米大統領選をめぐる偽ニュースの問題は、すっかり話題のトピックとなった。バラク・オバマ現大統領まで、オンライン上の誤った情報の広がりを批判するに至っている。その元凶として非難されているのが、GoogleとFacebookだ。どうやら、その争いにおいて、分が悪いのはFacebookとなっている。
11月の米大統領選をめぐる偽ニュースの問題は、すっかり話題のトピックとなった。バラク・オバマ現大統領まで、オンライン上の誤った情報の広がりを批判するに至っている。
その元凶として非難されているのが、GoogleとFacebookだ。両者とも先日、偽のニュースサイトを広告ネットワークから排除したものの、この問題に関しては、Googleの方が一手先を進めている。偽ニュースから自社を切り離すという点で、Googleの方がFacebookよりも成功を収めていると、データも示しているようだ。
一歩先んずるGoogle
「Googleは、Facebookの現状の数歩先を行っているように感じられる」と語るのは、ソーシャルアナリティクス企業パセリ(Parse.ly)の共同ファウンダーであり、CEOのサッチン・キャムダー氏だ。
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Facebookのマーク・ザッカーバーグCEOは当初、同サービス上での偽ニュースの氾濫がそれほど大規模ではないと過小評価しようとしたのに対し、Googleは自分たちが「正しく対処できなかった」と認めた。Google検索の結果には、虚偽の記事が大量に表示されていたのだ。そしてGoogleはタイミングよく、ファクトチェックのプロジェクトに資金を出し、偽ニュースをオンラインから排除するという計画を発表したところだった。
Facebookも何もしていないわけではない。ザッカーバーグCEOは11月19日、偽ニュースの拡散を押さえ込む複数のアプローチを自身のアカウントで説明した。しかし、彼の言う「簡単な報告システム」や「偽ニュースの生態系を破壊する」ということが、どのように達成されるのかは不明瞭だ。上述のポストによると、偽ニュース対策は同社にとっての優先事項となっているという。なお、本記事に対するコメントは、どちらからも得られていない。
Google優勢を示すデータ
ブランドウォッチ(Brandwatch)のデータによると、「偽ニュース(fake news)」という言葉は選挙以降、さらに頻繁にプレスで使われるようになった。メディアでは、GoogleよりもFacebookの方が、多く言及されているようだ。

Source: Brandwatch
PR合戦でGoogleが勝ちを収めているのは、プレスにおいてだけではない。30dbによる下記のグラフが示すのは、選挙以降、偽ニュースがオンラインで言及されはじめたとき、Google関連の内容は、Facebook関連の内容よりもポジティブであることが多かったというデータだ。

Source: 30db
両者のスタンスの違い
ポインター・インスティチュート(The Poynter Institute)で倫理を教えるケリー・マクブライド氏は、偽ニュースにおいてGoogleよりもFacebookの方が少し対応が良く、それはGoogleのビジネスモデルは正確性が非常に重要だからだろうと考える。偽ニュースが蔓延すると検索結果の信頼度も下がってしまう。信頼できる情報を探しているGoogleユーザーにとって、それは致命的な問題である。
その一方で、Facebookは人々がポジティブかつパワフルな体験を得られるよう設計されている。そのため、ユーザー自身がハッピーでいられるのであれば、ニュースが偽であっても、ユーザーが大きく失望する可能性は低い。
「Facebookは人気な物を知るためのプラットフォームであって、信頼できる物を知るためのものではない」と、ネイティブアドプラットフォームであるネイティボ(Nativo)のファウンダー兼CEOであるジャスティン・チョイ氏も語った。
問題の核心は別のところに
とはいうものの、いま皆さんが読んでいるこの記事も含めて、Facebookを「嘘八百の培養皿」(と呼んだのはFacebookの元ニュース・キュレーターだが)と批判するのはメディア業界だけに過ぎない。下記グラフによると、人々がこの1カ月半のあいだ、GoogleとFacebookに対してもつ印象がほとんど変わっていないことが分かる。

Source: 30db
「ブランドへの印象に与える影響は、おそらく限られたものだろう。(偽のニュースをシェアしてしまう)問題のある人々は、それらのニュースに問題があるとは感じられないからだ」と、ニーマン・ジャーナリズム研究所の責任者であるジョシュア・ベントン氏は言った。
Ross Benes(原文 / 訳:塚本 紺)