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インスタ IGTV 、ロングテールで「脇役」ながらも地位を確保

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Facebookが所有するインスタグラムの責任者アダム・モセリ氏は、もはやインスタグラムを「写真共有アプリ」とみなしてはいないかもしれない。とはいえ、インスタグラムが長編動画アプリでもないことは、同プラットフォームの長編動画サービスIGTVの人気が示すとおりだ。しかしIGTVは目下、インスタグラムの拡大する動画プラットフォームのなかで脇役としての地位を確立しつつある。

コンビバ(Conviva)の調査によると、登場から3年余りとなるIGTVは、2021年上半期のフィード投稿の10%を占めた。動画の測定分析を手がけるコンビバは、2万5000件超のアカウントのフィード投稿(TikTokと競合するインスタグラムの短編動画サービス「リール[Reels]」は含まず)を調査した。このアカウントには、マーケター、メディア企業、エンターテインメント企業、スポーツ組織の4つのカテゴリーに属するアカウント1300件が含まれる。

通常の動画や写真、カルーセル投稿に比べ、IGTV動画がフィード投稿に占める割合は小さいものの、アカウントのフィード投稿に占める割合が2%だった2019年に比べれば、確実にシェアを拡大している。その一方で、インスタグラムにおける写真投稿のシェアは低下した。調査対象となったアカウントによるフィード投稿の過半数を写真が占めることに変わりはないが、投稿全体に占める写真の割合は、2019年の56%から2021年は52%に減っている。

「IGTVは、プラットフォームのバランスにとって非常に重要だ」と、コンビバの戦略担当バイスプレジデント、ニック・シセロ氏は述べている。インスタグラムは、2013年に動画をアップロードする機能を追加して以降、2016年に「ストーリーズ(Stories)」と「ライブストーリーズ(Live Stories)」、2018年にIGTV、2020年にリールを追加して、動画プロダクトのポートフォリオを拡大してきた。

IGTVが登場して3年あまり。同サービスは現在、インスタグラムの拡大する動画プラットフォームにおいて、どのような役割を果たしているのだろうか。

主なポイント:

  • 2万5000超のアカウントを対象としたコンビバ(Conviva)の分析によると、2021年上半期のフィード投稿のうち、IGTVが占める割合は10%だった。
  • 割合こそ小さいが、投稿に占めるIGTVの割合は2019年から5倍に増加している。
  • この長編動画サービスは、大ブレイクこそしないものの、ロングテールで視聴される動画のハブになっている。

インスタグラムが2018年6月にこの長編動画サービスを投入した当初、YouTubeのライバルになるポテンシャルを秘めていると思われたが、IGTVはいまだYouTubeの地位を脅かすに至っていない。これにはいくつか理由があり、以下に時系列で説明する。

YouTubeのライバルとはいえない

登場した当初、メディアおよびエンターテインメント企業、クリエイターのあいだでIGTVの採用が進まなかった。インスタグラムがYouTubeのような広告レベニューシェアのプログラムを提供しておらず、IGTV向けオリジナル動画を制作するインセンティブに乏しかったためだ。代わりに、YouTube動画を縦長にトリミングしてIGTV向けに再利用するところが多かった。

さらにIGTVの動画は当初、インスタグラムのメインアプリでもIGTVアプリでも、専用のセクションにほぼ隔離されていた。2020年初め、インスタグラムがIGTVのプレビュークリップをユーザーのメインフィードに表示するようになると、視聴数は増加したが、レベニューシェアは引き続き提供されなかった。

そして2020年の夏、インスタグラムは、IGTV動画のレベニューシェアプログラムのテストを開始すると発表したが、当初はテストの対象をメディア企業ではなく、個人の動画クリエイターに限定した。そして同年8月にリールの提供を開始すると、動画クリエイターの関心はIGTVからリールへと移ってしまった。

またコンビバのレポートからは、インスタグラムの幅広い動画プラットフォームのなかで、IGTVが主役でなく脇役に甘んじているもうひとつの理由がうかがえる。IGTVの動画は、マーケターがもっとも重要と考えている指標、すなわち「いいね」やコメントの数が振るわないのだ。4つのアカウントカテゴリーのいずれにおいても、IGTV動画は、通常の動画、写真、カルーセル投稿に比べてもっとも低いエンゲージメント率を記録している。

インスタグラムのアルゴリズムが人々のフィードに表示する投稿を決定する際には、視聴回数や視聴時間のほうが重視されるかもしれないが、「Facebookやインスタグラムでは、クライアントが『いいね』やコメント、シェアの多さを優先するように方向づけている」とあるエージェンシーの幹部はいう。

一方、短編動画サービスのリールは視聴回数がIGTVを上回るようになり、動画パブリッシャーはリールを優先するようになっている。

だが、消えてなくなることはない

それでもなお、IGTVが消えてなくなることはない。パブリッシャーにとっては、YouTube動画をIGTV向けに再利用するのが容易というのも悪くない点だ。あるメディア企業の幹部は、「オリジナルコンテンツという意味においては、特にIGTV向けに何かしているということはない」と話す。代わりに、その企業ではYouTube向けに制作した動画を使って、「インスタグラム用に別バージョンのサムネイルを作成し、動画をシンジケートしている。ヒットすることもあれば、しないこともある。それでも、我々にとって手札のひとつであることは確かだ」とその幹部は述べている。

さらにIGTV動画にとって有利なのは、インスタグラムのほかの動画フォーマットに比べて寿命が長い点だ。インスタグラムの動画は、アップロードされてから1日以内に視聴回数の大半を稼ぐ。通常のフィード動画は初日に72%、動画を含むカルーセル投稿は初日に85%の視聴回数を獲得している。これに対しIGTV動画は、平均すると初日が63%、2日目が8%、3日目以降が29%という内訳になる。

「IGTVがロングテールでの視聴回数をより多く稼げることは、フィードに対するアドバンテージのひとつだ。フィードは非常に寿命が短い」とシセロ氏は述べている。

[原文:Future of TV Briefing: Instagram’s IGTV may not be a star on the platform but solidifies itself in a supporting role

TIM PETERSON(翻訳:高橋朋子/ガリレオ、編集:長田真)