Facebookが2015年10月13日に発表した、新機能「サジェスティッド動画(レコメンド動画)」。ニュースフィードに流れた動画投稿をタップすると関連動画群が現れ、ユーザーはスクロールすることで、それらを視聴できるというものだ。一部のiPhoneアプリユーザーにのみ、試験運用されているという。
極めてYouTubeに似た「Videos」という動画閲覧専用のスペースも新設された。メイン画面に置かれたタブから友人やFacebookページ、コンテンツ提供者の動画を閲覧できる。閉鎖的な仕組みの「Facebook内のYouTube」になるかもしれない。
Facebookが動画プラットフォーム化し、YouTubeを追いかける。次の黄金郷とも言われる動画をめぐって、二者の競争が激化してきた。舞台は、いまやユーザー数でデスクトップを大きく引き離すモバイルだ。そんな両者の寡占も見込める状況のなか、Twitterも名乗りをあげた。
Facebookが動画プラットフォーム化し、YouTubeを追いかける。次の黄金郷とも言われる動画をめぐって、二者の競争が激化してきた。舞台は、いまやユーザー数でデスクトップを大きく引き離すモバイルだ。そんな両者の寡占も見込める状況のなか、Twitterも名乗りをあげた。
FacebookのYouTube化
Facebookが2015年10月13日に発表した、新機能「サジェスティッド動画(レコメンド動画)」。ニュースフィードに流れた動画投稿をタップすると関連動画群が現れ、ユーザーはスクロールすることで、それらを視聴できるというものだ。一部のiPhoneアプリユーザーにのみ、試験運用されているという。
極めてYouTubeに似た「Videos」という動画閲覧専用のスペースも新設された。メイン画面に置かれたタブから友人やFacebookページ、コンテンツ提供者の動画を閲覧できる。閉鎖的な仕組みの「Facebook内のYouTube」になるかもしれない。
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Testing New Video Experiences on Facebook
Posted by Facebook Media on 2015年10月13日
「サジェスティッド動画」のプロモーション動画。ニュースフィード上のオートプレイ動画をタップすると現れる。上記ビデオの後半は、新設されたタブ「Videos」の説明
動画プラットフォームのカギは、コンテンツ配信者の確保だ。2015年の6〜7月にかけて、Facebookは配信者向けに解析ツールやアップロード環境を改良。「新しい動画マッチングテクノロジー」も試験運用しており、配信者は包括的なコンテンツマネジメントが可能になるとしている。
同社の2015年第2四半期決算によると、広告売上の76%はモバイル広告によるもので、モバイル動画広告が満たす割合も拡大するとみられる。
モバイル動画もFacebookとGoogleの手中?
インターネット調査企業comScoreの15年6月の調査によると、モバイルアプリのユニークビジター上位10アプリでは、Facebook関連が3本(Facebook、Facebook Messenger、Instagram)、Google関連が5本(YouTube、Google Search、Google Play、Google Maps、Gmail)と2社による寡占状態だ。
1位のFacebookが「YouTube化」すれば、2強が動画プラットフォームになる。さらにモバイル動画のほとんどが、FacebookとYouTubeを運営するGoogleのものになり、モバイル動画広告の大半が両者の手の内に落ちるかもしれない。
動画プラットフォームで首位を走るYouTubeの視聴者もモバイル経由が半分を越えた。近年、YouTubeの収益化を進めてきたGoogle。2015年7月にYoutube動画広告の購入について、年内に同社が運営するアドエクスチェンジ「DoubleClick Ad Exchange (AdX)」を通じた取引を廃止し、ソフトウェア「DoubleClick Bid Manager」か、Googleアドワーズ経由に限定すると発表した。
これにより、YouTube動画広告からサードパーティ(第三者)のアドテク企業を締め出すことになりそうだ。AdXでは、アドテク企業がブランド企業のキャンペーンを支援し、Googleがブランド企業に提供していないサードパーティデータを提供していた。この措置でブランド企業はGoogle広告部門と直接取引する以外の手段はなくなった。
Twitterもプレロール広告で追いかける
Twitterは、2015年10月8日に動画広告「Twitter Amplify」の機能拡張を発表。日本での発表によると、テレビ局などのコンテンツ配信者が提供したスポーツ、ニュース、エンタテインメントなどのカテゴリーの動画に、広告主が6秒のプレロール広告(動画視聴前広告)を差し込める仕組みだ。提供される動画はリアルタイムで注目を集めるものを中心とし、Twitterの速報性を活かす。「Twitter Amplify」自体は、日本でも2013年から導入していた。
世界のトップ6だけが出場を許される世界最高峰の戦いGPファイナル。現在、羽生結弦選手の最新映像を一部公開中です!GPファイナル「女子ショート」は明日よる8時からテレビ朝日系列にて放送!(一部地域を除く) #フィギュアスケート https://t.co/rghxF9Z7KV
— テレビ朝日 フィギュアスケート (@figureskate5ch) 2014, 12月 11
リアルタイムで話題になった一場面を配信者が提供する。このような動画の再生前に6秒間の広告が挿入されるという
米国での発表によると、広告主は出稿時にコンテンツのカテゴリーとターゲットオーディエンスを指定できる。たとえば「スポーツの動画を閲覧する、34歳以下の男性」。この指定に対しTwitterは、ユーザーデータを利用し、ターゲティングする。
Twitterはテレビなど多数のコンテンツ配信者を確保。TechCrunchによると、プレロール広告の利益分配は、コンテンツ配信者に7割、Twitterに3割だという。この割合は先行するYouTube、Facebookの配信者55%、プラットフォーム45%を意識しているのは明らかだ。
主要なプラットフォームがすべてモバイル動画に照準を合わせてきた。YouTubeはテレビ広告予算の獲得競争を始めているが、Netflixなどの動画配信サービスも拡大しており、「動画」という枠自体の競争も激しくなっている。モバイルのプレロール広告には若年層の速いスキップなどの問題もあり、今後とも注視が必要だ。
written by 吉田拓史
photo by Thinkstock / Getty Images