FacebookがBuzzFeedやコンデナスト(Condé Nast)、コンプレックスネットワーク(Complex Network)といったパブリッシャーをつのり、動画クリエイターやセレブ、インフルエンサーが出演するFacebook Watchの新番組制作を依頼している。
FacebookがBuzzFeedやコンデナスト(Condé Nast)、コンプレックスネットワーク(Complex Network)といったパブリッシャーをつのり、動画クリエイターやセレブ、インフルエンサーが出演するFacebook Watchの新番組制作を依頼している。
Facebookは、この新番組のための出資とライセンス取得を行っていることを認めた。Facebookによると、同プログラムの公式名称はまだないものの「Facebookマッチ(Facebook match)」と呼ぶ役員もいるという。動画分野においてパブリッシャーと動画クリエイターらをつなげるインキュベーターの役割を果たすためだ。同プログラムには立ち上げ時点でパブリッシャー12社が参加する。参加企業にはATTNやショッツ・スタジオズ(Shots Studios)、プレイヤーズ・トリビューン(The Players Tribune)といった比較的小規模なパブリッシャーとともにオール・デフ・デジタル(All Def Digital)やスタジオ71(Studio71)、ホイッスルスポーツ(Whistle Sports)といったデジタルネットワークが名を連ねる。また、バイアコム(Viacom)もバイアコム・デジタル・スタジオズ(Viacom Digital Studios)を通じて同プログラムに参加する。
パブリッシャーと動画のスターらとのつながりとして、まずBuzzFeedからはユーチューバーのハナ・ハート氏が、コンデナスト(Condé Nast)からは歌手のキキ・パーマー氏が、テイストメイド(Tastemade)からは女優のアンジェラ・キンゼー氏が出演する。
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Facebookの広報担当も同プログラムの立ち上げを認めている。
「知的財産」の行方
Facebookが資金援助するこの新番組は2019年以降の配信が見込まれており、関係者によると過去にFacebookが手がけた同様の取り組みよりも長く続く見込みだという。米DIGIDAYが以前このプログラムについて報じた通り、Facebookは1番組あたり最大で20万ドル(約2200万円)の援助を行うと見られている。同番組はFacebookが保有する「オリジナル番組」ではないようだ。先述の関係者によると、Facebookは番組について一定期間のライセンスを取得するのみで、その期間が終了すれば番組制作企業はほかのプラットフォームで自由に配信できる予定だという。
番組の保有権があるというのは、長期的に見て貴重な「知的財産」を増やそうと取り組んでいるパブリッシャーにとって魅力的だ。
コンデナスト・エンターテイメント(Condé Nast Entertainment)でプレジデントを務めるオーレン・カツェフ氏は「当社が掲げる目標はたくさんあるが、そのうちのひとつに、長期にわたって活用しうる確固たる知的財産を蓄積することが挙げられる。今回の提案が魅力的なのは、Facebookや優秀な人材と協力できるだけでなく、こうした点にもある」と指摘する。
制作番組の中身
同プログラムの立ち上げ時点から参加するパブリッシャー12社は、それぞれ複数の番組を制作すると見られている。カツェフ氏によると、コンデナストは同プログラム内で最大8つのプロジェクトを抱える可能性もあるという。そのうちのひとつ、「クイーンピンズ(Queenpins)」ではキキ・パーマー氏が司会を務める犯罪ドキュメンタリー番組となっており、有名な女性犯罪を扱う。一方、BuzzFeedでは3つ以上のプロジェクトが進行中で、そのうちの2つはグッドアドバイスカップケーキ(The Good Advice Cupcake)やキンタ・ブランソン氏、フレディー・ランソム氏といったBuzzFeedが輩出したタレントが参加するプロジェクトだ。さらにBuzzFeedの広報担当によると同社の人気フードブランド、テイスティ(Tasty)の番組としてハナ・ハート氏が参加する。
BuzzFeedの番組制作ディレクターを務めるセスペナ・グアティエリ氏によると、昨年同社はクリエイタープログラムと「アイデンティティを重視した」コンテンツに注力してきた。同氏はFacebookの今回の新プログラムによってパブリッシャーはさらなる投資が可能となり、クリエイターを重視するシリーズ形式の番組を増やすことができると指摘している。
Facebookの同プログラムにおける主な役割は資金援助だ。同社がゴーサインを出しているプロジェクトは、FacebookがWatchで成功をおさめている番組の形式と同様だ。すなわち短尺または中尺で、FacebookグループやWatchパーティ(Watch Party)といったほかのFacebook商品の話題や使用につながるような内容となっている。
新プログラムの狙い
「Facebookマッチ」は、ソーシャルプラットフォームで大きな影響力をもつ動画クリエイターやスターを誘おうとするFacebookの最新の取り組みだ。最近も、Facebookはウィロー・スミス氏とジェイダ・ピンケット・スミス氏が司会を務める新しいトークショー番組の「レッド・テーブル・トーク(Red Table Talk)」を開始した。同番組はFacebookからもっとも成功した番組として名前が挙げられたこともある。
カツェフ氏は今回の新プログラムについて「我々にとってもFacebookにとっても、オーディエンスがワクワクするようなタレントを起用する番組を作れるチャンスだ」と分析し、次のように述べている。「一般的に、Facebookでもほかのプラットフォームでも、エンゲージメントを牽引するのはセレブやパーソナリティが魅力的な番組なのだ」。
Sahil Patel(原文 / 訳:SI Japan)