ハンドバッグとアクセサリーに焦点を当てた再販プラットフォームのファッションファイル(Fashionphile)は1月25日、ザ・リアルリアル(The RealReal)のような競合他社から購入したバッグはどれでも、元の再販価格の70%の均一価格で購入するという新しい「買い戻し」プログラムを開始した。
eコマースならぬREコマース(再販サービス)が昨年人気を伸ばしたことで、再販業者は1年前よりもはるかに競争の激しい市場を体験している。在庫のコントロールが限られているため、高級品を持つ売り手を巡って激しい競争が繰り広げられている。ハンドバッグとアクセサリーに焦点を当てた再販プラットフォームのファッションファイル(Fashionphile)は1月25日、ザ・リアルリアル(The RealReal)のような競合他社から購入したバッグはどれでも、元の再販価格の70%の均一価格で購入するという新しい「買い戻し」プログラムを開始した。
この買い戻しプログラムを利用するには、レシートのスクリーンショットのような購入の証拠と、ファッションファイルチームによる商品の評価が必要となる。この70%という数字は現金による払い戻しの場合で、顧客がストアクレジットを受け取ることを選択した場合には、元の再販価格の80%のクレジットを受け取ることができる。
競合他社を出し抜く安全な戦略
この動きは、競合他社を併用することに慣れている売り手の注意を引くことを目的としている。ファッションファイルは、ターゲットを絞ったソーシャル広告と検索広告を使って新しいオーディエンス向けに買い戻しプログラムの認知を広めようとしており、既存の顧客にはサイトの売り手向けページとeメールを通じてプログラムを発表した。創設者のサラ・デーヴィス氏は、ほとんどのファッションアイテムとは異なり、ハンドバッグはその価値を維持、場合によっては高くなる傾向があるため、買い戻しプログラムは安全な戦略だと述べた。
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デーヴィス氏によると、商品は販売可能な品質状態にあり、過去6カ月以内に購入された必要があるという。ファッションファイルは、リバッグ(Rebag)、ザ・リアルリアル、ヴェスティエラ・コレクティブ(Vestiaire Collective)のような、もっとも評判の良い高級再販プラットフォームからの商品を受け入れているが、イーベイ(eBay)のようなマーケットプレイスはこのプログラムから除外されている。
「小売価格の70%では、人々から商品を買うことはできない。我々の利益率的にそれは上手くいかない」とデーヴィス氏。「しかし、再販されるハンドバッグの場合は(再販価格の)70%はだいたいの減価償却率となっている。我々はそもそも製品を作っているわけではないので、私たちにとっては同じことだ」。
ファッションファイルはこれまでも買い戻しプログラムを行ったことがあり、最後に行ったものでは2007年にローンチされた、同社のプラットフォームから購入したバッグの70%払い戻しを提供するプログラムがある。デーヴィス氏によると、このふたつのプログラムには運用面で大きな違いはないという。ファッションファイルにはバッグ一つひとつの価格を決める独自の調達チームがあり、このチームが設定する価格はファッションファイル、ザ・リアルリアル、およびリバッグのようなほかの再販企業のあいだで比べても同等になっている。いずれの再販業者も自社で購入したバッグについては同様の買い戻しプログラムを実施しているが、ほかの再販業者から購入したバッグについては同様のプログラムを実施していない。
再販企業における成功の鍵
新しいプロダクトが定期的にローテーションされることは、再販企業にとって成功の鍵となっている。デーヴィス氏によると、在庫の9%はサイトに掲載された日に、33%は1週間以内に、56%は1カ月以内に購入されるという。その期間を越えて在庫に残る商品はしばらく休眠状態になり、売却には数カ月かかるという。同氏によると、ほとんどの顧客はサイトの新着情報タブを閲覧しており、ときには1日に数回閲覧していることが彼女のチームの分析で分かっているという。パンデミックの初期に売り手がファッションファイルに商品を届けることが困難になると、プロダクトの定期的なローテーションが脅かされた。そこで同社は、売り手が郵便局に行かずに済むように、UPSによる集荷サービスを提供することにした。
同氏によると、パンデミックが始まって以来、ファッションファイルの流通取引総額は33%上昇し、1万ドル(約106万円)以上の商品の売上は960%以上上昇したという。高級百貨店チェーンのニーマン・マーカス(Neiman Marcus)は2019年、同社の株式を過半数以下の規模で、取得した。
「パンデミックや金融危機のような出来事は、人々に手持ちの商品を転売するよう促す」とデーヴィス氏。「このパンデミックは、再販業界にとって大きなブーストとなった。市場には再販業界の存在を知らなかったかもしれない多くの新規参入者が入ってきている」。
ヴェスティエラ・コレクティブの最高成長責任者であるクララ・チャッパズ氏によると、これまでは一時流通市場での買い物に慣れていた買い物客たちがより手ごろな選択肢を探し始めたことが理由のひとつだという。ヴェスティエラ・コレクティブは今年の4月に6300万ドル(約67億円)の資金調達を受けた。リバッグのCEOであるチャールズ・ゴーラ氏は以前、米DIGIDAYの姉妹サイトである米グロッシー(Glossy)に対し、2020年の売上10件のうち9件は初めて販売した人によるものだと述べていた。
「我々は贅沢品を提供するが、かなりの割引価格で提供している」とチャッパズ氏。「顧客が(通常価格では)手が届かないときには、さらにこの我々が提供する価値が高まる。供給面では、パンデミックによって、これまで再販の世界では活発でなかった多くの新しい売り手が、所有しているバッグから現金を得たいと考えるようになった。オーディエンスも増え、需要も増えている」。
[原文:Reseller Fashionphile’s new buy-back program targets competitors’ customers]
DANNY PARISI(翻訳:塚本 紺、編集:長田真)