2015年9月中旬、ネットで突如話題となった「Google占い」。しかしそれは、現在世界的に問題が表面化している難民救済キャンペーンへの誘導サイトだった。実際は運営にGoogleが関与していない、このサイト。ユーザーたちは騙されながらも、肯定的な反応をSNSで拡散している。
このサイトの仕掛け人は、オランダに本社があるクリエィティブコミュニケーションエージェンシー、BrainMedia社。同社オーナーのジョート・ブート氏は「このキャンペーンは現在、世界的に成功を収めている。驚くほどの反応だ」と、語る。また、「世間の人々がこの問題に関心を抱き、共有し、世界中で認知を広めようとしているのだ」と、付け加えた。
Googleの新製品開発の勢いは、留まることを知らない(運用を停止するのも、しばしば見かけるが)。2015年9月、またひとつ新しいGoogleのサービスがローンチされた…と思われた。
その新しいサイトの名前は「Google占い(Google Fortunetelling)」。すべてに答えを用意してくれるGoogleが、自分の未来を占ってくれると喜び勇んだユーザーも多かったようだ。
なにかがおかしい「Google占い」
しかし、この「Google占い」、ユーザーの期待を良い意味で裏切る。とあるエージェンシーが仕掛けたキャンペーンだったのだ。サイトのインターフェイスはGoogle検索そっくり。新しいロゴまで似せて作る念の入れようだ。しかし、運営にGoogleは関与していないという。
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実際、ユーザーが検索バーに入力しようとすると、「私にとって安全な場所はどこにあるのだろう?(Where can I find a safe place?)」などの示唆的な5つの質問が、勝手に自動入力される。将来の伴侶の容姿や宝くじを購入すべき日時など、思ったとおりのことを一切占ってくれないのである。
ニセのGoogleサービス「Google占い」が自動入力する5つ質問
「私にとって安全な場所はどこにあるのだろう?」
「また家族全員と暮らすことは出来るのだろうか?」
「人間はいつお互いに戦いあうことをやめるのだろうか?」
「私を受け入れてくれる国はあるのだろうか?」
「我が子に安心できる未来を与えられる国はあるのだろうか?」
仕方なく、自動入力された言葉を検索すると、次のような画面が表示される。以下、訳文と合わせて、ご覧いただきたい。
もちろん、我々はあなたの未来の予言などできない。しかし、6000万人もの難民は、毎日のように自分たちに未来はあるのかと自問自答している。自分の未来について占いをしようとするあなたに、我々は偽物のGoogleサイトを使って難民支援を呼びかけたい。どうかほんの少しの時間で良いので、彼らの未来について考えて欲しい。
ページ右上にある水晶球がリアルタイムで表しているのは、サイトに滞在中に増える難民の数だ。そのように増え続ける難民を救済すべく、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)への寄付の呼びかけるページへのリンクも設置。画面下部には、FacebookとTwitterのシェアボタンも置かれ、情報の拡散を促している。
このサイトの仕掛け人は、オランダに本社があるクリエィティブコミュニケーションエージェンシー、BrainMedia社だ。
BrainMedia社のオーナー、ジョート・ブート氏は「このキャンペーンは現在、世界的に成功を収めている。驚くほどの反応だ」と、語る。また、「世間の人々がこの問題に関心を抱き、共有し、世界中で認知を広めようとしているのだ」と、付け加えた。
ホンモノのGoolgeのチャリティ活動
Googleは毎年、エイプリルフールなどで、その豊かな遊び心を発揮するのは、よく知られている。だから、今回もGoogle自身による「いたずら」だと思った人は、多かったに違いない。
ちなみにサイトデザインを真似されたGoogle自身は、すでに人道支援活動をする組織に100万ドル以上を寄付しているが、さらに自社主導の難民救済キャンペーンも展開している。その目標額は、1000万ドル。そのうち、およそ550万ドルの寄付を自ら行った。現在、寄付の目標は達成され、キャンペーンサイトでは引き続き個人での寄付を呼びかけている。
こうして集まった寄付金は、非営利団体向けのオンライン資金集め組織、ネットワークフォーグッド(Network for Good)で集められ、国境なき医師団や人道援助団体の国際救援委員会や、セーブ・ザ・チルドレン(Save the Children)やUNHCRなどへと渡る。
ニセモノの「Google占い」の効果
話を戻して、「Google占い」。SNSでのシェアも推奨しており、1日のうち、正午過ぎの流入がもっとも多かったという。データ分析企業のトプシー(Topsy)によると、「Google占い」に関連するツイートは、ローンチ後24時間で731投稿もあったそうだ。一方、Googleの偽サイトだったことへの不快感を抱いたユーザーは見受けられない。
I was skeptical, but this is really amazing: Google Fortune Telling: http://t.co/rtepjP6frO
— Jaclyn Friedman (@jaclynf) 2015, 9月 18
Jaclyn Friedman
@jaclynf
懐疑的だったけど、これには驚かされた:Googleの占い: http://www.betagoogle.com/
2:10 AM – 19 Sep 2015
CHECK OUT THIS DOPE NEW GOOGLE SITE "Google Fortune Telling: what does your future look like? http://t.co/xLLKk4TyUu" so rad
— Mohammed Syed (@MSyedt) 2015, 9月 18
Mohammed Syed
@MSyedt
この新しくて素晴らしいGoogleのサイト「Google占い:あなたの将来はどうなる?」を見逃すな。http://www.betagoogle.com/ ” イカすね。
1:36 AM – 19 Sep 2015
FINALLY – something from Google that I think is awesome! Google Fortune Telling: what does your future look like? http://t.co/BLDRMEeEBx
— Stuart B (@brookieboy) 2015, 9月 18
Stuart B
@brookieboy
やっと、Googleは意味のあることをやってくれたな。「Google占い:あなたの将来はどうなる?」http://www.betagoogle.com/
1:24 AM – 19 Sep 2015
So Cool! What Does Your Future Look Like? Predict Your Future With @Google Fortunetelling: http://t.co/90fiZ3XERV pic.twitter.com/w8i9xKgbXF
— USA for UNHCR (@UNRefugeeAgency) 2015, 9月 18
USA for UNHCR
@UNRefugeeAgency
これはいいね!あなたの将来はどうなる?自分の未来を@Google占いで: http://owl.li/SoNcD
1:58 AM – 19 Sep 2015
「経済的な支援をしようとする動きをうれしく思い、感謝している」とUNHCRのアメリカ特別プロジェクト、ザ・ハイブ(The Hive)を運営しているブライアン・リッチ氏は語る。「これは地球規模の大きな危機だ、より多くの人が寄付し、問題に参加するほど、事態は改善されていく」。
Rachel Raudenbush(原文 / 訳:南如水)