Facebookは30秒以上視聴された動画の再生回数をパブリッシャーが確認できるベンチマーク指標を廃止した。その代わりに動画が10秒間再生されたあとで、視聴回数を測定する基準を強化している。この動きに対する、さまざまな反応を追った。
Facebookは30秒以上視聴された動画の再生回数をパブリッシャーが確認できるベンチマーク指標を廃止した。その代わりに動画が10秒間再生されたあとで、視聴回数を測定する基準を強化している。
Facebookインサイトのダッシュボードでページ所有者が利用できた30秒視聴指標は、パブリッシャーが自身のFacebook動画のパフォーマンス測定ができるベンチマークのうちのひとつだった。このダッシュボードにはほかの指標として、合計動画視聴回数(Facebookでは3秒で測定)、ユニークビューワー数、1動画の平均視聴時間、合計視聴時間が含まれる。
それらに加え、新たに10秒指標が利用可能になった。インサイトのダッシュボード上で10秒視聴指標が昨年から導入されるとFacebookは発表していたが、複数のパブリッシャーの情報によると、一部のパブリッシャーは、2月第3週からそれが利用できるようになったという。
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撤廃反対派の意見
パブリッシャーのなかには、自社コンテンツへのエンゲージメント数を自ら実証するための重要な指標をFacebookが廃止したと主張し、この展開を歓迎していない者もいる。加えて、これからの混乱が目に見えるともいう。なぜなら、Facebookは現在、より長い視聴時間とより高品質の動画を優先しているからだ。
「我々のFacebookに対する全体的な動画戦略は、高エンゲージメント率に基づいている」と、英米に拠点をもつパブリッシャー―で、数十のFacebookページで月平均6000万の視聴回数を記録するタブメディア(Tab Media)の編集長、ジョシ・ハーマン氏は述べる。「3秒ほどの動画視聴回数を何億兆と稼ぐことを我々は目標にしていない。というのも、そこには価値が見いだせないからだ。人が30秒も動画を視聴しない場合、そのコンテンツに、ひいてはその動画の広告に、注意を払っていると断言することが正直いってできるだろうか?」。
タブメディアは、自身のFacebookビューワーの半数以上が少なくとも30秒間は視聴していると語った。キャンパスコンテンツを扱う同社のサイト『ザ・タブ(The Tab)』は1月、30秒間の視聴率は平均で50.3%。若い女性向けのコンテンツを扱うサイト『ベイブ(Babe)』は1月、30秒間の視聴率は平均54.1%を記録したという。
「彼らの声明と受け取れる」
Facebookによるプラットフォームの継続的な調整も、パブリッシャーにとって不満のもとになっている。大手ニュースパブリッシャーのエグゼクティブは、「彼らのアナリティクスはいつもずさんだ。いつも内容を変えている。なぜなら常に問題が見つかり、修正を試みているからだ。率直にいって、それが理由で、私はその指標をそれほど重要視していない」という。
10秒視聴指標はFacebookにとってまったく新しいものというわけではなく、広告主は3秒間の視聴回数、10秒間の視聴回数そして、完全に視聴された回数に基づいて動画キャンペーンの費用を支払うことができる。
「これは、この業界全体へのひとつの合図だ」とポップシュガースタジオ(PopSugar Studios)のプレジデント、デヴィッド・グラント氏はいう。同社ではFacebook動画の視聴者の35〜50%が少なくとも30秒間は動画を見続けていると過去に述べている。「デフォルトの指標が設定されることは、重要なメトリクスに関するの彼らの声明と受け取れる」。
特に気にしないものたち
パブリッシャーのなかにはFacebookによる変更を歓迎しないものがいる一方で、それを気にかけないものもいる。ポップシュガーやAttnのような企業は、Facebook APIを使ってFacebookの測定をより詳しく理解するための内部ツールを構築している。両者とも、さまざまな時間の長さの視聴率をトラッキングする能力があり、そのデータをスポンサーキャンペーンの広告主に提供できると述べている。
Facebookは動画の長さに関する視聴者数のより細かいデータも提供している。そのツールのひとつは、動画を40のセグメントに分割するというもので、たとえば、2分の動画は3秒のセグメントに分割され、ページ所有者はパフォーマンスについてさらに詳しい洞察を得ることができる。しかし、ここでもデータは動画単位での利用になるため、パブリッシャーのなかには、規模を拡大してその情報を集約し、平均化することが困難なものも出ている。
集計済のデータに関しては、パブリッシャーは平均視聴時間と合計視聴時間に関する指標の利用が可能で、Facebookのプラットフォーム自体がより長い動画を優先しているように、この機能がFacebookでの成功の鍵を握っているというものもいる。
「前に進むFacebookと、そのプラットフォームで動画への資金援助をしているブランドにとって、主な注目点は、合計でどれだけ時間が消費されたかということだ」と、Facebookで月に4億の視聴回数を記録する新しいパブリッシャーAttnの共同設立者、ジャレット・モレノ氏は述べている。「合計視聴時間こそが、そのプラットフォームでの成功を促す指標だ」。