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Facebook は、いかに「マケプレ」事業を強化しているか? :それでも業界では「5番手」

Facebookが、小規模企業向けのコマースツールをじわじわと拡充している。

これは、同社がコロナ禍で成長を遂げた2020年を経てのことだ。しかし背景にあるのは、人々のソーシャルネットワーク利用が増加したことだけではない。調査企業のハリス・ポール(Harris Poll)が、2020年3月末から5月はじめにかけて実施した調査を見てみよう。同調査によると、米国における成人の46~51%が、新型コロナウイルスの感染拡大がはじまって以降、ソーシャルメディアの利用が増えたと回答しているのだが、それに加えてFacebook Marketplace(マーケットプレイス)を介した、オンラインコマースを利用するユーザーも増加していた。同社は、Facebook Marketplaceの最新の利用状況データを公表していないが、2020年第4四半期の業績では、その他(Other)セグメントの売り上げが特に伸びており、このセグメントには同マーケットプレイスや仮想現実(VR)の子会社オキュラス(Oculus)が含まれる。なお、同セグメント全体での売り上げは、前年比156%増の8億8500万ドル(約930億円)。同時期におけるAmazonのサードパーティーセラー事業は、前年比53%増の204億ドル(約2兆1470億円)だった。

Facebook Marketplaceがここへきて新たに成長を遂げたのは、おそらくコロナ禍をきっかけとしたeコマースブームのおかげだ。「需要と供給が、Facebook Marketplaceにおいて、これまで以上に結び付けられている」と、同マーケットプレイスの創設者で、バイスプレジデントのデブ・リウ氏は、米DIGIDAYの姉妹サイトであるモダンリテール(Modern Retail)に語っている。現在、リモートワーク用のデスクや、ガーデニング用品といった商品の出荷遅れ、そして在庫切れが続いているという状況がある。これを受け多くの消費者が、商品を求めて地域のFacebook Marketplaceに目を向けるようになっているのだ。それに合わせてFacebookは、小売業者と独立系メーカー双方を積極的に同マーケットプレイスに誘致。「ハンドメイドで商品を生産している職人から、木工業者、車の販売業者まで、あらゆる売り手が成功を収めている」。

加えてFacebookは、過去10カ月にわたって、売り手と買い手の安全なやりとりを確保するため、コロナ禍に対応した機能をいくつか導入している。たとえば、非接触型の配送と集荷、およびMarketplaceでの配送オプションの増加などだ。

2016年のローンチ以来、Facebook Marketplaceは、主に近隣住民同士のローカルな販売に力を入れてきた。しかしここ数年は長距離用の配送手段に投資をしており、すでに米国郵便公社(the United States Postal Service:USPS)による配送にも対応し、配送可能な商品カテゴリーの数を増やしている。そのなかには、衣料品や靴などが含まれており、同マーケットプレイスのセラーも2020年半ばから、こうしたアイテムの配送サービスの提供を開始している。また最近では、家のなかを整理して、新しい商品の購入を検討する人々が多いことから、Facebookのショッピンググループのエンゲージメントも向上している。また同社は2021年、ソーシャルコマース機能の統合とあわせ、プラットフォームに店舗や個人セラーを誘致するための、ツール拡充に力を入れていくという。

家具需要の高まりが追い風に

Facebook Marketplaceが成長した原動力は、世界的に見られているeコマースの盛況だ。eマーケター(eMarketer)によると、2020年の世界のeコマース売上高は27.6%増となり、前年の20.2%から増加。Facebookでも、いくつかのカテゴリーが業績を伸ばした。たとえばこの1年間で、家具はFacebook Marketplaceで、検索数の多いカテゴリーのトップ3に入るようになったと、リウ氏は述べている。また、手作りの装飾品や植物といったカテゴリーも好調だ。モダンリテールで複数のセラーが語ったところによると、特にコロナ禍以降、セラーのあいだでFacebook Marketplaceへの依存度が高まったという。チェックアウト機能を利用したり、顧客とのコミュニケーション手段として、同マーケットプレイスを利用するケースが増えたのだ。

