。パブリッシャーの場合はユーザーデータを集めるが、それは自分たちの建前上は守られたエコシステムのなかでのみ広告を提供することに使われる。その一方でGoogleはデータを使って複数のサービスを行う。それがYouTubeであったり、Googleマップスであったり、eメールであったりだ。そしてその情報を使ってウェブ上にターゲット広告を送る。パブリッシャーにとっては今回の罰則判断が悪い予兆ではないことの大きな理由はそこにあると、リーブス氏は言う。

Jessica Davies(原文 / 訳:塚本 紺)