記事のポイント デジタルネイティブであり、ジェネレーティブAIを身近な存在として活用しているZ世代の働き手たちにその利用方法や懸念、フォーカスポイントなどを取材。 25歳のマヤ・ビンガマンはテンプレート化されたコンテンツ […]
- デジタルネイティブであり、ジェネレーティブAIを身近な存在として活用しているZ世代の働き手たちにその利用方法や懸念、フォーカスポイントなどを取材。
- 25歳のマヤ・ビンガマンはテンプレート化されたコンテンツの微調整にAIを活用。人間関係が希薄になるのではとの指摘に対し、AIが時間を節約し、人間関係構築の余裕を生むとコメント。
- 23歳のディロン・バーナードは倫理的であることを重視し、機密情報の取り扱いに注意。一方でAIは助けとなるツールとして捉え、人間独自のスキルと理解を重視している。
Z世代は、労働力として最も新しい世代である。彼らはデジタルネイティブでもあり、絶え間ない変化に慣れている。そして、彼らはジェネレーティブAIの能力を職場に持ち込んでおり、この技術が仕事を代替するのではなく、仕事を強化する方向で役立つことに興奮しているのだ。
社会人になる前に直近の大学でAIの授業を受けた者もいれば、自分の時間にツールをいじったり、AIを搭載したスタートアップを発明したりしている者もいる。さらに、彼らは現在のAIによる落とし穴にも精通している。
Advertisement
「AIをどのように使っているのか」、「最大の懸念は何か」、「何に興奮しているのか」、「AIが自分のキャリアにどのような影響を与える可能性があるのか」などZ世代の働き手にいくつか聞いてみた。
回答は簡潔にし、話の流れを調整するため編集されている。
◆ ◆ ◆
マヤ・ビンガマン(25歳)
ソーシャルアントレプレナーシップ・マーケットプレイス、MITソルヴ(MIT Solve)
コミュニケーション&コンテンツオフィサー
――AIを何に使うのか?
私は、より簡易なコンテンツやすでにかなりテンプレート化されている自分の資料の中ではAIを使っている。例えば、カバーレターがそうだ。カバーレターを提出しなければならないとき、すでに20のバージョンを持っていて、それをリフレッシュしたいときは、「ここにXYZと書いて更新できるか」や「もっと短くしてほしい」といったプロンプトで微調整するだけ。ChatGPTは、言葉を編集したり、すでに作成したデータを望んでいる形に落とし込むのがとてもうまい。
個人的にはロボットのように感じることもあるが、それは私が作家だからかもしれない。自信をもって言えるのは、ChatGPTが制作物の中で、私自身が作り直さなかったものは一つもないということ。それはただの出発点にすぎないのだ。
――AIによって、同僚や上司との人間的なつながりが希薄になると思うか?
いいえ、そうでもないと思う。AIは私たちの生活をより効率的に、より簡単にするためのツールに過ぎない。そしてどちらかといえば、コミュニケーションやプランニング、直接人と会ってのミーティングや会話など、組織のニュアンスを理解していないとできない、ロボットが作り出せないようなことのためにより多くの時間を確保できるはずだ。
だから、それが何かを奪うことになるとは思えない。ただ、私たちに時間とゆとりを与えてくれており、そのゆとりが意味のある人間関係を築くための余裕を与えてくれる。
――AIに関して倫理的な懸念はあるか?
PRの仕事を通じて文章を書く立場から言うと、他人が私の仕事を取り上げ、自分の名前を載せて自分の仕事だと主張することには慣れている。それはゲームのルールであり、私は彼らにその許可を与えているので、倫理的におかしいことでもないと言える。
しかし、「広報担当者が解説や記事、ブログを書いたときにそのクレジットを与えるべきだ」と言って立ち止まって考える人はいなかったのに、ロボットやAI、ChatGPTやエンジニアにクレジットを与えるべきだと言う人が出てきている。私はその必要はないと思う。なぜなら、ChatGPTやそれに準じるものが存在する何十年も前から、このようなことを行なってきた人々について、私たちはしっかり考えたことがないから。それが、特に盗用に関する倫理的側面からの私の見解だ。
ディロン・バーナード(23歳)
クリエイティブ・エージェンシー、チームDB(Team DB)
創設者 兼 クリエイティブ・ストラテジスト
――AIが倫理的で公平であることは、あなたにとってどれほど重要なのか?
私の仕事の多くは公正と正義に焦点を当てているため、それに関しては常に考えている。また、データがどこにでもあるという事実に対して、少し皮肉屋になっている自分もいる。あともうひとつは何だろう? 本当に素晴らしい考え方かどうかは分からないけれど、特にそれが私の仕事をサポートしてくれるのであれば、それはその一部だと思う。
機密事項である場合は特にそうだが、ChatGPTに打ち込む内容について今でも気をつけている。用心するに越したことはない。私が使っているすべてのツールは、外に漏れる可能性があることを前提にしている。そうやってフィルタリングしているんだ。漏れたことによって誰かが傷つくような情報は、どんなツールにも入れない。それが私の経験則なのだ。
――ChatGPTが作成した履歴書を受け取ったことがあるか? また、そのことを気にするか?
最近、受け取った履歴書の中にいくつか標準的な記載があったものはあるが、それがAIによって生成されたという確信を持つのは難しい。それは素晴らしい出発点ではあるものの、いつでも気づけると思う。私は、この仕事の多くは人と人とのつながりだと考えている。我々はAIのツールに頼りすぎてはいけない。本当に欲しいものがあるのなら、ChatGPTは使わない方がいい。しっかり時間をかけてリサーチし、ストーリーテリングの練習をしてほしい。それが他との違いを生む。
このような状況の中で時々私が見落とされていると感じるのは、人々は全力でそういった流れに突き進んでいるものの、AIは人間が共感できる人間的なタッチを持っていないということだ。
――AIによって自分のキャリアパスが破壊されるのではないかと心配しているか?
私にとっては、仕事を通して私をサポートしてくれるもうひとつのツールにすぎない。仕事の必要性はまだそこにある。コンテンツを作る人は、いつでもコンテンツを必要としている。ChatGPTにはそれを作るノウハウがない。全てのツールを学ぶことは重要だ。
しかし、誰がコンテンツを編集し、コンテンツを認め、包括的な戦略を考えるのだろうか? 私は心配していない。私が提案したいのは、世の中にあるものを確実に理解すること。積極的に学ぶこと、あるいは意識することだ。仕事のニュアンスを理解することには意味がある。より多くの人に届くように、より良い仕事ができるのであれば、それは検討する価値がある。
[原文:Gen Z workers speak out on AI ethics, data security, career disruption]
Cloey Callahan(翻訳:SI Japan、編集:分島翔平)