コネクテッドTVを介したYouTubeオーディエンスは増え続けており、その普及速度はほかのあらゆるデバイスを凌ぐ。依然としてYouTubeの主要視聴手段はモバイルではあるが、YouTubeはコネクテッドTVが「単なる小さなインベントリーソースにとどまらない」ことを広告主に示そうと取り組んでいる。
今のところ、YouTubeにとってコネクテッドTVのインベントリーは、是非とも広告主に売り込みたいものではないだろう。その一方でコネクテッドTVを介したYouTubeオーディエンスは増え続けており、その普及速度はほかのあらゆるデバイスを凌ぐ。
しかし、依然としてYouTubeの視聴にもっとも使われているのはモバイルデバイスであり、広告主にとっても、YouTubeにおける幅広いクロスプラットフォームキャンペーンの一貫として、コネクテッドTVも含まれているという状態で十分に満足できるとされている。
それでも、YouTubeはコネクテッドTVが「単なる小さなインベントリーソースにとどまらない」ことを広告主に示そうと取り組んでいる。
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広告主の関心は低い
今年から、YouTubeは広告主を対象にコネクテッドTVに特化したブランドリフト調査をおこなっている。YouTubeのグローバルソリューション担当バイスプレジデントを務めるデビー・ウェインステイン氏によれば、同社は2021年の上半期には調査で得られた知見をまとめ、コネクテッドTVでどのような広告が効果的かを広告主にアピールする予定だという。YouTubeはすでに広告主とクリエイティブに関するガイドラインを共有しているが、この調査結果によって、コネクテッドTVに特化した取り組みがよりスムーズになると想定している。
これらの「努力」は、広告主がキャンペーンでコネクテッドTV専用の広告を制作する際の助けになるだろう。ただし、コネクテッドTV専用の広告を制作する広告主は限られている。全国的なイベントシーズンなどで専用広告を作る広告主も一部いたものの、基本的にはほかのインベントリーと同一のものを流しているケースがほとんどとなっている。
YouTubeではモバイルデバイスを使うオーディエンスがもっとも多い。また広告主は基本的にオーディエンスベースの購入戦略を取っているため、広告がどういったコンテキストで表示されるかは、不適切な動画でもない限りさほど重視していない企業が大半だ。あるエージェンシーの役員は、「オーディエンス重視で購入しているため、どういったコンテンツで流れるのか、デバイスが何かというのは気にしていない。重要なのは届けたいオーディエンスに届いているかということだ」と語る。
コネクテッドTV向け広告ポートフォリオは拡大
YouTubeについても、コネクテッドTV専用のキャンペーンを展開しやすいシステムを用意しているとは言い難い。ウェインステイン氏は、「現在、コネクテッドTVのオーディエンスに対し、モバイルデバイスやデスクトップとは異なる広告を配信したい場合は、個別にコネクテッドTVのキャンペーンを設定することを推奨している」と語る。だがコネクテッドTV専用キャンペーンが(キャンペーン全体の)パフォーマンスを底上げするかについて懐疑的な広告主も多い。そもそも、個別キャンペーンというのは広告主にとってかなりの負担となる。
それでも、コネクテッドTV専用キャンペーンに取り組むことのメリットが増えているのも事実だ。まず、YouTubeではコネクテッドTVを利用するオーディエンスが増えている。さらに、来年からはニールセン(Nielsen)がデジタル広告視聴率システムを用いて、コネクテッドTV経由のYouTube広告の測定サービスを開始する。これによりオンラインキャンペーンのリーチを、テレビCMと似た指標で比較できるのだ。
また、YouTubeはコネクテッドTV向けの広告ポートフォリオをさらに充実させようとしている。ウェインステイン氏は次のように語っている。「これまで我々は、ダイレクトレスポンス広告をすべてコネクテッドTVを介して配信できるよう、それを最優先事項として開発に取り組んできた。2021年には、これについてより多くの発表をすることになるだろう」。
[原文:How YouTube is working to focus advertisers’ attentions on its connected TV inventory]
TIM PETERSON(翻訳:SI Japan、編集:分島 翔平)