ストーリーズ広告 、「利用しやすさ」でユーザーが拡大:Facebookグループの未来を握る鍵

10月30日に行われた第3四半期の業績発表で、Facebookの最高経営責任者(CEO)であるマーク・ザッカーバーグ氏は、(「消える投稿」と単純に説明されているが、一般には、バーティカルなモバイル投稿として知られている)「ストーリーズ(Stories)」が、同社の未来の中心にあると確信していることを明らかにした。また、投資家は、Facebookがモバイル動画を最優先していると、ザッカーバーグ氏が説明するのを耳にしていたが、今回の新たな宣伝文句は、それをすべてまとめているように思われた。ザッカーバーグ氏の話を聞いた者たちは、ある言葉――「インスタグラム(Instagram)」――に思いを馳せた。

「その場を離れながら、Facebookは、オンライン広告の未来がストーリーズに牽引され、商取引と密接に結びついていると確信しているのだと考えた。そのどちらも、Facebookよりもインスタグラムでさらに進んでいるようだ。おそらく、今後10年間でFacebookは矮小化するようになるというのが、我々皆の前にぶら下がっている答えだろう」と語るのは、金融サービス企業BTIGのアナリスト、リッチ・グリーンフィールド氏だ。

ストーリーズ形式の価値

Facebookのストーリーズはまだ新しいと、ザッカーバーグ氏は業績発表で強調したが、インスタグラムの成功を通じて、このフォーマットの力が証明されているのは明らかだ。インスタグラムのストーリーズの広告を購入する広告主が増えているが、利用しやすいのもその一因だと、メディアバイヤーは指摘する。Facebookのアドマネージャー(Ads Manager)は、Facebookとインスタグラムで横断的に広告フォーマットの一覧表示をしており、バイヤーは広告を表示したい場所のボックスにチェックマークを付けるだけでいいという。このシステムは、クリエイティブを各フォーマットに合うよう変更できるほか、個々のパフォーマンスも追跡できる。インスタグラムのストーリーズとFacebookのストーリーズのボックスは、今年追加された。

「短い動画広告を作成している場合、[インスタグラムのストーリーズでは]アドマネージャー内でボタンを1回ほどクリックすればいい。料金が高くて[予算を]取っておく必要がある、というわけではない。自由に、リアルタイムで最適化して、予算を圧迫しないところで消費者を見つけることができる」と、オムニコム(Omnicom)傘下のPHDのデジタルアクティべーション担当エグゼクティブディレクターを務めるジョー・ミンギーノ氏は語った。

インスタグラムのストーリーズに広告が導入されたとき、ブランドは、Facebook広告に充てる予算を、Facebookのニュースフィード、インスタグラムのフィード、インスタグラムのストーリーズに3分割した。現在はそれが1カ所になり、いつでも調整可能だ。FacebookのCOOであるシェリル・サンドバーグ氏は、30日の業績発表で、ストリーミングサービスのパンドラ(Pandora)は、こうした「自動掲載」を利用してきたと述べた。同氏によると、そうした購入方法により、単独のキャンペーンと比べて視聴単価(CPV)が10%低下したという。

魅力が薄れるSnapchat

Facebookのシステムは単純で効率が良いので、あるバイヤーは以前ほどSnapchat(スナップチャット)に関心を抱いていない。

「スナップ(Snap)はお勧めしない。さまざまな欠点はあるものの、報告することが多すぎてやめられないFacebookを気に入っている」と語るのはマーケティングエージェンシー、エクセラレイト・デジタル(excelerate Digital)のプログラマティックメディア専門バイヤーであるジョー・レベロン氏。

マーケターは、ウォールドガーデン(囲い込み)を理由にたびたびFacebookやGoogleを批判しているが、しっかりと保持されたデータに起因するFacebookのターゲティング力により、インスタグラムのストーリーズのほうが魅力がある。国際的なメディアエージェンシーのあるバイヤーによれば、インスタグラムのストーリーズは、ほぼすべてのブランドが利用しているフォーマットのはずだという。

「それが、インスタグラムが、我々がついていけないほど速く成長していることにつながっている。全面的にターゲティングのすべてを利用でき、全ユーザーに関するすべての保有データを考慮すると、これは実に素晴らしいことだ」と前述のバイヤーは語る。

いま現在欠けているもの

それでも、マーケターは、ストーリーズ最優先の企業であるFacebookの変化に煮え切らなかった。Facebookのプラットフォームでは、フィードがまだ、PHDの顧客の予算の大部分を占めると、ミンギーノ氏は話す。同氏の予測では、フォーマットの違いのせいで、そうした状況はすぐには変わらないという。

「まだストーリーズでできないことがある。ストーリーズは、気軽に楽しめる3~5秒のクイック動画向きだ。それが我々の本分であり、我々が売買や視聴を行いたいと思っているものだ。だが、5~10秒のGIFや静止画像、カルーセル、ダイナミック・プロダクト広告などを売りたければ、フィードがある」とミンギ―ノ氏は語った。

Facebookのストーリーズについては、フォーマットがまだその価値を示していない。オークションにおける低CPMのおかげもあって、成功しているブランドもあるが、国際的なメディアエージェンシーのメディアバイヤーは、チームがテストしてきたが性能に感心しなかったと述べている。オーディエンスはある程度いるのは認めたが、まだ予算を費やすほどの価値がないのだという。

「Facebookのストーリーズに100%夢中になっているわけではない。だが、来月には、何もかもFacebookのストーリーズをクリックしている可能性もある。飛びつかずに『様子見』しているということだ」とバイヤーはいう。

Facebookのストーリーズでの宣伝をためらう傾向は、規模にも表れている。Facebookのストーリーズのデイリーアクティブユーザー数(以下、DAU)は3億人と同社は9月に報告した。一方、Snapchatは、8月の時点でDAUが1億8800万人だった。インスタグラムのストーリーズは、DAUが4億人で首位を占めている、とFacebookは6月に報告している。

もっと魅力的にする方法

Facebookがストーリーズをもっと魅力的にできるひとつの方法は、初期テストのケーススタディーをもっと提供することだと、バイヤーは指摘する。サンドバーグ氏は業績発表で、ドッグカメラメーカーのファーボ(Furbo)の事例を共有した。ファーボが、犬関連に関心がある人をターゲットにし、すでに商品を購入済みと判断した人々を除外して、Facebookのストーリーズとインスタグラムのストーリーズに広告を掲載したところ、ほかのデジタルキャンペーンを20%上回ったという。

サンドバーグ氏は、チームにはもっと多くのケーススタディーがあるが、全体的に、Facebookのストーリーズを広告だらけにするのではなく、物事にゆっくり時間を掛けているようだと語る。

「最良の消費者向けサービスをまず構築し、そこでの成功に全力を注いでから広告を増やすという、通常の戦略に従っている」と、ザッカーバーグ氏は業績発表で述べた。

期待を膨らますマーケター

BTIGのグリーンフィールド氏は、ザッカーバーグ氏の業績発表から、Facebookでの広告には多くの可能性があるという印象を受けたと語る。アナリストは広告の量に関心を抱くことが多いので、ザッカーバーグ氏は、WhatsApp(ワッツアップ)バージョンのストーリーズである「ステータス(Status)」やインスタグラムの「エクスプロア(Explore)」など、広告がまだ表示されていないいくつかのプラットフォームに言及した。

「時期尚早ながら取り組まれているものが非常にたくさんあり、[最初の数年は]急成長しなくても、[Facebookは]絶対に潰れない」と、グリーンフィールド氏は語った。

Kerry Flynn(原文 / 訳:ガリレオ)