「我々が一番最初」: 競合乱立のなか、eBay がスニーカーマニアへ訴え

スニーカー文化の初期のころには、スニーカーに特化したeコマースサイト、「スタジアム・グッズ(Stadium Goods)」や「ストックX(StockX)」、「ゴート(GOAT)」や「フライト・クラブ(Flight Club)」などは存在していない。その代わりに、(イーベイ)が存在していたのだ。

近年、スニーカーの売買に特化したプラットフォームが急増しているが、eBayはいまもスニーカーヘッド(熱狂的なスニーカーコレクター)たちに広く利用されている。ノースカロライナ州シャーロットで2月15日~17日に開催された「NBAオールスターゲーム」の期間中、そのeBayがアクティベーションを行った。スニーカー文化の発信地であることを思い出してもらうためだ。

eBayは、シャーロットのマコール・センター・フォー・アート・プラス・イノベーション(McColl Center for Art + Innovation)で「ボールト(The Vault)」というイベントを開催。多数のスニーカーコレクター、インフルエンサーが希少価値の高いスニーカーを紹介した。イベント参加者はスニーカーを購入することもできた。その多くが2桁台前半の限定生産品だ。さらに、eBayのオンラインプラットフォームでもスニーカーが販売された。

eBayはイベントのために、NBA選手のP・J・タッカー氏からYouTubeクリエーターのジャックス・スレイド氏、スニーカー界の伝説的人物キックストランドミス氏まで、スニーカーコレクターたちに協力を依頼。コレクターたちは選りすぐりのスニーカーを持参し、会場に展示した。また、マイケル・ジョーダン氏に敬意を表し、23足のスニーカーを販売。イベント参加者が最初に購入し、その後、オンラインで売り出された。このイベントの主なセールスポイントは、個人コレクションの超レアものスニーカーを除き、多くのスニーカーがeBayらしく定価以下で販売されたことだ。

対面式のアクティベーション

実店舗を持たない小売業者のあいだで、こうした対面式のアクティベーションが拡大している。ストックXは最近、ニューヨークのトライベッカで期間限定イベントを開催。販売者がスニーカーを持参すれば、その場で本物の認証と支払いを受けることができるという内容だ。ゴートは2018年、フライト・クラブと合併し、実店舗での販売を開始した。

今回のアクティベーションの目的は、現在のスニーカー文化と転売市場の大部分がeBayから生まれたという事実を思い出してもらうことだった。eBayのスニーカー責任者ジェフ・チャン氏は、「私がはじめてスニーカーを売ったのもeBayだった。1999年のことだ」と振り返る。「20年前の私にとっては、ここがスタート地点だった。当時、こうしたものを売買する正式な手段は存在しなかった。eBayはいまも最前線にいると、私は信じている。我々の強みは、ほかでは見つからない超レアものスニーカーを入手できる販売者がいることだと思う」。

スニーカー文化が急激に拡大し、市場は様変わりした。現在、市場には力を持つプラットフォームがいくつかあり、その多くがベンチャーキャピタルから巨額の出資を受けている。それでも、eBayは脅威と捉えるのではなく、むしろ競争を歓迎している。市場全体が前進し、すべてのプラットフォームが改善を目指す動機になるためだ。

ユーザー体験のハードル

eBayのファッション担当シニアディレクター、レニー・パラダイス氏は「ストックXやスタジアム・グッズは皆、市場の興奮を高めてくれている」と話す。「私は大きな変化だと思いながらそれを眺めている。間違いなく、ユーザー体験のハードルは上がっている。結局のところ、我々は最大手で、いまも多くの売り手と買い手を獲得しているが、高いレベルを維持しようと努力し続けている。そのため、我々だけが提供できるものに目を向けている。ほかにはないとても希少なアイテム、ブランドによる健全な価格での直販。さらに、我々は世界規模で運営されている数少ないプラットフォームのひとつだ」。

新しい転売業者の多くが注力しているのが顧客体験の向上だ。ストックXのCEOジョシュ・ルーバー氏は、米DIGIDAYの姉妹サイト「Glossy(グロッシー)」のインタビューで、初期のオンラインスニーカー転売市場は「西部開拓時代」のような雰囲気だったと語っている。自分が何を購入したのかもはっきりわからない状態で、標準化されていることはほとんどなかった。

認証に関しては、eBayよりライバルたちの方が先を行っている。ストックXやゴート、スタジアム・グッズと異なり、eBayにはスニーカーの認証プログラムがない。ただし、eBayはこの点について、偽物を報告する手段はいくつもあり、偽物と報告されるスニーカーの割合は1%未満だと述べている。

売り手と買い手の顧客体験

eBayでは、リセール体験の標準化の要望がなくなることがなく、同社は売り手と買い手の顧客体験向上に多大な労力を費やしている。たとえば、最近新たな機能が追加され、売り手は商品ページをゼロから作るのではなく、すでに販売されている同じスニーカーを探し、商品ページを素早く作成できるようになった。

「我々は主に、ふたつのことに注力している。手軽な売買を実現すること、そして買い手にとって安全で信頼できる環境を構築することだ」と、パラダイス氏は説明する。「顧客を詐欺から守るため、我々は100%の返金を保証している。知らない人も多いが、10年前から続けていることだ」。

eBayは、もはや唯一のスニーカー転売業者ではないかもしれないが、いまでもスニーカーは重要度の高い分野だと考えている。スニーカーの販売数や売り上げは公表していないが、3万ドル(約330万円)の高値で取引されたスニーカーもあるという。eBayにとって、スニーカーは最大の収入源ではないものの、市場全体の成長を考えると、戦略的な重要性は高い。

Danny Parisi(原文 / 訳:ガリレオ)