「弱点を補強する」: LinkedIn 、広告ターゲティングの選択肢を広げる

LinkedIn(リンクトイン)における広告ターゲティングが、いままで以上に洗練されたものになりつつある。

LinkedInは、広告主が自身の広告にエンゲージしているユーザーをリターゲティングできるように計画中だと、この件を直接知るマーケターは語る。現在、LinkedInの広告主が見ることができるのは、特定の企業へのあるオーディエンスグループによるクリックだけだ。Facebookなどの別のプラットフォームでは、個人レベルまでリターゲティングが可能で、広告主はさらに広告をパーソナライズできる。情報筋によると、この機能は2020年にリリースされる予定だ。LinkedInには、2019年の後半に、都市、州、国レベルでより細かな地域に絞り込んだターゲティングを追加する予定もある。

「我々は、マーケターの顧客リーチの手助けとなるような新しい機能や可能性のテストと構築を常に行っている」と、LinkedInの広報はeメールで教えてくれた。

LinkedInの良いところ悪いところ

LinkedInのこの一連の改善は、マイクロソフト(Microsoft)による買収から3年後に、金銭的なリソースの援助を受けて実現した。2019年5月、LinkedInはドローブリッジ(Drawbridge)というクロスデバイスデータの企業を買収した。LinkedInに注力しているアドエージェンシーのB2リンクト(B2Linked)の創設者、AJ・ウィルコックス氏によると、このドローブリッジの買収は単に人材のための買収ではなく、LinkedInが自身のプラットフォームにさまざまなデバイスを通じたクロスデバイスターゲティングを導入しようとしている兆候だという。LinkedInはクッキーベースのリターゲティングに頼っていたが、これは、ブラウザ側が機能を制限している場合には効果的ではない。ウィルコックス氏は、イベントベースでのリターゲティング、たとえば動画の視聴率に基づいたターゲティングなどが次に必要な一手だ、と語る。

「動画での広告視聴単価は、2秒の視聴あたり0.06ドル(約6.46円)と非常に高額なだけでなく、YouTubeやFacebookでは当たり前にできることがまったくできない。LinkedInは、そこでのターゲティングが弱いことは認識しており、これに取り組むための一歩を踏み出している」と、ウィルコックス氏は語る。

実際、LinkedInの価格設定は常にマーケターの悩みのタネだ。今後のリターゲティングの機能について、グレゴリー(Gregory)でデジタル戦略部門でディレクターを務めるステファン・ビュジェビッチ氏は、「オーディエンスのサブセットの規模が小さいということを考えても、これがさらに割高なものだろうというのは容易に想像できる。だが、彼らが広告プラットフォームに目に向けはじめているということは良いことだ。マイクロソフトによる買収以降、彼らが自身のさまざまなプラットフォームでの弱点の克服に組織全体として注力し、ゆっくりと進化・改善をしていく姿勢が見てとれる」。

「支払う分の価値はある」

LinkedInの広告は2017年ごろから飛躍的に向上したと、マーケターたちは語る。2019年初頭、LinkedInは関心事に応じたターゲティングや類似したオーディエンス向けのターゲティングなど、さまざまな選択肢を追加した。これらの選択肢が、会社や年齢層、教育や仕事経験、そして広告主自身のコンタクトリストの活用をすれば、ターゲティングに加えて利用できるようになる。LinkedInはまた、自身の広告プラットフォームの見た目や使いやすさの向上も実施してきた。

「アドマネージャーは使いやすく、見た目も良い。画質も、オーディエンスデータも大きく向上している。2018年に、検索エンジンのビング(Bing)広告でも可能となっている、LinkedInでのプロフィールターゲティングを開始したが、これがクライアントにとって素晴らしいものになってきている。残念ながら、ビングで広告してもコストは下がらないが、ビングのネットーワークにいるLinkedInの人々にターゲティングできることは、LinkedInとマイクロソフトの統合としては大きな一歩だ」と、カナダのバンクバーに拠点を置くエージェンシーのテイクサムリスク(Take Some Risk)の創設者で戦略部門を率いるデュエイン・ブラウン氏は語る。

だが、いくつかのキャンペーンでは高いコストがかかるにもかかわらず、多くのマーケターにとって、LinkedIn広告はこれまで通り価値あるものだ。

「非常に集中したターゲティングでのクリック単価は高くなることもあるだろうが、最終的には支払った分の価値を手に入れることになるだろう。これはそのほかの広告プラットフォームでも同じことだ。トラフィックの質は素晴らしく、正確なターゲティングができるという選択肢のため、高い導入コストをかける価値がある。さらに、競争力もそこまで悪くない」と、ブラウン氏は語る。

プロダクトの体験向上

広告プラットフォーム以外のところでは、LinkedInはプロダクトの体験向上にも取り組んでいる。2019年6月末にLinkedInがアクシオス(Axios)に語ったところでは、彼らはフィード内でのアルゴリズムを変更し、ニッチで専門的な関心事や、より対話型の書き込みを増やしてきた。プロダクト内でのこのような変更は、広告インベントリの開拓などを通じて、広告主にもメリットがでてくるはずだと、B2Bのクライアント向けにデジタルマーケティングのコンサルティングを行うベッツィー・ハインドマン氏は語る。

「スマートでより関連性のあるニュースフィード内コンテンツは、広告プラットフォームとしては素晴らしいものになるだろう。なぜなら、それによって、LinkedInを見ているあいだに人々が費やす時間も増えるし、サイトを訪問する頻度も上がるからだ。これにより我々はさらなる広告インベントリを手にすることができ、運が良ければ多少の単価減につながるだろう。現在、LinkedInを訪れるのは月に数回、というのが平均的なユーザーの傾向だが、これを考えると、非常に限定された高価な広告インベントリだと言える」と、ハインドマン氏は語る。

マーケターたちによると、彼らはLinkedInのプラットフォーム上で行うキャンペーンをスケールできるような改善に期待しているという。ウィルコックス氏は、Googleのアドエディターのような、バルクツールが欲しい、と語る。また、ビュジェビッチ氏は、LinkedInがFacebookのページ構成や開発フローを手本にしているのは明らかだが、キャンペーンのデリバリーやオーディエンスのプロジェクションなどの機能にも期待している、と語る。

Kerry Flynn(原文 / 訳:Conyac