Facebookは、複数の広告主をひとつの広告枠内に表示できるようにした新しい広告フォーマットをテスト中だ。ここでは、ふたつの異なる企業の動的な広告キャンペーンをFacebookの「コレクション」(Collection)広告内で横並びにバンドルすることを実現させている。
ブランド間のコラボが熱い。そしてFacebookは、複数のブランドの引き合わせ役、いわばマッチメイカーになろうとしているようだ。
Facebookは、複数の広告主をひとつの広告枠内に表示できるようにした新しい広告フォーマットをテスト中だ。ここでは、ふたつの異なる企業の動的な広告キャンペーンをFacebookの「コレクション」(Collection)広告内で横並びにバンドルすることを実現させている。eコマース会社のブランドレス(Brandless)で働くキャメロン・ミルズ氏は、下記のスクリーンショットで、この新しい広告の形を米DIGIDAYに見せてくれた。
小規模なテストの段階
Facebookの広報担当が米DIGIDAYに語ったところによると、このフォーマットは、参加に合意した広告主を巻き込んだ小規模なテストだという。このテストに参加したのは全員、eコマースや小売業を営む広告主であり、その広告はアメリカ、イギリス、そしてカナダでのみ運用されている。
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「我々は、さまざまな広告主からのおすすめ商品をひとまとめにして表示するという小さなテストを行っているところだ。大きく展開する前に、これが消費者やビジネスにとって価値のあるものなのかどうかを評価するつもりだ」と、Facebookのプロダクトマーケティング部門のマネージャー、マリー・ヘイル氏はeメールで伝えてきた。

Facebook上の広告ユニット例(キャメロン・ミルズ氏提供)
小売関連のクライアントを持つメディアバイヤーにとって、Facebookニュースフィードにおける他の広告と比べて、このフォーマットの価格が低い場合、特に魅力的だ。実際、これまでのFacebook上での広告ユニットは年々価格が上昇しており、ブランドはまだ比較的新しいFacebookストーリー(Stories)やFacebook傘下のインスタグラム(Instagram)、そしてSnapchat(スナップチャット)に目を向けはじめている。だが、価格は上がっているにも関わらず、特にDTC(Direct To Consumer:直販)ブランドのスタートアップは、その成長要因としてFacebook広告に言及している。
「これまでの広告と比べてインプレッション単価が安ければ、安価にインプレッションを伸ばせるだけでなく、Facebookにより多くの広告インベントリのスペースを与えられるような素晴らしいソリューションとなるだろう」と、デジタルエージェンシーのジュース(Juice)の共同創設者、トロイ・オシノフ氏は語る。
このメニューの懸念点
小売業者が諦めなければならないことのひとつに、広告のコントロールがある。このFacebookのテストでは、同じ広告ユニット内に表示されるほかのブランドを選ぶことはできないのだ。
Facebookの広報によると、この広告ユニットの価格モデルはもちろん、公式にリリースされるかどうかもまだ決定していないという。同じ広告ユニット内で2番目に表示されるブランドの広告が低価格で販売されるとは考えにくい。また、このテストに参画した広告主は料金を支払う必要はなく、Facebookのユーザーがその広告を見たとき、またはエンゲージを選択したときに無料でインプレッションを獲得できると広報は語る。
バイヤーによると、Facebook上でのこの複数ブランド広告によって、競合相手の売上を伸ばしてしまうかもしれないという懸念もあるという。例として、上のスクリーンショットにはリボルブ(Revolve)とバンディア(Bandier)という2社の婦人服ブランドが映っている。リボルブが米DIGIDAYに語ったところによると、同社は「Facebookが費用を負担した特別なテスト」に参加していたという。バンディアは、この件に関するコメント依頼には応じなかった。
「ユーザーはまだこの新しい広告フォーマットに慣れていないことを考慮すると、我々のクライアントのブランドの隣に、どんなブランドが一緒に表示されるかをコントロールできないというのは少し不安が残る。このフォーマットは、一緒に表示されるブランドとの関連性をユーザーにイメージづけてしまうことになるだろう」と、オシノフ氏は語る。
Google広告との比較
それでも、オシノフ氏のエージェンシーが小売関係のクライアント向けに運用したFaceboookのコレクション広告で成功したこともあり、チャンスがあればそのフォーマットを試してみたいと、オシノフ氏は語る。オシノフ氏とブランドレスのミルズ氏はともに、この新しい広告ユニットとオンラインの買い物客が商品を検索できるGoogleショッピング(Shopping)を引き合いに出し、価格面での比較も行っている。
「これは、現在のFacebookの広告ユニットとは、大きく異なっている。Googleのショッピング広告を、Facebookなりのやり方で見せている感じだ」と、ミルズ氏は述べた。