Facebookは17日「Workplace(ワークプレイス)by Facebook」を日本で正式に展開すると発表した。「価格設定は破壊的であり、エンタープライズIT企業のような営業手法ではなく、Facebook本体同様、ネットワーク効果を狙う」。
Facebookは17日、企業内ソーシャルである「Workplace(ワークプレイス)by Facebook」を日本で正式に展開すると発表した。同日開かれた国内発表会で、Facebook SMB / Workplace APAC責任者であるナクル・パテル氏はWorkplaceについて以下のように語った。
*Workplaceの価格設定は破壊的であり、エンタープライズIT企業のような営業手法ではなく、Facebook本体同様、ネットワーク効果を狙う
*労働人口の中心となるミレニアル世代は使いやすく、モバイルフレンドリーでオープンな社内コミュニケーションを求めている
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*日本企業はすでにFacebookをビジネス利用しており、よりセキュアなWorkplaceに移る可能性がある
Workplaceの機能はFacebookを企業向けにしたと形容するのがわかりやすい。閉鎖的なFacebook本体の機能に加えて、ライブストリーミング、通話、チャットアプリなどがあり、セキュリティが強化され、ユーザー企業が設定する管理者がコントロールが利くようになる(詳しくはこちら[英文])。
パテル氏は「3年後には(グローバルで)労働人口の50%がミレニアル世代(1980-2000年生まれ)になる。彼らは企業のトップとも率直なコミュニケーションを求めている」と指摘した。「彼らは会社で利用するソフトウェアでも親しんだ体験を求めている。我々はほかのエンタープライズソフトウェア企業と異なり、モバイルファーストだ。人々が慣れ親しむデジタルデバイスは会社のIT機器ではなく、個々人のモバイルだ」。
「Workplaceは価格設定が破壊的だ」とパテル氏は語った。プレミアムの価格設定は、アクティブユーザー1000人までは1ユーザーあたり3ドル。1000人目以降から1万人までに該当するアクティブユーザーは1ユーザーあたり2ドル。それ以降のアクティブユーザーは1ユーザーあたり1ドル。

Workplaceの価格設定。ユーザー数が増えるにつれて価格が落ちる。

Slackの価格設定。無料利用と有料で差がある。
競合するSlackの価格と比べると、課金を開始した段階からFacebookが格段に安い。Slackは元々エンジニアの開発用ツールがビジネスサイドに広がった。FacebookがSlackより親しみやすく、安価なものを求めるニーズに狙いを絞っているのがわかるだろう。Slackのコアの利用者であるエンジニアは引き離せないかもしれないが。
このプライシングではFacebookがWorkplaceから大きな収益を上げることは考えられない。ただし、本体に好調なビジネスがあり、ビジネス情報にまでデータソースを広げることになるだろう。ペテル氏は「ユーザーが求めるサービスを提供することが重要であり、収益化は十分なユーザー数を得てから考えたい」と語っている。
エンタープライズIT企業はユーザー企業に対しWorkplaceと同機能製品だけでなく、一連のパッケージを力強い営業部隊により売り込む。企業がエンタープライズソフトウェアを導入するステップや社内階層構造に対応したB2Bマーケティングのセオリーだ。
Facebook SMB / Workplace APAC責任者であるナクル・パテル氏
だが、パテル氏はDIGIDAY[日本版]の取材に対し、Facebookは異なるアプローチをとると語った。「確かにエンタープライズジャイアントは包括的なサービスを提供している。しかし、我々はパートナーシップを広げている。マイクロソフト、Gsuite(Googleのビジネス向けツール)、Box、ドロップボックス、Quip(Salesforce傘下)などだ。Workplaceの利用者は自ら我々のところに利用の意思を伝えている。Facebookはネットワーク効果に集中する」。
日本人のFacebook利用はユニークで、特にビジネスパーソンはFacebookをLinkedIn、FacebookメッセンジャーをSlackとして利用している。「Workplace自体もFacebook従業員によるFacebookグループが基となり生まれた。ユーザー企業は、社内SNSを外部のコンシューマーサービスに依存するよりは、管理者権限やセキュアであること重視するだろう」。
Facebook以外でもマイクロソフトがオフィス365で利用する「Microsoft Teams live」を提供しており、大手によるSlackキラー製品が相次いでいる形だ。
Written by 吉田拓史
Photo via Facebook Newsroom