記事のポイント デジタルネイティブであり、ジェネレーティブAIを身近な存在として活用しているZ世代の働き手たちにその利用方法や懸念、フォーカスポイントなどを取材。 各人ともデータ収集への懸念を持ちつつ、テクノロジー時代の […]
- デジタルネイティブであり、ジェネレーティブAIを身近な存在として活用しているZ世代の働き手たちにその利用方法や懸念、フォーカスポイントなどを取材。
- 各人ともデータ収集への懸念を持ちつつ、テクノロジー時代の必然と受け入れており、提供した情報がAI発展のために役立つというポジティブな見方を持つ者も。
- AIによってキャリアが脅かされるリスクは理解しているが、AIは仕事を効率化するツールと見なしており、自分達のポストの代わりになることを心配していない。
Z世代は、労働力として最も新しい世代である。彼らはデジタルネイティブでもあり、絶え間ない変化に慣れている。そして、彼らはジェネレーティブAIの能力を職場に持ち込んでおり、この技術が仕事を代替するのではなく、仕事を強化する方向で役立つことに興奮しているのだ。
社会人になる前に直近の大学でAIの授業を受けた者もいれば、自分の時間にツールをいじったり、AIを搭載したスタートアップを発明したりしている者もいる。さらに、彼らは現在のAIによる落とし穴にも精通している。
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「AIをどのように使っているのか」、「最大の懸念は何か」、「何に興奮しているのか」、「AIが自分のキャリアにどのような影響を与える可能性があるのか」などZ世代の働き手にいくつか聞いてみた。
回答は簡潔にし、話の流れを調整するため編集されている。
Vol.1はこちら。
◆ ◆ ◆
ジェイク・ワイントローブ(23歳)
コミュニケーション会社、ディットPR(Ditto PR)
アカウント・エグゼクティブ
――AIをどのように活用しているのか?
昨年2022年末にAI革命が始まったとき、ChatGPTは間違いなくその先駆者だった。当初は、有名タレントとのランダムなストーリーを書かせたり、リサーチを行なったりと、思いつく限りの使い方をしていた。時間が経つにつれて、それがより一般化してきたので、私は自分のワークフローに組み込むために試行錯誤した。特に今は、本格的なオンライン検索機能を備えているため、調査を行なったり、記事やニュースサイクルのトレンドを見る際に、裏方のインターンのように機能している。
また、食料品の買い物リストを作ったり、食事計画を立てるなど、個人的な理由で使用することもある。その時々のニーズに合わせて、本当にいろいろなAIの使い方をしている。
――AIはあなたのキャリアルートを変えると思うか?
実際に人間に必要な仕事なのか、それとも機械に委託するべき仕事なのかについて、特定の業界内では方向転換が起こるのは明らかだ。どちらかといえば、AIは批判的思考の機会を提供し、自分たちの能力を最大限に発揮する機会を増やすものだと思う。悲観的な見方が多いが、私はそうは思わない。AIが妖精や雲や虹のようなものだとも思っていない。私はその中間にいると思う。
将来的な仕事の可能性という点では、新しい可能性がたくさん広がるので、どちらかというとワクワクしている。以前はコーディングの技術や知識が必要だったため起業することができなかった人がいたが、今ではアイデアだけで起業家になるケースをたくさん見ることができる。私たちは通常よりも早く知識を習得し、残りの時間を会話やブレインストーミングに使えるのだ。
――データの機密性については考えているか?
データ収集の側面から、私はソーシャルメディアの大ファンとは言えない。しかし、テクノロジーの時代において、そこから身を守ることは不可能に近いことも理解している。ビジネスの中で活動しようと思えば、いつかはオンラインになる必要がある。それは私の中で最優先事項ではない。なぜなら、データは私が自発的に投入している情報であり、自分が何に寄与しているかを認識しているからだ。
AIモデルが機能することができるのは、AIのトレーニングに利用されたすべてのデータのおかげだ。モデルを定義するためには、多くの証拠やデータが必要となる。だから私は、AIが侵略的なものであるとか、私の知らないものであるというよりも、より良いAIの形に貢献するものだと考えるようにしている。結局はそういうことなのだ。
ダニエレ・セルヴァデイ(20歳)
eコマースプラットフォーム、セリックス(Sellix)
共同設立者 兼 CEO
――あなたはコンピューターサイエンスの学生でもあるが、AIをどのように活用しているのか?
