今週、Googleは開発者カンファレンス「Google I/O 2016」を開催した。VRプラットフォーム「Daydream」も注目を集めるが、デジタルマーケティング業界人はAndroid Instant Apps(アンドロイド・インスタント・アップス)に注視する必要がありそうだ。
Android Instant Appsは、ディープリンク技術を活用し、URLのタップからモバイルアプリのダウンロードなしでアプリを開くようにするプロジェクト。この動画によると、プロジェクトが実現すれば、ユーザーは検索、リンクなどからアプリ内に直接移ることができ、駐車料金支払いアプリをダウンロードしていないユーザーも、アンドロイド上でアプリを利用して払える。
1週間の業界のトピックをおさらいする「デジタルマーケティング10」。手早くチェックを済ませたら、どうぞいい週末をお過ごしください。
今週、Googleは開発者カンファレンス「Google I/O 2016」を開催した。VRプラットフォーム「Daydream(デイドリーム)」も注目を集めるが、デジタルマーケティング業界人は「Android Instant Apps(アンドロイド・インスタント・アップス)」に注視する必要がありそうだ。
Android Instant Appsは、ディープリンク技術を活用し、URLのタップからモバイルアプリのダウンロードなしでアプリを開くようにするプロジェクト。この動画によると、ユーザーは検索、リンクなどからアプリ内に直接移ることができる。駐車料金支払いアプリをダウンロードしていないユーザーも、アンドロイド上でアプリを利用して払える。この技術が実現した場合、3つの影響が考えられるかもしれない。
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- アプリ時代の検索の再定義
- Appleのアップストアのビジネスモデルへの圧力
- 消費者行動の変化
モバイル検索結果の行き先は現状、モバイルウェブか、ダウンロードしたモバイルアプリ。ユーザーの接触時間はアプリに傾斜している。検索結果から未ダウンロードのすべてのアプリを利用できるなら、検索から行動を開始するユーザーが増えるかもしれない。アプリ時代には検索以外の選択肢も多様化するが、アプリの入り口として検索が機能するなら話は別だ。
iOSのアップストア(App Store)型のエコシステムでは、ユーザーはアプリをアップストアからダウンロードしない限り利用できない。アプリ開発者はダウンロード数を増やすことを目指してきた。Appleはアップストアを通じて大きな収益を上げており、うまくまわっている仕組みのようにも思えるが、Android Instant Appsが機能すれば、アプリ開発者は利用者拡大に関して別の選択肢ももてる。日本のアプリ開発者はグロースのため、テレビコマーシャルでプッシュすることが半ば求められている部分があるが、この費用が緩和すれば、より面白いアイデアが少ないコストで消費者に渡るようになるかもしれない。
プッシュ通知などさまざまな試みで、ユーザーを「自分のアプリだけに囲い込もう」とする傾向がモバイルアプリに見られる。アプリをウェブのように使えるようになれば、さまざまな場所に行ったり来たりできるため、モバイル体験は向上する。出荷ベースで世界シェア8割のアンドロイドにおける変化は、マーケティング上もっとも重要なモバイルでの消費者行動を変える可能性がある。
以下、今週の10トピックです。
1.テレビのプログラマティックバイイングは日本でも有効か。「プログラマティックによるオンライン取引時代になれば、案件単価は低いが、パーコストの高い多数の案件受注を受けられる可能性がある」(DIGIDAY[日本版])
2.ビジネスSNSのLinkedInの2012年のデータ流出で、ロシアのクラッカーが1億1700万アカウントのメールアドレスなどのデータを2300ドル(26万円)程度で売却したことがわかった。ロシアのクラッカーサイトで明らかにされた(The Drum)
3.資生堂ジャパン株式会社マーケティング本部長(CMO)の音部大輔氏「戦略の要諦は『目的』を明確にし『資源』を見極めることです。特に『隠れ資源』です。うまく見つけられれば、目的達成の可能性が高まることでしょう」(DIGIDAY[日本版])
4.WPPのトレーディングデスク・ザクシス(Xaxis)は傘下のPlistaを北米に拡大する予定。Plistaはアウトストリーム動画(記事内動画広告など)を得意とする。広告主はザクシスが提供するデータをPlistaでも利用できるという(Adweek)
5.独ビジネスソフトウェア大手SAPがDSPとDMPの「SAP Exchange Media (XM)」をリリースし、デジタル広告業界に参入した。業界には無数の企業がひしめくが、SAPは自社が提供するeコマースプラットフォームと連携し、自社プラットフォームを一気通貫したサービスで差別化を目指す。Googleと同じ試みか(Adexchanger)
6.「ペイパルマフィア」が日本のスタートアップを狙う理由:「IPOが容易」「創業者の質が高い」(DIGIDAY[日本版])
7.Facebook、SSP事業縮小の裏側でパワープレイ発動か?:ライブレイル騒動の背景(DIGIDAY[日本版])
8.Facebookオーディエンスネットワークに動画広告を配信することが可能になった。インストリーム動画広告は、媒体社のモバイルとデスクトップに対応し、動画再生前・中・後のいずれにも挿入できる。記事内動画広告(インアーティクル)はインスタント記事内での配信を開始する(Facebook)
9.GoogleがVR(仮想現実)でFacebook追走。VRプラットフォームの「Daydream」を発表し、VRデバイスのデザインはサードパーティに開放した。Daydream対応のスマートフォンも今年秋に発売を目指すという(The Verge)
10.Googleが「Android Instant Apps」プロジェクトを開発者向けに発表。ディープリンク技術を活用し、検索、リンクなどからアプリ内に直接移ることができるようになる(Andoroid Developers Blog)
・下のデモは、検索から未ダウンロードのECのアプリに遷移し、カートに入れるまでで、Googleはシームレスになることを強調している。
Written by 吉田拓史
Photo by Google Developers