仏・業界団体グループ、 Googleへの懸念を政府に直訴: GDPR をめぐる大混乱

Googleが最後の瞬間になって一般データ保護規則(General Data Protection Regulation:以下、GDPR)に関する方針を変更したことを受け、Googleとフランスのメディア業界・広告業界との緊張が高まり、法施行直後の欧州の広告市場に大混乱が生じている

フランスの出版業界団体ジェスト(Geste)の会長で日刊紙「ル・フィガロ(Le Figaro)」のデジタルディレクターを務めるベルトラン・ジエ氏は、フランスのパブリッシャー、広告主、エージェンシー、アドテクベンダーを代表する5つの主な業界団体が、フランスのデジタル大臣、ムニール・マジュビ氏と6月15日に会談することになったと述べた(原文記事は6月15日掲載)。業界団体グループは、Googleはその規模の大きさと市場での支配的地位ゆえに、GDPRの方針変更でデジタル広告のエコシステムにダメージを与えているという懸念を、フランス政府と共有する予定でいる。

業界団体グループは6月12日、パリでGoogleの代表たちと会った。ジェストによると、この会談の目的は、業界団体グループが6月8日にGoogle宛てに送った公開書簡について話し合うことだった。

公開書簡のなかで、ジェスト、仏インタラクティブ広告協会(IAB France)、メディアバイイング団体のUDECAM、広告主協会のUDA、デジタル広告団体のSRIはGoogleに対して、欧州インタラクティブ広告協会(IAB Europe)やIABテックラボ(IAB Tech Lab)のGDPRコンセントフレームワークとの統合を促進するよう求めた。Googleはフレームワークへのコミットメントを文書化しておらず、フランス国内の関係者の不安を掻き立てている。

Googleの代表は会談のなかで自社の立場を説明したが、早急な行動や業界団体グループが要求した変更を確約して彼らの不安を解消することはなかった、と会談に出席したジエ氏はいう。

Googleの広報担当者は声明でこう述べた。「GDPRは誰にとっても大きな変化だ。我々は、GoogleがGDPRが定める義務に確実に従えるよう懸命に作業を進めており、さらに我々のパートナーのコンプライアンスの取り組みを手助けもしている。我々はこの1年、60以上の国で、イベントやワークショップ、会談を通じて1万以上のパブリッシャーや広告主、エージェンシー、業界団体と関わり、GDPRのコンプライアンスについて語ってきた――我々は今後も話し合いを継続していく」。

業界団体グループはさらに、Googleと業界団体とのあいだに恒久的な話し合いのプロセスを確立し、パートナーに影響するGDPR関連の将来の決定事項を共有することも望んでいる。

Googleの迅速な行動

GoogleのGDPRアプローチによる影響は、GDPR施行直後から欧州全体で感じられていた。フランスでは、いくつかの独立系のアドテクベンダーの需要量が最大50%も減少し、いくつかのパブリッシャーのプログラマティック広告の売上は70%減ったと、ジエ氏はいう。Googleは問題修復のために素早く動き、その結果、5月25日のGDPR発行後にアップネクサス(AppNexus)のような大手エクスチェンジのいくつかが、Googleのアドバイイングエコシステムに再統合された。情報筋によると、再統合されるエクスチェンジが増えるに連れ、現在のビジネスはほぼ正常に戻っているそうだ。だが、Googleのホワイトリストにまだ載っていないベンダーがいくつかあり、これはすなわち、その直接的結果として、ある特定のパブリッシャーのプログラマティック広告売上が打撃を受けていることを意味すると、ジエ氏は説明する。

Googleの迅速な行動にもかかわらず、たったひとつの企業の決定が市場にいかに大きな影響を与えうるかという不安感が残り、公開書簡でもその懸念が表された。

パブリッシャー向け広告販売店レジー366(Régie 366)でデジタルトランスフォーメーション部門を率いるリュック・ヴィニョン氏は、「我々は何かをしなければならなかった。市場にはまだフラストレーションがたくさん溜まっている。フランスの人々はリーダーを好まない。我々は挑戦者が好きなのだ」と語る。ヴィニョン氏はフランスIABの役員でもある。

業界団体グループは、欧州IABやIABテックラボのフレームワークとの統合を、Googleが自ら定めた8月の期限までにどう進めるつもりなのか、より明確なプランの提供も求めている。

メディア情報筋は、フランスにいるGoogleの代表たちは業界団体グループの声に注意深く耳を傾けていたが、同社の戦略は米国の本部が決定するので、自分たちにできることはあまりないと感じていたようだと伝えている。

ローカルアドサーバー、スマート(Smart)の最高プログラマティック責任者であるデビッド・ピロノン氏は、「Googleのローカルチームは非常に協力的だし、話のできる相手だったが、彼らがすべての鍵を持っているわけではない」と話す。スマートの広告量は5月25日以来回復しているそうだ。

大慌てで同意取得を進めるパブリッシャー

情報筋によると、フランスのパブリッシャーは、GDPRに準拠するために、合法的なインタレスト(関心)ベースのアプローチを選択したところがほとんどだという。4月にGoogleが、それよりはるかに厳しい同意ベースのアプローチを取ると明らかにすると、同意の争奪戦がはじまった。パブリッシャーはいま、Googleやその他のパートナーに対して同意に関する情報を提供できるように、同意管理プラットフォーム(CMP)を実装しようと努力していると、ピロノン氏はいう。

だが、Googleの同意ベースのアプローチに従うために、パブリッシャーがやらなければならないことはまだたくさんある。スマートが自社プラットフォーム経由で見てきた入札リクエストのうち、同意についての情報が添付されていたものは20%程度しかなく、この数字は市場の他の部分とも一致していると、ピロノン氏は付け加えた。

「情報の欠如が同意の欠如と見なされない中間期間がある。なので、明白な同意の拒否がない限り(デマンドサイドプラットフォームが)購入することも、まだ大丈夫だが、それは長くは続かない」と、ピロノン氏は述べる。「パブリッシャーはCMPを実装する必要がある」。

「GDPR 入門ガイド」はここでダウンロードできる。

Jessica Davies(原文 / 訳:ガリレオ)