主な用途は、仕事でも大学でも要約することだ。日々のタスクを簡素化している。X、Y、Zをどうやるかを聞く代わりに、何百行ものコードを貼り付けて、ChatGPTにここで何が起こっているかを聞く。ChatGPTは、大学教授よりもずっときれいで、よく整理された説明をしてくれる。
私の先生は幅広いトピックに精通しているが、細部を理解するためには他のものがあると便利だ。大学では、自宅テスト用のコード作成に使うことは許可されていないが、それ以外はかなり許可されている。
――AIのデータ・プライバシーやセキュリティに関して懸念はあるか?
かなり大きな懸念がある。最も大きな懸念は、モデルがどのようなデータに基づいてトレーニングされているかということだ。著作権で保護されたコンテンツやプライベートなコンテンツだったらどうするのべきか? 私たちがChatGPTに何を入れているかというよりも、それが過去にどういった形でトレーニングされたかということだ。企業は改善し、より良くなるよう検討すべきだ。
――AIはあなたのキャリアパスを破壊するか?
例えば、翻訳者あるいはカスタマーサービスなど、より代替可能な仕事に比べれば、私のキャリアにはそれほど影響を与えないと思う。そういった仕事は、AIによってより大きな影響を受けるだろう。CEOとして心配しなければならないのは、会社のビジョンだ。企業として今後AIシステムを導入し、利用しなければならないという事実を検討することが本当に重要だ。他社がやっているからという理由だけでなく、ユーザー体験を向上させるために行うべきなのだ。
ゾーイ・ハミルトン(25歳)
PRエージェンシー、ブラストメディア(BLASTmedia)
マネージャー
――AIはあなたのキャリアにどのような変化をもたらしたのか?
2022年11月にChatGPTが発表されたとき、誰もがその話をしていた。でも、正直なところ、私はそれを受け流した。私は変化を好まない。自分の知っているやり方に固執するのだ。でも、2月か3月の初めに、同僚からプレゼンやタイトルをつけるときに使ってみるよう勧められ、仲間がどのように使っているかを聞いて、面白いと思った。それで、質問を始めたのだ。私はもともと好奇心が旺盛なのに、とても心配性で人に質問するのが苦手だ。だから、私はChatGPTに対して変な質問や尋ねるのが怖い質問をできることが好きだ。
そこからすぐに、他にも使い方があることに気づいた。類義語を探しているとき、タイトルのサポート、ブレインストーミングセッション、要約などがそうだ。そういったシチュエーションで使用している。
私たちのクライアントの多くはハイテク業界だが、私はそのために学校に行ったわけではない。PRの勉強のために通っていた。私の脳みそはそういったことを考えるほうが、クリエイティブなことを考えるよりも時間がかかる。私は常にクライアントが何をしているのかを理解しているわけではない。だから、ChatGPTを通じてより多くのコンテクストを得ることができ、小学5年生のように説明してもらうことができる。だから、クライアントをよりよく理解し、よりよいサービスを提供できる。また、1年以上同じクライアントを抱えていて、クリエイティブなアイデアを使い果たしたとき、ChatGPTは新しいアイデアを考える手助けをしてくれる。
毎日使っており、いつもブラウザの一番上のタブになっている。これほど私の仕事に欠かせない存在になるとは思ってもいなかった。
――ChatGPTに共有する情報の多さに不安を感じるか?
私たちには、会社の機密情報を共有しないという顧客向けのポリシーがある。資金調達のプレスリリースのようなものを入れたり、機密情報に関する売り込みを書いたりはしない。経歴を入力する際も、同様に慎重でありたいと思っている。インターネット上では何でも同じだ。出してしまえば、トレースされて永遠に見られてしまう。
まずは時間をかけてテストし、エージェントがどの程度利用しているかを調べた。私たちは、盗作したり、情報をそのまま持ち出さないようにするのはもちろん、事実確認を行ない、情報が古くないことを確認する。そのようなことを過剰に心配しているわけではないが、クライアントを守るための対策は講じている。
――AIがあなたの代わりになると思うか?
個人的には心配していない。自分の仕事をよりうまくこなすためのもうひとつのツールであって、自分の代わりではない。仕事の向上を妨げるのではなく、むしろ効率を高めるために正しい使い方を学び、時間をかけなければならない。ChatGPTに仕事を任せる方が簡単なので、エントリーレベルの従業員から仕事を奪う可能性があることは理解できるが、個人的にはそのようには見ていない。私たちのリーダーは、我々の仕事を後退させるのではなく、改善させるためにそれをどのように使うのかを示すのが本当に上手だ。
[原文:Gen Z workers speak out on AI ethics, data security, career disruption]
Cloey Callahan(翻訳:SI Japan、編集:分島翔平)