実際、2015年にオンライン販売を開始したビューティフル・ファイト・ウッドワーキング(Beautiful Fight Woodworking)は、この1年のあいだ、自社サイトに注力するのではなく、Facebook Marketplaceを、メインの販売チャネルに変更した。最近、ミズーリ州スプリングフィールドに実店舗をオープンした同社だが、2020年の売り上げは約26万6000ドル(約2800万円)。これは過去最高記録で、そのうち16万8000ドル(約1770万円)が、同マーケットプレイスからの売り上げだった。共同経営者のブリタニー・ダイアー氏とヘザー・ダイアー氏によると、これまでの販売件数は1400件を超えるという。なおビューティフル・ファイト・ウッドワーキングでは、リピーターの急増をきっかけに、Facebook利用を開始。現在は、オーダーメイド品の注文処理を効率化にも役立てているという。

園芸店クララズ・グリーンハウス(Clara’s Green House)の例も見てみよう。同社でも、Facebook Marketplaceでのビジネスが、ここ数カ月で伸長している。2019年から、ワシントンD.C.にある自宅で園芸販売業を営む経営者のクララ・レオン氏は、聴覚障がい者コミュニティの一員で、簡単に手話の動画を投稿できることからFacebookを選んだという。また同氏は、顧客とのコミュニケーションのために、ショートメッセージや電子メールに加え、Facebook Messenger(メッセンジャー)を利用しているという。コロナ禍がはじまって以降、レオン氏は何千もの植物やプランターを販売し、また顧客とつながるためにFacebook上でバーチャルワークショップも開催している。

それでも「まだ小さな存在」

Facebookにとって成長分野であるとはいえ、マーケットプレイス事業はまだ初期段階にある。また同社は、実際の売上高を公表していないため、この事業が親会社と比較してどの程度うまくいっているかを、正確にいい当てるのは難しい。「Facebook Marketplaceが好調だというのを、私はまだ話の上でしか聞いたことがない」と、調査会社フォレスター(Forrester)のアナリストを務めるスチャリタ・コダリ氏は述べ、パンデミックによって、中古品の販売全般がブームになった恩恵を受けているのだろうと指摘する。

なお、フォレスターの調査によると、Facebook Marketplaceで商品を購入したことがあると答えた人は、2019年には調査対象全体の6%。それが2020年には2倍の12%に増えたという。米国では、Facebook Marketplaceは、Amazon、eBay(イーベイ)、エッツィー(Etsy)、そしてウォルマート(Walmart)に次ぐ、5番手のオンラインマーケットプレイスだとコダリ氏は指摘する。

さらにコダリ氏は、Facebook Marketplaceが今後成長するための要素にも言及。それは、ブランドとセラーを統合し、商品を発見しやすくすることだという。「いまはまだアイテムの寄せ集めにすぎず、広告をうまく組み込む余地がない」。

Facebookによると、マーケットプレイス事業の優先度は、今後ますます高くなるという。実際、同社はここ数年のあいだ、セラーの要望に応えるために販売ツールの拡充を進めてきた。たとえば、数年前に自動車販売が本格的に伸びはじめた際、Facebook Marketplaceでは、確認された車両識別番号(VIN)を追加できるようにした。

また、ライブ動画の人気がオンラインで高まっていることから、ソーシャルコマースはセラーにとって、もうひとつの大きなチャンスだとリウ氏は説明する。Facebook Marketplaceにも、2020年にLive Shopping(ライブショッピング)機能が導入されている。さらにリウ氏は、同マーケットプレイスがパンデミックの前にローンチした、eコマース支援の取り組みを発展させる計画もあると述べている。2019年にFacebookが開始した、他社のeコマースプラットフォームとのパートナーシップ強化がその例だ。これによりセラーは、5%の手数料を支払うことで、ビッグコマース(BigCommerce)やショッピファイ(Shopify)といったプラットフォームにも、商品をアップロードすることができるようになった。

競合プラットフォームに対する、Facebook Marketplaceが持つ最大の強みは、Facebookユーザー数の多さ、つまり潜在顧客の多さだろう。統計データプラットフォームのスタティスタ(Statista)によると、Facebookの月間アクティブユーザー数は、現在27億人を超えている。「結局のところ、Facebook Marketplaceでは、コミュニティに焦点を当てたビジネスに注力したいと考えている」とリウ氏は述べた。

[原文:How Facebook is doubling down on Marketplace

GABRIELA BARKHO(翻訳:高橋 朋子/ガリレオ、編集:村上莞)